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【書籍化】ネット通販から始まる、現代の魔術師  作者: 呑兵衛和尚
第四部・魔人王降臨編

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第二百五十五話・衆口一致? 異口同音かな(枝を隠すなら森の中)

『ネット通販で始める、現代の魔術師』の更新は、毎週日曜日と火曜日、金曜日を目安に頑張っています。


 瀬川先輩の実家の会社。

 なんでそこに対妖魔兵器関係の開発が可能なのか、俺にはいまいち結びつかないんだけど。


『お母さまがお兄様より分離した妖魔の魂を、瀬川マテリアルの擬似魂に封じられて作り出されたのが、この私です』


 という我が妹、ミラージュの言葉を思い出したよ。

 ヘキサグラム・ボルチモア支部であるノーブルワンで、俺たちはその言葉を聞いて呆然としていたから、細かい部分については忘れていたわ。

 しかもだよ、結構前に親父が話していたあの言葉!!


『瀬川善弥は、表向きは普通の商社社長だったなぁ』


 なんか複雑な事情があるんだろうなぁ程度に考えていたんだけどさ。

 複雑どころか、ガチで魔族絡みの仕事をしていたんじゃないのか?


「瀬川マテリアルか。確かに可能性でいうならば、十分に考えられるが……」


 忍冬師範も腕を組んだまま呟いているんだわ。

 いや待って、それって政府レベルで理解しているって事なの?


「忍冬師範、瀬川マテリアルって瀬川先輩の親父さんの会社ですよね? 対妖魔関係でも有名なのですか?」

「まだ陰陽府があった時代は、瀬川マテリアルは妖魔を封印するための媒体を作り出している会社でもあったからな。表向きは貴金属貿易と加工品などの会社だっだが、裏では対妖魔用封印媒体の作成を手掛けていた」

「でも、肝心の封印術師が存在しなくて……御神楽様が、古くなった封印媒体から新しいものに移し替える時に使用するぐらいだったのです」


 師範と要先生の説明を受けて、俺たちは納得。

 ちなみに先輩自身も、そこまでの説明を聞いたのは初めてであったらしい。


「瀬川マテリアルの擬似魂の話を思い出して、ひょっとしたら私の父の会社ではと思っていましたが……本当に、そういう部署があったのですわね?」

「まあ、表向きには出てこない退魔法具開発セクションではあったが。基本的には政府からの依頼を受けて、回収した退魔法具の解析や封印媒体の制作をメインで手掛けていただけだ。でも、そっちの方面に強いのは事実だからなぁ」

「母の元に時折、防衛省の方がいらしていたのは、そういう事だったのですね……という事で、改めて私の方で母に尋ねてみることにしますわ」


 瀬川先輩の所なら、魔導具の図面や一部素材を渡しても良いかな。

 変な奴らがいるとは思えないし、何かあっても深淵の書庫アーカイブで追跡可能だと思うからさ。


「現行、日本国内で魔導具を作れる可能性のあるメーカは……瀬川マテリアル、太田技研、四菱重工の三つ、防衛省魔導具開発部、そして乙葉浩介か。信頼性なら乙葉浩介一択だが、量産が効かない……のだよな?」

「そうですね。俺の魔力でも作り出せる素材と作り出せない素材がありますからね」


 そういう事にしておこう。

 先輩のところはともかく、残りの二社って?


「あの、太田技研と四菱重工は、どうして魔道具が作成できるのですか?」

「新山くんが疑問を持つのは当然だから説明するけど。その二社には、開発部に魔族がいる」

「「「ええええ!!」」」


 そりゃ初耳なんだけど。

 いや、それってつまり、在野の魔族を徴用したって事?

 在野とか徴用って言うと、栄光のゲームを思い出すなぁ。


「驚くことはないだろう。別に一般市民の中に紛れ込んでいる魔族もいるっていうことだ。以前、井川くんが無闇矢鱈に妖魔を狩っていた時、その二社にも魔族がいることを突き止めたことがあるらしくてな」

「残念ながら、逮捕令状も出なくて家宅捜査もできなかったので、最後まで調査することはできなかったのですけど……ほら、転移門が乙葉君に封印されてから、第六課には市民に紛れ込んでいた妖魔が庇護を求めてきたことが何度もあったのよ。その中の二人が、太田技研と四菱重工に勤務していたことがわかったのよ」


 そして改めて確認をとったら。

 彼らは自らの正体を晒し、今までの生活を保障することを条件として『魔法に関する知識』を提供したらしい。

 その事実を知っているのは企業上層部のみ、新設した『魔導開発部』は魔族社員が主メンバーとして活動しているとのこと。


 未だ魔族に対して嫌悪感の強い防衛省などでは、とうてい考えられないことが民間では普通に起きている。

 しかも、九州では日本国籍を持つ魔族が『なんでも屋』を始めたらしく、陰陽府が存在していた時代のように魔族からの協力者も表に出始めているらしい。


「はぁ。俺の知らない世界だ……この一年半で、そこまでいろんなことが起きているのか」

「私も……初めて知りました」

「まあ、基本的に表に出ない情報だからな。円山の喫茶・九曜のような場所だって、探せば色々と出てくるかもしれないからな」

「しかも、最新情報としてとんでもないことも噂されていたからな」


 ほう。

 その噂って、嫌な予感しかないんだけどさ。

 そう思って周りを見渡すと、新山さんも瀬川先輩も苦笑いしている。

 つまり、そういうことなんだろうなぁ。


「浩介は魔人王って知っているか?」


──ドキーン×3

 ほら来た。


「異世界鏡刻界ミラーワーズの魔大陸、そこを統治する王が魔人王だって話は、白桃姫から聞いたので知ってますが」

「噂では代替わりしたらしい。先代魔人王は、我々の世界を支配するべく、幾度となく侵攻を繰り返してきたらしいが、今代の魔人王はどのような考えを持っているのか……」

「出来るならば、向こうの世界でおとなしくしてほしいわよね。乙葉くんたちも、余計な仕事が増えなくて助かるでしょ?」

「そうですね。その方が助かります」


 こりゃあ、先輩の件は可能な限り隠す方向で確定だな。


「話を戻すが、魔導具の件は瀬川くんに確認をお願いしたい。こちらからも打診するが、それは瀬川くんからの報告を待ってからだ。その間に、浩介は水晶柱に付与する魔導具の作成は可能か?」

「水晶柱に集まる魔素を拡散するのですよね? 素材は……まあ、なんとか考えてみますので、第六課で全国各地の水晶柱の本数を確認してください」

「わかった。それについては瀬川くんの深淵の書庫アーカイブにも協力をお願いしたい」

「はい。わかりましたわ」


 次々と方針が決定していく。


「新山さんは引き続き、時計台病院で治療補助をお願いします。井川さんの代わりに私が護衛として同行しますので」

「はい!! 放課後しか活動できませんけれど、それでよければ問題ありません」

「基本的に、君たち三人は未成年であり学生だから。本分に支障のないように協力をお願いしたい」

「「「はい」」」


 これで今後の方針は完了。

 俺は魔導具を作って全国各地に設置……いや、ちょい待ち。


「師範、今のスケジュールだと、俺って全国行脚の旅に出ないとならないんじゃないですか?」

「要くんと井川くんでは、魔導具の設置はできないか? もしも可能なら、二人に魔導具の設置方法をレクチャーしてほしいのだが」

「あ〜。そういうことですね。それじゃあ、魔導具初心者でも簡単に設置できるものを作ってみますか」


 ようは、魔導具設置時の必要魔力設定を弱めるだけ。

 でも、これにも問題があってさ、魔術が使える奴らは解析して解除可能になるかもしれないんだけど。

 そのあたりが不可能になる鍵でも一緒に作るとしますか。



 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯



──新千歳空港

 カリフォルニア国際空港発、成田行き。

 そして成田から北海道は千歳に。

 長い長い旅を終えて、藍明鈴と馬天佑、ジェラール・浪川の三人は、千歳空港にやってくる。


「はぁ。これでようやく羽を伸ばせるわ。もうエコノミー席なんて座るものじゃないわ」


 到着ロビーを出て、明鈴が体を伸ばす。

 その背後からは、ファースト席を満喫した馬導師とジェラール・浪川の姿もあった。


「……お前、なんでエコノミーなんかに座ったんだ?」

「ジェラール、小姐にも予算がある。我々のような贅沢はできないと言う事だ」


 明鈴の様子を見て、ジェラールと馬導師が憐憫の声で呟く。


「き、こ、え、ているわよ。それで、ジェラールはどこに向かうつもりなのよ!!」

「さぁ。それをお前に言うつもりはない。とりあえずは宿を取るために札幌にでも向かうさ」

「と言う事なので、私もこれで失礼。あなたのマスターであるマグナムどのによろしくお伝えください」


 白いボルサリーノの帽子を外し、丁寧に頭を下げる馬導師。

 そしてジェラールはバス停へ、馬導師は地下のJR駅へと向かう。


「あ、あの、私はここは初めてなのよ? まさか置いていくって言わないわよね?」

「「グッドラック!!」」


 そう言い残して二人は立ち去る。

 

「……嘘でしょ?」


 一人残って呟く明鈴。

 ちなみに彼女、日本語は全くダメ。

 英語と中国語は完璧にマスターしたものの、日本語までは必要はないと覚えていなかった。

 つまり、全く見知らぬ異国の地で、1人ぽっちである。


………

……


──札幌・JR苗穂駅

 札幌駅が妖魔特区内なので、千歳から札幌に向かうJRはこの苗穂駅が終点となる。

 結界が発生してからは、苗穂駅周辺は開発が一気に進み、結界外縁部を巡る環状路線バスなどが走っている。


「さて。ここから先は、ジェラールの動向を掴んでから……と思ったけど。どうやらそうもいっていられない感じですなぁ」


──ブゥン

 懐から五枚の呪符を取り出し、魔力を込めて空に放つ。

 それはすぐに烏の姿に変化すると、一羽を残して四方に飛び立った。


「さて、この歪なまでの魔力の澱み。これの中心点があの結界であるとして、何故ここまで負の魔力が活性していたのか、調べる必要はありますか……いずれにしても、ここに、ジェラールが向かったと言うことは、この地に魔人王がいるのは確実だろう」


 より強い魔力を探すために放った式符。

 やがてその符が強烈な魔力を感じ取ると、馬導師はその方角……豊平区方面へと向かう事にした。

 


いつもお読み頂き、ありがとうございます。

誤字脱字は都度修正しますので。 その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。

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[気になる点] 喫茶店の名前は九曜なのか七曜なのかようかここのかとうか
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