第九十話・謹賀新年、泣く子も黙る(あけましておめでとうございます)
謹賀新年。
今年も宜しくお願いします。
と言うことで、『ネット通販で始める、現代の魔術師』の更新は、毎週日曜日と火曜日、金曜日を目安に頑張っています。
はい。
あけましておめでとうございます。
今年も宜しくお願いします。
………
……
…
新年の挨拶か〜ら〜の、お年玉も貰ったという事で初詣に参ります。
待ち合わせ場所は地下鉄円山公園前。
当然、俺の家からは地下鉄では行けなくなっているのでバスで移動。
祐太郎と俺は一緒に移動して、円山公園駅で新山さんと瀬川先輩と無事に合流なう。
「新年おめでとうございます」
「あけましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします」
「あけおめことよろ‼︎」
「謹賀新年、よろしくお願いします」
バラバラな挨拶ののち、人混みを一時間掛けて北海道神宮本殿に到着。
「……どの神様にお願いするんだろ?」
俺は日本の神様と魔導神アーカムにお願いする予定なんだけどさ。他のメンバーはどの神様?
「私は日本の神様と貴腐神ムーンライトさまに」
「俺は魔導神アーカムと武神ブライガーだが?」
「わ、私は乙葉君と同じです」
ですよね。
今年は本当の意味で『神様の加護』を貰ったのだから、ご挨拶は当然だよね。
これでお参りした瞬間に、目の前が白く光ってみた事ない世界なんて鉄板パターンはないよね。
──パンパン
二礼二拍手一礼。
お参りは日本古来からのしきたりで。
其々がどんな願い事をしたのかは秘密だってさ。
まあ、プライベートなことには踏み込む気はないし、俺の願いは『世界平和』だからね。
金運はまあ、魔法でなんとでもなるし健康も問題なし。
残ることといえば、煩わしい日本政府の一部の御一行様達ぐらいだから。
「さて、あとは昼飯でも食いに行きますか」
「お年玉もありますから、楽しみですね」
「円山といえば裏参道、裏参道といえばここ‼︎」
少し歩いて道を外れた先にある喫茶店。
ご存知『喫茶・九曜』。
実は、ここのパンケーキセットが絶妙な美味しさでね、インターネットのグルメ記事とかではよく『隠れた名店』として記事が挙げられているのよ。
但し、店名その他は一切公表されていないので、本当に隠れた名店なんだよ。
──カランカラーン
正月なのに開いている。
入り口には『貸切』の看板がぶら下がっている。
「おお、誰かと思ったら乙葉君か。あけましておめでとう」
「マスター羅睺、あけましておめでとうございます」
「「「 あけましておめでとうございます‼︎ 」」」
一斉にあいさつすると、そのまま案内された席に着く。
今日はカウンターに置いてある料理全て食べ放題。
しかも、なんとワンコイン500円。
飲み放題をつけても1000円と実にリーズナブル。
「さあ、当店の名シェフ蔵王とハルフェの料理をお楽しみください」
早速食べましたよ。
別の席ではチャンドラと計都姫と、何故か井川巡査部長がヘベレケ状態で潰れそうになっているし。
「おーおー、乙葉君かぁ。あけましておめでとうー。君たちは家族で外国とか行かないのかい? 年末年始は海外がいいぞぉぉぉ……ヒック‼︎」
「井川、新しく出来た彼氏と年末年始は海外旅行に行く筈だった。でも、相手に奥さんがいたのが発覚して、年末は修羅場だったらしい」
「ヒック……此処で飲み始めて三日目だ。飲んでは帰ってまたきて飲んで……付き合う身にもなれって‼︎」
はい、不倫しそうになって振られて飲んで……なんだろ、騙される前で良かったんじゃね?
でもさ、年末年始を海外で迎える人って、なんか羨ましいよね。セレブというか、お金持ちというか、1年間頑張ったご褒美というか。
俺、まだ海外旅行した事ないんだよね。
「オトヤンよく考えろ。海外旅行に行くので家族で空港に向かった時、自分たちの乗る飛行機の待合席でコナン君と金田一少年とジョン・マクレーンが居たとしたらどうする?」
「そこにジョゼフ・ジョースターとジャック・バウアーがいたら完璧な死亡フラグだな」
「あの、そこにスティーブン・セガールがいたら状況は変わりませんか?」
「でも、乗った飛行機のメーカーがスターク・インダストリーだと、あまり変わらないわよ?」
「スパイディがいたらなんとかなる‼︎ ピンチの時にはマスクを被って」
「俺ちゃんだよーってか?」
判決。
歩く死亡フラグがいたら近寄らない。
「おーおー、乙葉ぁ、お年玉だ、受け取れぇ‼︎」
──バシッ‼︎
井川さんが真っ赤な顔で、いきなり呪符を飛ばしてきたぞ。
「……呪符かと思ったらポチ袋か、呪符師ってこんなこともできるのか」
「うわぁ、呪符師コワいわぁ。紙ならなんでも操れるのか?」
「これ、教えて欲しいですわ。色々と応用が利きそうですし」
うん。
新山さん以外はポチ袋を見て驚いているし、新山さんといえば……。
「シュークリーム、パンケーキ。イチゴタルトもあるのですね? あ、こちらはオペラで……うう、お雑煮も食べたい」
カウンターで料理を前に頭を悩ませております。
「そうだ、乙葉君。学校も冬休みになったのだから、退魔法具を探しに行くのかな?」
お屠蘇片手に羅睺さんの爆弾宣言。
ちょっと待って、俺、みんなに内緒で行こうとしたんだよ?
「オトヤン、羅睺さんの今の話は何かな?」
「まさかとは思いますけど、私たちに内緒で一人で退魔法具を探しに行こうとしたの?」
「退魔法具……それって、転移門を封印する二つの退魔法具ですか? 一人では危険ですわ」
「お、おおう……」
俺としては、あまりみんなを危険な目に合わせたくなくてさ、まあ、今更感満載だけど、それでも新山さんと瀬川先輩は女性で、守るべき対象で正直一人で抜け駆けしようとしてすまんかったぁ。
「……ということで、ご勘弁を」
今年最初の平謝り。
そして今の話を聞いて、井川さんが目を丸くしている。
「なんだ、君たちは退魔法具を探しに行くのか……ヒック、行くのは構わないけど、五稜郭封印に眠っているのは上級人魔よ。奴を調伏しないと手に入らないわよ……ヒック……ガタン‼︎」
あ、落ちた。
「わ、私、見てきます」
慌てて新山さんが井川さんのとこに向かうと、手のひらを翳して何か呪文を詠唱している。
すると、酔いまくって具合の悪そうな井川さんの顔色が良くなっていく。
「酔いすぎですよ。いくらお正月だからと言って、ハメを外しすぎるのは良くありません」
「え? 新山さん、回復呪文で井川さんの酔いを覚ましたの?」
「はい。解毒で血中アルコールを分解しました。あとは活性化で元気を取り戻したのです」
おおう、新山さんの魔法凄いわ。
今のを見て羅睺さんもチャンドラも計都姫も、顎が外れそうになっているし。
「お、乙葉君、君の彼女は神聖魔法が使えるのか?」
「まだ彼女じゃないわ、彼女候補だわ」
「そうです、私と乙葉君はまだ付き合っていません、友達以上彼女未満です‼︎」
「「 もう二人とも付き合(えよ、いなさいよ)」」
チッチッ。
妖魔特区をどげんかせんと、俺たちはそういう気になれないのだよ。そう新山さんと話をしたんだからね。
だからそれまでは、友達以上恋人未満。
「信じられん。鏡刻界でも、神聖魔法の回復術式が使えるのは人間種の、それも高位の神官のみだぞ?」
「まさかとは思うが、浄化術式も使えるのか?」
──ゴクッ
チャンドラ師匠が問いかけると、羅睺、計都姫、チャンドラの三人が息を飲む。
「それが、私は魔力が足りないので使えないのです」
──ホッ
十二魔将、三人同時に胸を撫で下ろす。
そりゃそうだ、使えたら妖魔に取って最悪な存在だからね。
まあ、俺たち人間にとっては最後の切り札、拳銃のようなものだよ。
「それよりも、井川さんいるのに退魔法具の話とかして大丈夫なの?」
「それなら問題ない。ワシはそもそもフリーランスの退魔師という事になっている。今は引退して退魔法は使えないと話したことがあるからな」
なるほど、納得。
「それで、五稜郭の退魔法具って何? その情報は俺たちも知らないんだけど」
「さあ……な。俺も詳しくは知らない。羅睺もな」
「五稜郭の退魔宝具は、土方歳三が使っていた退魔刀。正式な名称は『調伏刀・和泉守兼定』という」
「「 計都姫ぇぇぇぇ‼︎ 」」
あ、計都姫があっさり教えてくれたわ。
「でもよ、羅睺さん。それはおかしいんじゃないか? 土方の和泉守兼定は東京の土方歳三資料館に納められているはずだぞ?」
「兼定は一振りじゃない。納められているのは、新撰組の土方歳三の兼定。調伏師・土方歳三の兼定は五稜郭に封じられている」
調伏師?
え?
それって表に出てこない歴史?
そして瀬川先輩が深淵の書庫を発動して、早速データを集め始めている。
「……それが、乙葉君たちのブレイン、瀬川雅の深淵の書庫か。実際に見ると、とんでもない魔力量じゃなぁ」
「この立体魔法陣ってよ、外から破壊できるのか?」
「無理ですわ。深淵の書庫の複合立体魔法陣は、対魔術、妖術、闘気、物理的攻撃全てに対して自動的に衛りを切り替えてくれますから」
へぇ。
それって凄いわ。
「本物の和泉守兼定は2尺3寸1分6厘。それに対して調伏刀・和泉守兼定は3尺1寸8厘で宜しいのですか?」
──ツツー
羅睺さんとチャンドラ師匠が冷や汗かいている。
流石は情報担当の先輩だわ。
「そ、それじゃな。どこに封じられているのかは分かったのか?」
「そこまでは分かりませんわ。今の五稜郭の中にある史跡部分は、全て大正期から昭和にかけて追加されたものがほとんどですから。直接現地で、魔力感知で調べないと無理ですわね」
そう告げられて、羅睺とチャンドラがホッと胸を撫で下ろす。
「計都姫さまは、和泉守兼定の封印場所は知っているのですか?」
ナイス質問だ祐太郎。
「流石の計都姫でも、そこまでは知らんわ」
「ああ、そうだな」
マスター羅睺とチャンドラはそう言うけど、もう信じないよ。
じっと計都姫を見ると、無言で頷いているし。
「知っている。でも教えない」
「「 計都ぉぉぉぉぉ‼︎ 」」
そりゃ絶叫するわ。
でも、計都姫が知っているって言うことは、本当にあるんだな。
まあ、順番的には後回しだ。
「さ、そろそろ井川さんの意識が戻る頃だから、あとはのんびりと宴会を続けましょう」
「先輩の言う通り。今日は楽しむぞ〜」
改めて乾杯してパーティを続行。
夕方には、俺たちと井川さんパーティ解散して帰路に着くことにした。
◯ ◯ ◯ ◯ ◯
元日の夜は、親戚が集まって年始の挨拶。
おれの家が広いため、とにかく地方の親戚まで集まってきてもう大騒ぎ状態さ。
けど、いつもお袋の親戚は来ないんだよ。
故郷は栃木県の那須野って言っていたし、一度も会ったことがない祖父やら祖母は元気なのなかぁ。
「お、浩介、聞いたぞ、魔法使いになったんだって? 鉄から金を作れるのか?」
「違うよ、死んだばーちゃんが生き返るんだよ。確か材料があったらできるんだよね?」
「人体錬成なんてするかぁ。なんだよその死亡フラグ。それに鉄から金なんて作れるはずないだろうが、科学を舐めるなおじさん‼︎」
「なんだなんだ、科学を捻じ曲げるのが魔法じゃないのか?」
あかん。
酔っ払い全開だ。
こうなるとタチが悪いので退散することに限る。
部屋に戻って鍵を掛けて……ああ、従兄弟たちが俺の部屋で漫画読んでるわ。
我が家には、安住の地はないのか。
「コースケさん、漫画読んでていい?」
「構わないよ。お菓子こぼすなよジュース溢すなよ、読んだら戻せよ、それなら構わん」
うんうん。
手をあげて返事をする子供達は良い。
いいかい、大きくなっても一階で飲んだくれているおじさん達のように、悪い酔っ払いにはなるんじゃないよ。
「コースケさん、ハムスター作れる?」
「ハムスターって作るものなのか?」
「生き物はダメってお母さんが話していたの。だから、コースケおじさんは魔法でハムスター作れる?」
「……ゴーレムでハムスターを? いや、作れるかもしれないけど、ちょいとまってて」
部屋の片隅で錬成魔法陣を生み出すと、そこに鋼鉄とアルミ鍋を放り込む。
NET-TUBEでハムスター動画を確認してから錬成開始。
──ムニュムニュ
ゆっくりと金属が融合して、ハムスターの形を作り出す。
その隣では、ハムスターの動作データをネットで確認してからゴーレム核を形成。
それを組み込んで完成……なんだけど。
これだと、メタルハムスターだよなぁ。
──シャキーン‼︎
ほら、二足歩行で戦隊ヒーローの名乗りポーズしてるよ、このハムスター。
どこで何を間違えた?
「うわわ、凄い凄い、これ貰っていいの?」
「待て待て、まだ毛皮を作ってないから待ちなさい」
ええっと。
カナン魔導商会で毛皮を選択、カッターラットとか言う魔物の毛皮を購入してから魔法で消毒。
それと完成したメタルハムスターを再度魔法陣に放り込んで錬成開始。
──シャキシャキーン‼︎
ほら、動作以外はどこから見てもハムスター。
いや、おかしいから。
おそらく俺の変な知識が混ざったんだろうなぁ。
ニチアサの来年のスーパー戦隊の影響だな。
五人の仮面ライダーによる初めての戦隊、『剛速戦隊バクライダー』の情報公開があったばかりだからなぁ。
「コースケさん、俺も欲しい、サモエド欲しい」
「サモエド? え? あんなでかいの欲しいの?」
作れるけどさ。
まあ、これも魔法の練習と思って諦めるか。
そんなこんなで、メタルハムスターとサモエドゴーレムの完成。
それを連れて両親の元に向かったんだよ、甥っ子姪っ子は。
そりゃぁ、派手に怒られたよ、俺。
なんで犬なんだ、おじさんたちは猫がいいんだって。
そんなの知らんがな。
子供優先、大人のは金取るからな。
餌も要らない躾も終わってる、しかも自宅警備システム完備でそんじょそこらの冒険者には負けないゴーレムだよ。
だからお願い、この情報は流さないでって言ったんだけど、子供の口は災いの元、どうせバレるんだろうなぁ……ふべし。
誤字脱字は都度修正しますので。
その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。
・今回のわかり辛いネタ
開き直って更新再開。




