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【書籍化】ネット通販から始まる、現代の魔術師  作者: 呑兵衛和尚
第四部・魔人王降臨編

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第二百五十話・内憂外患、祖にして漏らさず(魔人王、パないと思ったけど)

『ネット通販で始める、現代の魔術師』の更新は、毎週日曜日と火曜日、金曜日を目安に頑張っています。

──札幌市妖魔特区・大通りダンジョン


 妖魔特区が完成してから、札幌市の地下街は一気に風化が進み、ダンジョン化の様子を見せている。

 現時点で最も危険なのが、『大通り地下ダンジョン』『札駅迷宮』、そして迷宮化した地下鉄施設『サブウェイ迷宮』の三つ。

 しかも、この全てがリンクしているため、当初調査に向かった人々は、突然の妖魔の襲撃により撤退を余儀なくされている。


 これらダンジョンが生まれてから一年、日本政府は地下施設のダンジョン化については秘匿を続けている。

 入口は特戦自衛隊によって厳重に封鎖され、関係者以外には入ることができないようになっている。


 それは何故か。


 地下迷宮は鏡刻界ミラーワーズから流れてくる魔障・魔素によって変貌を続けており、また、魔素から生まれる魔獣により危険度が高まっているから。

 そしてもう一つ。

 魔素によって変貌したのは生き物だけではない。

 運良く風化を逃れた『地下街に並ぶ商品』の一部が、魔導具化を始めている。

 もっともこれについては、日本政府も掴めていない事実であり、表に出ることなどなかった。


 先日、サンフランシスコ結界が発生するまでは。


………

……


 朝。

 いつもの日課を終えて、俺は学校へ向かう。

 カナン魔導商会からの納品依頼は届いていたけど、これは急ぐものじゃないから問題はない。

 むしろ午後からの妖魔特区内ダンジョンの攻略戦に、俺の意識は半分程度持っていかれている。


 よくある異世界ラノベ系、現代世界にダンジョンが現れたはよく読んでいたけど、自分で経験することになるなんて想像はしていない。

 でも、一刻も早く札駅迷宮に移動したらしい活性転移門をどうにかしないと、他の場所でも同じことが起こりそうだからさ。


 そんなこんなで学校に着いたんだけど、クラスの中が騒がしい。


「おい乙葉!! 妖魔特区にダンジョンが出来たって本当か?」


 騒動の中心にいる男子生徒、クラスメイトの梶原が俺のところにやってきて質問するんだが。

 いや、あるって話は知っているけど、それは秘匿情報なんだけど。


「なんでいきなり。何かあったのか?」

「これを見ろよ、朝のCNNニュースなんだが」


 スマホを取り出して、アメリカのニュース番組を俺に見せる。

 そこには、サンフランシスコ結界内部にある【ミュニメトロ】。都市部の地下を走る地下鉄で、途中から地上へと姿を表すのだけど、この路線が全て『ダンジョン化』したらしい。

 しかも、内部には低級魔族や魔獣が群れを成しており、まるで異世界のダンジョンのような姿になっているとのこと。

 内部調査をしていたヘキサグラムの機械化兵士エクスマキナがこれを発見、内部は異世界そのもののように変貌していたと言うことから、すべての地下鉄入口が封鎖されてしまったらしい。


「はぁ、こりゃまたとんでもないことに。それで、お前はなんで怒り立っている?」

「いいか乙葉!! お前が現代の魔術師という事は十分に理解している。潜在的に魔力が高くなければ魔術師になれないことも、俺たちは理解している。その上で!!」


──ダン!

 梶原が机を叩く。


「俺たちが冒険者になれる可能性があることを、何故黙っていた!!」


 周りからは拍手喝采。

 いや、お前ら、死にたいのか?


「そもそも、妖魔特区ダンジョンは関係者以外は立ち入り禁止だし。死ぬ覚悟があっても入れるはずないだろうが」

「そこだ、そこで乙葉の出番だ。おまえ、札幌に冒険者ギルドを作らないか?」

「……梶原。いくら拗らせすぎたと言っても、俺はおまえほどの厨二病はなかったぞ。なんで俺が、冒険者ギルドを作らないとならないんだよ」

「おまえがギルドの責任者になって、地下街ダンジョンとかの調査依頼を俺たちに出してくれ。そうすれば、俺たちは合理的にダンジョンに入ることもできるし、財宝も手に入るだろ?」


 あ、織田を超えたアホが生まれていた。

 ここまでの拗らせっぷりは、織田以上だわ。


「まあ、気持ちはわからなくもない。けど、なんで財宝?」

「これを見ろ!!」


 そう問いかけると、梶原が別のニュースを映してくれた。

 それによると、サンフランシスコ地下鉄ダンジョンから帰還したヘキサグラムの調査員が、魔導具化した物質をいくつか回収してきたらしい。

 あ〜。

 これは知らなかったわ、こんなことが起きているのか。

 でも、この短時間で魔導具化ってことは、妖魔特区内ダンジョンなら、さらに高位の魔導具が生み出されている可能性もあるってことか。


「ははぁ、これは俺も知らなかったわ。こりゃ凄いな」

「だろ? 今のサンフランシスコは、ゴールドラッシュならぬダンジョンラッシュに盛り上がっているわ。マジックアイテムを回収してこれたら、好事家が高く買い取るってインターネットでも宣言していたからな」

「つまり、俺たちも金持ちになれる可能性があるんだ。高校を卒業したら冒険者として生計を立てる。そういう選択肢が増えたんだぞ!!」

「だから、俺たちにも冒険させろよ? 織田もそう思うだろう?」


 次々と俺に力説するばかりか、織田まで巻き込もうとしているなんて。


「いや、俺は高校卒業したら大学に普通に行くんだけど?」

「何故だぁぁぁぁ。おまえも魔法使いだろうが、俺が前衛をやるから後衛を任せるわ、新山さん、回復要員で俺たちとパーティを組んでくれ!!」


 どこまでも暴走する梶原。

 だが、新山さんの一言で轟沈。


「お断りします。もしパーティを組むとしても、私は文学部の方と組みますので」

「だよね〜」

「くっそ、あっさり断られたわ。他に回復要員を探さないと、危険だよなぁ」

「梶原。そもそも、神聖魔法を使えるのは新山さんだけだから諦めろ。そして、俺は冒険者ギルドなど作る気もない。この話はこれで終わりだ、授業も始まるぞ!」


 俺の言葉と同時に予鈴が鳴る。

 梶原も諦めて、席に戻る。

 そしてのんびりとした一日が始まった。


………

……


 はい、のんびりとした一日、終わりです。

 放課後は部活は休止、俺と新山さんは瀬川先輩と合流するために妖魔特区へ。

 そして、大勢の報道陣が集まって待機しているのを横目に眺めつつ、姿を消して十三丁目ゲートに近寄って一気に突破!!


「よう。もっと遅いと思ったぞ」

「二人ともこんにちは。外、凄かったでしょう?」


 既に十三丁目セーフティには、忍冬師範と瀬川先輩が待機していました。

 そして、特戦自衛隊の隊員も。

 

「あれって、サンフランシスコ結界のダンジョンの件ですよね?」

「ああ。どの放送局も、ダンジョンの内部撮影一番乗りを目指してやって来たらしい。中には政治家に働きかけて、上から圧力をかけようとしたらしいんだけどな」

「その程度の圧力なんて、簡単に握り潰していますからなぁ」


 忍冬師範の横に立つ、防刃ジャケット姿の自衛官。

 よく見ると、他の特戦自衛隊もいつもの『権力バカ』とは違うようだけど、どちらさま?


「はじめまして。本日より『妖魔特区警護任務』担当になった国分正一です。階級は2等特佐だが、君達はあまり気にしなくて構わないからな」

「同じく、田畑いのり一等特尉です。よろしくお願いします」


 特佐? 特尉?

 はて、聞きなれない言葉だけど。


「特戦自衛隊の階級は全て『特』に省略されている。陸自だと陸尉、空自だと空尉といった感じで、特戦自衛隊だと特尉になる。昨日までの妖魔特区担当自衛官は、その経験を活かして永田町方面に出向となったからな」

「なるほど。忍冬師範、ありがとうございます」


 説明を受けて納得。

 そりゃあ、対妖魔戦の経験のある自衛官を国会議事堂防衛に回すのは基本だよね。

 それで、キャンプ千歳近くで訓練をしていた国分二佐たちが担当として送られてきたらしい。


「今回の件ですが。俺たちが向かうのは札駅迷宮で、目的は活性転移門の浄化及び殲滅で問題はないのですよね?」

「ああ。君たちの護衛という任務もおおせつかっている。私は同行できないが、田畑二尉と他の隊員が同行する」

「それは助かります……けど、忍冬師範、装備とか大丈夫?」


 対妖魔用装備なんてものは、特戦自衛隊にはまだ支給されていない。

 それでも、普通のものよりも丈夫な防刃ジャケットなどの装備をしているけど。

 正直いうと、不安ではあるんだよなぁ。


「特戦自衛隊の装備については、ぶっちゃけると不安しかない。第六課は浩介が用意してくれたミスリル装備があるので、ある程度の戦闘力は保持している自信はあるのだが」

「つまり、今の装備では札駅迷宮での戦闘力はあまり期待できないということか」


 国分二佐が申し訳なさそうに呟く。


「乙葉くん……今回の任務中だけでも、手助けしてあげられない?」

「ふむむ? 新山さんからそういう言葉を聞くとはある程度の予想はしていたけど……たしかにそうなんだよ」

「私って、かなり大勢の自衛官や市民の怪我を治療してきたから。あまり危険なことには参加してほしくないっていうのもあるのよ。でも、自衛官の人たちは、わたしたちを助けるのが使命だから」


 俺としても、その意見には賛成。

 俺をうまく利用しようという奴らになんて力を貸す気はないんだけど、そうじゃない、一緒に戦ってくれる人たちになら、力を貸すことには問題はないと思いつつあるからさ。


「……よし、それじゃあ、俺たちと同行する方はこちらに立ってください。今所持している装備全てを、一時的に『魔導化』します」


 これは錬金術の一つ『魔導化』を施すだけ。

 つまり、自衛官の装備全てを一時停に魔導具に仕上げるって寸法で、俺にかかる負荷も少ない。


「そんなことが可能なのですか?」

「ぜひともお願いします」

「では、こちらにどうぞ」


──ブゥン

 特戦自衛隊四名の足元に錬金魔法陣を起動。

 そしてゆっくりと魔導化を施すんだけど、これには式番設定、つまり強度上昇ができない。

 俺の魔力に合わせた強度計算が自動的に処理されているらしいんだわ。


 そして五分ほどで魔導化処理が終わってサーチゴーグルで鑑定したんだけど。


『ピッ……特戦自衛隊装備は、全て中級魔導具処理が完了しています。効果時間は永続です』


 うん、まあ、やっちまった感満載。

 しかも、誰でも使える魔導装備になっちまったわ。

 瀬川先輩の深淵の書庫アーカイブでも確認できたらしく、中で頭を抱えていますが。


「あのね乙葉くん。久しぶりなので手加減できないのは理解していますけど、誰でも使えるものにしたのは問題があると思いますよ?」

「まあ、そうですよね……では、気合を取り直していきましょうか!!」

「全く……」


 先輩の話で忍冬師範も理解したらしい。

 そしてなによりも動揺しているのが、目の前の四人。


「え? つまり、妖魔と互角に戦える装備になったのか?」

「ま、まあ、そういうことで。互角かどうかはわかりませんか、通用する装備には仕上がっていますので……さーせん」


 誰というわけでなく、誤ってしまったが。

 まあ、これで準備は調った、いざ、鎌倉!!

 

いつもお読み頂き、ありがとうございます。

誤字脱字は都度修正しますので。 その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白い!毎日読んで寝不足です! [気になる点] どんどん権力に引き込まれてる感が出てきた気がします。 第六、海外、特戦自衛隊と良く言えば協力だけど、どんどん魔道具や魔術を広めてるのが気にな…
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