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【書籍化】ネット通販から始まる、現代の魔術師  作者: 呑兵衛和尚
第一部・妖魔邂逅編、もしくは、魔術師になったよ、俺。

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第七十七話・鳩首凝議、さらば与えられん。

『ネット通販で始める、現代の魔術師』の更新は、毎週日曜日と火曜日、金曜日を目安に頑張っています。

 平和な日常。


「乙葉、お前の魔術の師匠を紹介しろ‼︎ 色々と考えたんだが、どう考えてもお前が突然、魔術を使えるようになったのはおかしい。きっと魔術の師匠がいるに違いない‼︎ そうだろ? はい論破ぁぁぁ」


 いや、平和とは言い難いか。

 毎朝恒例の、織田のテンプレート突っ込みですよ。

 よくもまあ飽きもせず、毎日毎日いろんなネタで俺に絡んでくるよ。


「師匠なんていねーよ。全て独学だわ」

「そんな言葉で俺が信用するとでも? それなら、どうやって魔術を覚えた‼︎」

「魔導書があるんだよ。それを見て覚えただけだ‼︎」


 空間収納チェストから魔導書を取り出して机の上に置くと、それを見た織田の顔が興奮で真っ赤になった。


「そそそ、それをどこで手に入れた‼︎ 俺にも寄越せ‼︎」

「買えよ。もしくは自分で作れよ。魔法を使えるようになるにはなぁ、発動媒体になる杖と、魔術の燃料になる秘薬が必要なんだよ。俺、この前の国会の質疑応答で説明しただろうが‼︎」

「国会中継なんて見ねーよ‼︎ 売れよ‼︎」

「10億出せやぁぁ」

 

 まあ、普通の高校生なら、政治に興味がない限りは普通は見ないわな。

 因みに魔導書作成キットはカナン魔導商会でまだ在庫があったよ、格安で。

 

「そ、それならば、その魔導書、ちょっと見て良いか?」

「ここで見る分には構わんが、写すなよ?」

「記憶するわ‼︎」


 そう叫んで、織田が魔導書を開く。

 そして興味を持ったクラスメイトも集まってきて眺めているんだけれど、皆頭を捻っているだけである。


「よ、読めない」

「これ、本当に魔導書なのか?」

「これが、幻のアトランティス文字か……」


 まあ、そうなるよな。

 そして織田や、アトランティス文字ってなんだよ?

 俺も大概だがお前の妄想も爆発寸前だな。


「乙葉は、これが読めるのか?」

「まあ、普通に読めるが」

「分かった、それなら俺は自分で魔導書を作るぞ、そうすれば俺も魔術師になれるんだな?」

「秘薬がないと無理だぞ?」

「「「 秘薬? 」」」


 キョトンとした顔で俺を見るな。

 って言うか、この説明も国会中継でやったぞ?

 お前ら、NET Tubeとかboyaitter話ばかり見てねえで、少しはそう言うのも見ろよ。


「国会中継でやったぞ」

「うちは、KHKは殆ど見ない主義なんで。どうせ高校野球しか見ないんだから、受信料契約する意味がわからん」


 織田、気持ちはわかるがそれはどうよ?


「まあ、KHKの受信料契約なんて、ヤクザの押し売りみたいなものだからなぁ。勝手に電波を送りつけてきて、『見ただろ、よし払え』って詐欺紛いの何者でもないわな」

「乙葉もそう思うか。そうだよな。あんなもの、支払う必要ないよな?」

「いや、うちは見るから支払ってるけど?」


 俺の言葉は爆弾宣言なのか?

 何人かのクラスメイトが引いたぞ?


「なんで、あんな偏向報道の塊に金払うんだよ?」

「そこしか見てない奴らは、KHKの価値をわかっていないわ。たしかにニュースは偏向報道だよ? 自分たちの都合の良い部分しか報道しないし、寧ろ他国に忖度している部分もあるよ。でもな、それ以外だと最高に良いぞ?」


 まあ、俺はKHKの娯楽番組系は好きだからな。

 あとアニメ。

 アニメには善悪はない。

 民放、国営の垣根なく、全てアニメはよい。

 『未来少年コナン・ザ・グレート』なんて最高じゃないか。

 それに、たまにやるバカ番組。

 家電を魔改造するってなんだと思ったが、意外に嵌るぞ。


「ま、まあ、KHKの事はいいわ。それよりも秘薬ってなんだ?」

「魔法の発動条件。まあ、こんな感じかな?」


 俺は魔導書が発動媒体であり、秘薬の代わりであるので必要ない。

 けれど、国会で説明するのに必要だったので、カナン魔導商会でセット購入しておいたんだよ。


──ブゥン

 空間収納チェストからいくつかの秘薬を取り出して机に並べる。

 まあ、安価で手軽に手に入る硫黄の粉とか、朝鮮人参とかをメインに並べてみた。

 そして少し高価なものは小瓶に入っているので、注意深く並べながら、説明する。



「これがジンセン、こっちはガーリックパウダー、これが硫黄の粉。まあ、市販のものを使っても効果は同じようなものですが」

「これは?」

「それはドラゴンの爪の粉末です。お使いになりますか?」

「ま、まさか……はっはっは」


 流石に一般入手可能なものには興味はないが、ファンタジー的なものには興味津々らしい。


「こっちの粉は?」

「それはオリハルコンの粉末な。その隣の瓶の中の宝石はダイヤモンドで、そっちがルビーの粉末」


 おおう、女子は宝石に興味がありますかそうですか。

 小瓶を手に取って軽く振ったりしている。

 うん、キラキラと輝いて綺麗だよね。


「こ、これがダイヤモンド? 何カラットあるの?」

「さぁ? 20カラットぐらいじゃね? 秘薬はクズダイヤモンドで十分だから安いぞ」

「ええっと。あの、痩せる薬とかを作るのにも、こう言う素材を使っているのかしら?」

「その通り。だから高いんだよ。これで理解したか?」


 女子連中は、これで俺の作っているポーションの高額な理由を理解したらしい。

 そして男子は、魔術を覚えたら一攫千金間違いなしと気合が入っている模様。



「因みにだけど、魔術を覚えるってことは、人間に害をなす妖魔から狙われるからな。妖魔にとっては、魔術の素養のある人間は餌以外の何者でもないからな?」

「そんなの、カウンターアタックだ。来るなら来いってところだ」

「あ〜はいはい。お勝手にどうぞ。その辺りは自己責任でよろしく」


 ヒョイヒョイと秘薬を空間収納チェストに収納する。すると、周りの連中がまた複雑な顔をしている。



「乙葉、その、何処かにアイテムを仕舞う魔法って、難しいのか?」

「空間系だから、俺以外はまず無理。そもそも教える気もない」


 俺にも原理がわからん。

 まあ、魂にある収納スペースに仕舞い込んでいるって言う感覚はあるけど、これだって解析したこともない。

 そう言うものだって理解しているから。


「それだけでも使えればなぁ。なんでも隠し放題だろ」

「その気になれば、なんでも手に入るからなぁ」


 お、何かよからぬことを考えているようですなぁ。

 事実、触れるだけで収納可能だから、やる気になれば万引きでもなんでもできる。

 けれど、明らかに他人の所有物って言うのは無理だし、恐らくだけど『会計前の商品』は他人の所有物なので無理だろうなぁ。

 これは恐らく、無意識のうちに自分でもセーブしていると思われるから。ようは倫理観とか道徳観の問題ね。


「そこまで便利じゃねーよ。他人のものは入らない、会計前商品は他人のものだからダメ。つまり、自分のものか所有者不明のものだけしか入らない。魂のあるものも無理。ほら、大きめのスポーツバッグみたいなものだろうが」

「剣道の道具一式は重いんだよ」


 あ、それはそれは。

 そんなこんなでクラスメイトたちと他愛もない話をしている毎日である。

 


 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯



「……それで、なんでまた鏡が輝いているかなぁ?」


 部活の最中。

 部室の鏡がまたしても輝いていた。

 今度は直接顔を出すのではなく、羊皮紙がニョキッと突き出てきたのである。


「罠だよなぁ」

「罠でしょうね?」

「罠確定」

「多分、罠?」


 ワナワナ言いながら、代表者・俺が羊皮紙を引き抜く。そして広げると、またしても異世界言語でしたとさ。


『告、来るべき日、雌雄を決するべく彼の地で待つ』


 うん、分かんないわぁ。

 予想では百道烈士(くどれっし)が決着つけるぞゴルァってところなんだろうけど、日時もなければ場所もわからん。

 どうせ場所はテレビ塔下なんだろうなぁと予測はつくが、来るべき日っていつよ?



「果たし状だよなぁ。どうすっかな」

「行かないと面倒じゃねーか? でも、場所が場所だから無理だよなぁ」


 祐太郎の言う通り。

 今の俺は、札幌市妖魔特区内には入ることができない。

 魔力の塊である俺が内部に入った場合、最悪、転移門ゲートが活性化して開く恐れがある。

 それを見越して、果たし状にはテレビ塔下っていう指示が書いてあるのは見え見えである。

 

「じゃあ無視だな」

「そういうことだ。血迷ってユータロも行くんじゃねーぞ?」

「ぶっちゃけ興味はある。けれど、今の俺で勝てるかどうか考えると、五分五分行けばいい方だと思うから行かない」


 キッパリと言い切る祐太郎。

 自分の実力がしっかりと理解できているようで何よりである。

 そうなると、いつまでも百道烈士(くどれっし)はテレビ塔下で待ち続けるのかな?

 どうせ飽きて他のことをしでかしそうだよなぁ。


「乙葉君、これは予想ですけど。百道烈士(くどれっし)の目的って、決着をつけるのではなく転移門ゲートの活性化なのでは?」


 ナイス先輩。

 俺もそうじゃないかなーって思ってましたよ、今。


「そうなると、百道烈士(くどれっし)って、中々妖魔としては策士ですね。乙葉君の性格を見て、決着とか言えば喜んで行くと思っているとか」

「その上で、転移門ゲートの近くでバトル突入、オトヤンの魔力に転移門ゲートが過剰反応、はい地獄の門が開くってか。新山さんの推測通りだと、百道烈士(くどれっし)って武闘派というよりも策士家だなぁ」


 新山さんと祐太郎の説明には、俺は腕を組んで考えるぞ?

 あの百道烈士(くどれっし)の何処が策士家だ?

 どう見ても脳筋だよ。

 これはあれだ、奴に助言を与えている奴がいるんだよ、そうに違いない。


「あれは脳筋だと思うんだがなぁ。きっとあれだよ、脳筋イコール脳みそが筋肉イコール、全身の筋肉が脳みそなんだよ、本能で動く奴じゃないか?」

「無敵のハンマー持ってか?」

「そそ、どっちかというとそっちタイプだと思うよ。まあ、行くか行かないかは別にして、ここは先人の知恵を借りてくるわ」


 という事で、俺は一足お先に帰宅。

 玄関から箒に乗って、風紀委員に見つからないように高速飛行。


………

……



 帰宅してすぐにやってきたのは、円山の喫茶店『九曜』でした。

 扉を開けて中に入ると、笑顔で俺を迎えてくれたのは計都姫だけ。

 チャンドラと羅睺さんは俺を見て渋い顔。


「はぁ、ようやく顔を出したか。ワシらからはできる限り連絡しないようにしているのじゃから、何かあった時はすぐに連絡を寄越せ」

「羅睺さんすいません。それでですね、あの妖魔特区の巨大な転移門ゲートなんですけど、あれって本物?」


 単刀直入に聞くよ。なにも含まずに。


「うむ。明らかに鏡刻界ミラーワーズとこっちの世界を繋ぐ転移門ゲートに間違いは無い。但し、まだ活性化はしておらぬ。必要魔力には程遠いわ」

「羅睺の言うとおり。本来なら、転移門ゲートを開くための魔力は鏡刻界ミラーワーズで集められる。でも、今回はこちらからゲートを開く形になっている」


 計都姫さま、解説ありがとう。

 ついでにもう少し情報をください。


「へ? それってどうちがうの?」

「過去四回の転移門ゲート開放は、妖魔王が転移門ゲートとなる巨大な水晶柱に魔力を注いで開いていた。そうすることで、水晶柱とこちらの世界の魔力溜まりにある媒体が繋がり、扉が開く」

「けど、今回は違う。こちらの世界の『扉が開く条件』が先に揃った為、水晶柱の開放よりも先に転移門ゲートが出現したのじゃ」


 ふむ。

 それってまずいのか?


「因みにですが、これから起こりうる最悪のケースは?」

「より多くの魔力がゲートに集まり活性化し、そのタイミングで妖魔王が水晶柱に無理やり魔力を集めて開く。予想よりも2年は早く大氾濫が発生するじゃろうなぁ」

「あ〜それは最悪だわ……冷静に考えても最悪だわ。それって止められる?」


 そう問いかけるけど、三者三様渋い顔。

 

転移門ゲートの再封印が濃厚じゃが。その為には、二つの退魔法具が必要となる」

「今回のケースは、ちょうど第三次大氾濫と同じパターン。1541年に天魔・波旬がこちらの世界でゲートを開いた時と同じ。その時に転移門ゲートを封じた退魔法具が必要」


 あ、その話は綾女ねーさんから聞いたわ。

 確か、初代妖魔王……魔人王が卑弥呼で、二代目魔人王に鏡刻界ミラーワーズを放逐されて、こっちの世界で陰陽府を作ったんだよね?

 それ以後、陰陽府が俺たちの世界を妖魔から守っていたって言う話。


「その退魔法具が封印杖と五芒星結界宝珠ですか。はぁ、それを探さない事にはどうしようもな……皆さん、なんで俺の顔見てます?」


 鳩が豆鉄砲を食ったような。

 というか、A10サンダーボルトの30mmガトリングを食らったような渋い顔しているお三人の妖魔。


「お、乙葉君、何処からそれを?」

「情報ソースはひ・み・つです。それでですね、今話した二つの退魔法具の場所って知ってますか?」


 俺は知らない。

 だから、知ってそうな人に聞くのが一番。

 

「そ、それは知らないのう」

「ああ。俺も聞いたことはないな。誰か、他に知っている人を探すしかないんじゃないか?」

「神居古潭には封印杖、大雪山系には五芒星結界宝珠が封印されている。どちらも守護魔獣がついているから、人間では太刀打ちできない」

「「 計都姫ぇぇぇぇ 」」


 あ、羅睺とチャンドラは知らなくて、計都姫は知っているのか。

 そんな訳あるかーい。


「何故教えた、あれは我ら妖魔にとっては忌むべきものじゃぞ」

「あれを使える魔術師が手に入れたら、この世界の妖魔は全て封印されてしまうだろうがあ」

「大丈夫。あれを使える魔術師は乙葉浩介だけ。彼なら信用しているから」

「「 あ 」」


 おおう。

 俺って計都姫の信頼度MAX。


「それに、乙葉浩介に任せたら、危ない妖魔は始末してくれる。私たちが楽できるから」

「はいはい。そんな気がしてましてたよ。それで、具体的な場所は教えて貰えるの?」

「教えてもいい。但し、第六課とか陰陽府には秘密。御神楽も知らない案件だから」


 あ〜。

 これって、前回のどさくさ紛れに余った退魔法具を回収して隠したパターンか。

 自分たちの安全のために、その気持ちはよく分かるわ。だから教えてプリーズ。


「これは、俺と仲間だけで動くわ。それで良いなら教えて欲しい」

「神居古潭の封印は、綾女が知っている。大雪山の退魔法具は金庫に預けてある」

「はぁ? なんで綾女ねーさんが? それに金庫ってなんだ?」

「それ以上は自分で考える、ノーヒント。でもわかりやすくて優しい」


 うーむ。

 腕を組んで考えていると、祐太郎も稽古のためにやってきたので道場でひと汗流す事にした。

 今日は頭を使いすぎ、もっとこう、楽に生きたいんだけどね。

 


誤字脱字は都度修正しますので。

その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。

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― 新着の感想 ―
[一言] スネークマンショーのコンドームネタ 誰がわかるんや( ´∀` )b
[一言] フェアチャイルド社の地上攻撃機なんて、軍オタくらいしかわからないネタを・・・
[一言] 主人公たちが動けば結局まわりにもバレることになりそうな気がしないでもない
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