第六十七話・重見天日、神宿る(反撃準備ともいう)
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乙葉浩介たちによる、結界中和及び一般人の避難実験はとりあえずの成功を収めた。
だが、妖魔の襲撃により警備にあたっていた第6課のメンバーに負傷者が出てしまう事態となってしまう。
そして、乙葉浩介も百道烈士との戦いで重傷を負ってしまった。
幸いなことに中回復ポーションで外傷は治癒できたものの、流した血が多すぎたために急遽病院に搬送されてしまっていた。
‥‥‥
‥‥
‥
「うん。ユータロ、俺は何日、このベッドで眠っていたんだい?」
「三日だな。瀬川先輩と新山さんが師範を説得してくれてな、治療が終わってからすぐにオトヤンのマンションまで搬送してもらったんだ」
どうりで見たことのある部屋だと思った。
しかし、対妖魔戦での致命的欠陥を見つけられたのは幸いだったよ。
レジストリングによる『対物理系レジスト』については、反射攻撃を間に挟まれると無効化されてしまうらしい。
事実、俺の放ったフォトンセイバーによる斬撃はしっかりと反射されてきたし、俺のパンチも反射で返ってきたときにはレジストできなかったからね。
ということも踏まえて、寝室に集まってきた三人には説明したんだけれど、みな複雑な顔をしている。
「魔法攻撃に対しての抵抗はまだ実験していませんよね? それも反射で無効化されるのですか?」
「おー、新山さんいいところに気が付いたね。可能性は十分あるんだけれど、問題は反射攻撃に対しての対策だよ。あの百道烈士は魔導具で反射していたみたいだし使い捨てみたいだったから、そう何度も同じ手段でくるとは思えないからねぇ‥‥」
「その反射攻撃ですが、ミスリルハリセンによる初手攻撃でしたら、反射があるかどうか判断できますわよね?」
おっと、ナイスです先輩。
そうか、俺たちにとってはただの突込みだけど、妖魔に対しては十分な精神打撃になるからね。
「ナイス先輩。それなら対策もできるし、この四人ならハリセンを所有しているから対策は十分だな。それでオトヤン、このあとはどう動く?」
そこだよ問題は。
前回のように俺たちや第6課の人々を外に逃がすのはあり。
ただし、直径3kmの範囲にどれだけ人がいるのかというと、いまだ全貌は把握しきれていない。
その人たち全てを、護衛を付けて妖魔から守りつつ逃がすとなると、とてもじゃないが時間がかかりすぎる。
「人々を逃がすか、結界を破壊するか。妖魔を浄化するという手段については手がないのでこれは無し。すべての妖魔を霧散化してから、妖魔がまた実体を取り戻すまでの時間に避難させるというのもあるけれど、百道烈士らしい妖気は感じないんだよなぁ」
「妖魔の中には、自身の妖気を遮断する存在がいる‥‥か」
そんな話し合いをしている最中に、忍冬師範と要先生がやってきた。
とりあえず俺の様子を見に来たらしいんだけれど、無事なのを見てほっとしている。
そしてこれからの対策について話をしていると説明すると、師範が困った顔をしていた。
「俺としては妖魔をすべて殲滅するよりも、結界を破壊したほうが早いと思っている。ただ、浩介でも破壊できない結界など、俺たちが束になっても破壊できるはずがない。それでだ、明日正午、自衛隊が結界の外から破壊可能かを調査することになっている」
「具体的には?」
「44口径120mm滑腔砲(10式戦車砲)で結界を攻撃するとの連絡がきた」
まじか。
自衛隊動いたのか。
「陸自パネェ」
「オトヤン、動いたのは新設された特戦自衛隊じゃないのか?」
「ああ、そういえば対妖魔戦の自衛隊が設立されたって言ってたっけ。師範、そこで合ってます?」
「それで合っている。それでだ、明日正午に浩介が単独で結界を越えて、滑空砲の砲弾に魔力を付与してほしいっていう連絡がきたんだが、それは可能なのか?」
はぁ~。
それは可能かと言われると、可能ですがやりたくないって説明するしかない。
「可能だけど、パスしていいっすか?」
「理由は?」
「いきなり自衛隊に、俺の力を貸してほしいって言われても嫌に決まっていますよ。なんですかその、俺の魔力頼みの組織って。これで協力なんてしたら、事あるごとに呼び出されるの目に見えているじゃないですか」
「まあ、そうなるよな。俺もそうなることは予測していたから、本人の自主性に任せますがたぶん無理って話はしてあるからこれは断っていい」
ほっと一息。
「それにだ、予測だが祐太郎の闘気砲のほうが威力はあるだろうと予測できるし、浩介の‥‥なんていったっけ?」
「光弾・125倍‥‥まあ面倒だから名称は『125式光弾』とでも命名しますか」
「オトヤン、なんで125式?」
「威力125倍だから。なんかかっこいいだろ?」
「‥‥浩介は、魔法の威力もコントロールできるのか。その125式光弾の威力は、物理的にはどれぐらいかわかるか?」
そう聞かれてもさぇ。
比較対象はないからわからないのよ。
実弾演習なんてしたこともないし、そもそもこんな大げさになるなんて思ってもいなかったからさ。
「まあ、外のことは俺がいろいろと折衝してやるから安心しろ」
「まだ、いろいろとありそうですね?」
そう質問したら、出てくる出てくるいろいろな話。
国内だけでも、俺にボディーガードを頼みたいっていう議員がずらりと50人以上出てくるし、魔法を教えてほしい、魔法の理論を研究したいという学者や研究者も数知れず。
そして諸外国からも俺に助力を求めたいっていう連絡や、しまいには俺の本籍外国にあるから本国に返せっていう意味不明の連絡まで来た始末。
お前の国は外国の文化を自国のものというだけでは飽き足らず、人材までも自国発祥というのかと、もうあぼかど、ばななかと。
まあ、それでもアジア以外の諸外国はおおむね友好的を装って連絡をしてくれているので、日本としても外交カードの一つとして保持しておきたいんだって。
しらんがな。
「‥‥まあ、その辺の面倒なことはすべて師範に任せます。オトヤン、この後はどうする?」
「ちょっとまってて‥‥」
腕を組んで考えているふりをして、こっそりとカナン魔導商会を開く。
そしてメニューを見てみると、ふと新しい項目が出来上がっているのに気が付いた。
『ピッ‥‥いつもご利用いただきありがとうございます。この度、お客様のお買い上げリストから、お客様に必要な商品をまとめた一覧を新たに追加しました。今後も引き続きご利用いただきたく、よろしくおねがいします』
という説明ののち、『錬金術素材一覧』『魔導具開発用素材一覧』の二つが増えているじゃあーりませんか。
しかも魔石やミスリル銀も大量に在庫‥‥って素材関係は大体99個ずつだけど、これは大きな一歩ですよ。まあ、レア素材は4つとか1つしかないけれどね。
「‥‥俺の時代がキタ」
そうボソッと呟いたら、新山さんやユータロ、瀬川先輩は理解したらしい。
これなら、いろいろと対策はできる。いや、むしろこれでできることは広がってきた!!
「師範。俺に良い手があります。作戦名は『安全にみんなを避難させましょう』です」
「ふむ。具体的には?」
「明日説明します。そのための準備もありますので、明日の正午にまた来てください」
そう告げて師範と要先生が帰ったのを確認してから、俺は大急ぎで家中のあらゆる物品を査定に出した。
そして購入したのは『結界装置』に必要な材料。
それも広範囲型を25セット分、一つで直径20mの球状に結界を発生するやつ。
「俺が結界を中和する場所までの道のりと人が集まれる場所を結界で囲ってしまおう作戦です」
これだけで瀬川先輩は理解したらしい。
すぐさま深淵の書庫を展開して、25個の結界装置を有効に使えて、なおかつ人が避難できる場所を探してくれた。
その間、新山さんと祐太郎にはリビングに広げた材料を指定した数ずつまとめてもらっておく。
そうすることで、錬成魔法陣に入れる手順を省くことができるから。
「大通公園の西11丁目から西13丁目までを結界で囲えば、合計15個の結界装置で済むわね。あとは道庁に10個で建物すべてを守ることができるわよ」
「さすがです先輩。それじゃあ、明日は俺と祐太郎と‥‥新山さんも加わってもらって、結界装置を配置することにしようか‥‥」
俺の言葉に一斉に頷くみんな。
それじゃあ、そのための結界発生装置の錬成を開始しますか!!
一度作ったことがあるものは、錬金術の『量産化』でまとめて作り出すことができる。
それを全力でやったら、まあ、いつものとおりさ、まとめてごっそりと魔力を持っていかれたので、まあ具合が悪くなってバタンキューだよ。
みんな、あとは完成まで放置だからゆっくりやすんでくれ。
ギューバッタン。
〇 〇 〇 〇 〇
翌日、昼。
マンションに来た師範と要先生に作戦の説明を行う。
深淵の書庫でテレビモニターに地図を広げて、そこに結界発生装置の配置場所も記して説明すると、師範は腕を組んで考え始めた。
「‥‥作戦はわかった、そしてその結界発生装置がここに25セットあるのも理解した。配置については第6課のメンバーも自由に使ってくれて構わない」
「実際には俺とユータロ、新山さんの三人で三か所を同時に設置します。第6課の方にもそれはお願いしますが、魔力操作を覚えている俺たち以外では起動できないので、その護衛もお願いします‥‥まあ、実際に護衛が必要なのは新山さんですけどね」
「よろしくお願いします。私は魔力操作はできますけれど、魔術は使えませんので」
丁寧に頭を下げる新山さん。
まあ、今朝方になって、俺は『収納ポーチ』っていうのを一つ作り上げたんだよ。
それも、俺の能力の空間収納みたいに装備換装効果のあるやつをね。
その中に戦闘用のスクロールをすべて入れてあるので、万が一の時は
新山さんも魔法でなんとでもできる。
ただし、朝からそのためにスクロールと契約しまくったらしくて、新山さんの指は絆創膏だらけ。
北海道の方言でいえば『サ〇オまみれ』だね。
「わかった。俺が新山さんの護衛につく、要巡査は祐太郎についてくれ。浩介は必要なら護衛の数を増やすけどどうする?」
「俺はいいですよ、配置するための人さえ貸してくれれば」
「わかった。それで一つだけ教えてくれ、これだけの結界装置の材料、どうやって、どこから仕入れた?」
あ。
それはほら、気合でね。
「ノーコメントでお願いします。師範が帰ってから仕入れてきました、どこから仕入れたかは内緒ですよ」
「そうか、まあ、浩介が言いたくなければそれでいい」
「はい、その方向性でどうにか。それじゃあ、作戦開始は明日の朝、正午には人々を指定の場所まで誘導してください、よろしくお願いします!!」
そう告げたとき、結界の外から次々と砲撃音が響いてきた。
まさかの市街戦射撃とは、いまの日本に住んでいる人々は予想だにしていなかったであろう。
その光景は全国中継され、そして日本が誇る最強の戦車の砲撃でさえ、妖魔が作り出した結界には傷一つ付けることができないという事実を人々は目の当たりにすることになった‥‥。
誤字脱字は都度修正しますので。
その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。
・今回のわかりづらいネタ
あるのかな? ないのかな?




