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【書籍化】ネット通販から始まる、現代の魔術師  作者: 呑兵衛和尚
第八部・狂乱のアメリカ

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第五百二十二話・(はい、どうでもよくありませんでした、サーセン)

『ネット通販で始める、現代の魔術師』の更新は、毎週火曜日と金曜日を目安に頑張っています。

 連邦捜査局で、大人の取引を行った翌日。


 乙葉浩介、無事釈放。

 それと同時に、大統領自ら、今回の暗殺事件についての公式見解を発表。

 俺の遺伝子を使って作り出された魔族のクローン体による襲撃事件であること、そのクローン体についても、現代の魔術師チームが捕獲、及び処分したという事実も説明。

 この会見に於いて、ヘキサグラムの責任者であるアナスタシア・モーガンも大統領の説明が真実であることを説明し、無事に俺の指名手配は取り消されることとなりまして。

 

 ようやく、俺はノーブル・ワンに戻ってくることになりましたよ。


――ノーブル・ワン

「ふぅん、これが、現代の隠者と呼ばれている天才解析者・瀬川雅の深淵の書庫(アーカイブ)なのね。見ていてうっとりするわねぇ……」

「お褒めに頂き恐縮ですわ」

「ねぇ、今度、ヘキサグラムの日本支部が北海道に完成するのですけれど、貴方、うちの客員教授になる気はない? 興味があったら、詳細について書類を送ってあげるけれど……うん、そっちの新山さん、築地君もどうかしら? 大学に進学するのは構いませんし、登録術師として籍だけ預ける気はない?」


 アナスタシア女史は、いきなり何をいいだすのやら。

 例の、幼女化したクローン体の研究について、正式にノーブル・ワンで行うことが決まったため、急遽その少女を連れてここにやって来たのはいいのだけれど。

 その少女、仮称『ミニ乙葉小春』はクリスティン所長と共に研究施設の見学に赴いている真っ最中。

 まだクローン体としての記憶なども残っているのか、スパイじゃないかという懸念事項については、俺の母さんが術的検査を行って問題なしと判断、当面の間、こっちの研究施設で色々と検査などを行うらしい。


 そして本題に入るのだが。


「アルバイトの当てはあるので。築地晋太郎議員の事務所で警備のアルバイトをすることになっている」

「わ、わたしは……うん、大学のほうで手いっぱいになると思うので、あまりそっち方面での活動の手伝いはできないと思うのですよ」


 祐太郎と新山さんにあっさりと振られるアナスタシア女史だけど、瀬川先輩は(おとがい)に人差し指を当ててしばし熟考中。

 

「そうですわね、アルバイトとしての在籍でしたら構いませんわ。ただし、変なノルマを課したりしなければ、という条件が付きますけれど」

「それは大丈夫ね。あなたにはアドバイザーとしていてくれるだけで助かるのよ。なんといっても、神の加護である深淵の書庫アーカイブが使える、この地球世界で唯一無二の存在なのですから」

「……どこで、そのことを?」


 アナスタシア女史の言葉に、瀬川先輩が目を細めましたが。

 そりゃあ、そうなるよなぁ。

 このことについて知っているのは、俺たち現代の魔術師チームのみだからさ。


「夢のお告げですわ。私もムーンライトからの援助を受けている、と言えば理解できますか?」

「ああ、なるほど。それじゃあ仕方がありませんわね」


 まって、そんなの聞いていないんですけれど。

 初耳どころじゃないわ、びっくりだわ。

 しかも、祐太郎や新山さんまで、口をあんぐりと開けるレベルで驚いていますよ。


「待って先輩、それだけで信じていいの?」

「ええ、だって、たった今、私の頭の中にも神託が届きましたから」

「「「うええぇぇぇ」」」


 そんなあっさりと。

 神託っていうのはこう、厳かな儀式の中で、神に純潔を誓った汚れなき巫女が授かるものじゃないのか? 新しく入手した自宅の地下室にこっそりと立ち入り禁止の神託を授かる部屋を用意して、そこにご神体を祀ってさ。

 そのご神体にも様々あるけれど、ムーンライトって貴婦人、いや貴腐神だったよな、BL系の小説を模した彫像とか? 間違っても女性のショーツとかじゃないよな? もしくはステータスが表示されるカードとか。


「いや、オトヤンのその発想はかなり古いな。今はもっとこう、ライトな神託を授ける神様が出てくる作品の方が多いぞ? ライトノベルっていうぐらいだからな」

「マジか、ライトってそういう意味なのか……って、あの、祐太郎や。また俺、声に出していたのか?」

「そりゃあ、もう。両手の拳を握りしめるレベルで力説していたぞ」

「うん、ちょっと凄かったよ」

「待って新山さん、何がすごかったの!!」


 うっはぁぁぁ。

 この心の声が外に漏れる現象、どうにかしないとならんわ。

 

「何が……神をも恐れぬ発言……かな?」

「そのメタ発現やめて。とまあ、そういうのはいいや、とりあえず瀬川先輩がヘキサグラムの日本支部でアルバイトをするという事で話はついたようだけれど……どうして、俺は誘われなかったの?」


 ここ、大切ね。

 瀬川先輩、祐太郎、新山さんが誘われて、俺が誘われなかった理由。

 そこに何か秘密があると思っていたんだけれど。


「だって、真っ先にあなたを誘ってオッケーが取れたとしたら、新山さんたちはそれじゃあって登録するじゃない。そういうのではなく、自らの意思で、手を貸してくれないとだめなのよ。そもそもヘキサグラムは、全世界に存在する妖魔……今は魔族と呼ばれている存在から人々を守ること、そして救いの手を求めてきた魔族を保護し、安息の地を与えるのが使命なのですよ。これは、日本の御神楽さまの教えでもあるのよ」

「はぁ……それにしても、機械化妖魔(エボル・ミスティカ)のような実験をしていたようですけれどね」

「そもそも、当初は魔人核が傷ついて消滅しそうになっている魔族を救うための機械化処理だったのよ。そして助けた魔族が私たちに対しして、力になりたいっていう事で自ら機械化妖魔(エボル・ミスティカ)の研究に手を貸してくれたのが始まりだったのですから」


 うっは、歴史を感じるなぁ。

 とにもかくにも、そういう理由で俺は後回しだったのかよ。


「それに、ヘキサグラム日本支部の責任者補佐は、乙葉京也が就任する予定だけれど……」

「え、うちの親父が? それじゃあパスだわ」

「でしょう? そういわれると思っていたから、そもそも話を振らなかったのよ……と、そういうことなので、この話はこれでおしまい。それじゃあ本題に入るわね」 


 そう告げた瞬間、それまでの穏やかな雰囲気から一転して、室内が緊張感に包まれた。


「乙葉浩介さん、あなたの保釈についての条件の一つ目、【災禍の赤月】についての情報を頂けますか?」

「それについては、既に瀬川先輩やみんなと話がついていますので……お願いします」


 そう、ここに帰って来て、すぐに俺は保釈の条件について説明をしてある。

 そして、今の状況では手が足りないこと、いつまでも【災禍の赤月】を止めることはできないという事実を打破するために、各国の退魔機関に【災禍の赤月】についての情報提供をすることについて了承して貰ったんだよ。

 そして、俺の言葉を聞いて瀬川先輩が、深淵の書庫(アーカイブ)から『知識のオーブ』を取り出すと、それをアナスタシア女史に手渡した。


「特定の知識を魔力変換したオーブです。手に持って魔力を循環させることで、知識として脳内に刷り込まれていきますわ」

「ふぅん。記憶継承のようなものね。では、ありがたく……」


 アナスタシア女史はオーブを手に取り、両手で包むようにしてから魔力を注いでいる。

 その瞬間、彼女の顔色が真っ青になり、顔中に脂汗が滲んできている。


「……なるほどね。すでに、災禍の赤月・初動については阻止しているのね」

「「「「初動って?」」」」


 はい、初耳情報来ました。


「災禍の赤月、つまり『破壊神降臨の儀式』については、私たちもある程度の情報を入手しているわね。すべての始まりは、『破壊神の代弁者』と呼ばれているものが、この地に降り立つところからすべてが始まる……彼は二つの世界を一つにすべく様々な実験を行っていた。その一つが、鏡刻界(ミラーワーズ)から真刻界(リアルコクーン)への魔族の侵攻。それが成された時、この地球は魔族の支配する土地となる。その予言が発動するのが、昨年の十二月三十一日だったのですけれどね」

「何もなかったぞ……と?」

「ああ、オトヤンと俺たちで、転移門は封印してこっちに来れなくしたからな」

「そういうこと。それが初動の阻止。その次が、破壊神の再生に必要な三つの神器の回収。一つは力の宝玉と呼ばれている存在……そうね、貴方たちには『オールディニックの宝玉』といえばわかるかしら?」


 はい、わかりません。

 そもそも、オールディニックってさ、オーストラリアのウルルに封じられていた、使徒の親玉だよね? 俺が最強封印術式で封じたやつ。


「ああ、理解しました。でも、俺が封じたんだから、宝玉はないですよね?」

「いえ、それより先に、ダーク神父によって回収されているという証拠は突き止めてあります。そして二つ目の神器、『聖徳王の天球儀』、このレプリカもまた、伯狼雹鬼(はくろうひょうき)が所持しているという事で間違いはないのよね?」


 ああ、あくまでもレプリカであり、オリジナルは俺の魂だけれどね。


「そうですね。それで、三つ目の神器とは?」

「それについては、ヘキサグラムでも不明なのですわ。それで、貴方たちのデータベースにそれらしいものがないかと考えていたのですけれど。今、受け取った情報で、ある程度の予測は立てることができました」

「「「「それは?」」」」


 俺たち全員、思わず体を乗り出してしまう。

 だってさ、三つの鍵のうち、一つは俺の魂と同化していて、もう一つは伯狼雹鬼(はくろうひょうき)が回収したのだろうと理解できる。

 つまり、最後の一つを誰が手に入れるか、それこそが最後の切り札になるんだよ。

 そしてアナスタシア女史は考えている。

 それを告げるべきか、どうするか。

 だって、すっごい気まずそうな表情をしているからさ。

 そして、彼女の口から紡がれた言葉は……。

いつもお読み頂き、ありがとうございます。


・この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

・誤字脱字は都度修正しますので。 その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。



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[気になる点] そして救いの手を差し伸べてきた魔族を保護し、安息の地を与えるのが使命なのですよ。 差し伸べるのは救う側だから逆じゃないかな? 救いを求める魔族をでいいのでは
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