表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】ネット通販から始まる、現代の魔術師  作者: 呑兵衛和尚
第四部・魔人王降臨編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

209/601

第二百八話・生者必滅、しのぎを削り切る!(拳で語り、魔術で語る)

『ネット通販で始める、現代の魔術師』の更新は、毎週日曜日と火曜日、金曜日を目安に頑張っています。

 乙葉浩介と築地祐太郎が、謎の魔族と戦闘を開始した直後。


──ピッ

深淵の書庫アーカイブ、先ほど築地くん達が確認した魔族の反応を追跡して!」

【ピッピッ……十名存在した魔族固有反応については、現在は三、三、四に分かれて移動中です。ボルチモア内の都市部監視カメラでは、載っている人物が魔族かどうかの判別は不可能】


 乙葉くん達が戦闘しているのを、黙って見ているだけじゃない。

 私たちには、私たちのやり方があります。


「新山さん‼︎」

「了解です‼︎ 広域感知魔術式の発動を承認。対象は……魔力保有量100以上の存在‼︎」


──ブワサッ

 車から飛び出して手にしたスクロールを投げるように広げると、新山さんが魔力感知術式のスクロールを発動しました。

 深淵の書庫アーカイブでは広域魔力感知は不可能なので、ここは新山さんの出番です。


「反応値が七つです、セレナさん、12番のスクロールをこちらによこしてください‼︎」

「は、ハイでーす!」


 後部座席一杯に並べられた大量のスクロール。

 わかりやすいように一つ一つがナンバリングされているらしく、新山さんがセレナさんに指示を出してスクロールを受け取っています。

 上手く連携が取れ始めていて、なんだか頼もしく思えます。


「十二番デス‼︎」

「ありがとうございます。新山小春の名において発令‼︎広域感知魔法を深淵の書庫アーカイブに付与‼︎」


──ブゥン

【新山小春の発動術式をリンク】


 十二番スクロールは、使用者の魔術を付与する術式なのですね。

 これで深淵の書庫アーカイブが広域魔力探知可能になりましたわ。


「セレナさん、次は八番と十九番をお願いします」

「了解デース‼︎」


──ポイッポイッ

 すぐさま次のスクロールが新山さんに渡されると、すぐさまスクロールを広げて詠唱を始めています。


「猛り勇まし猛牛の如く! かのものに、ひとときの力を授けたまえ‼︎」


 左手のスクロールが光り輝くと、それが一直線に乙葉くんに目掛けて飛んで行きました。

 そして彼の背中に張り付くと、そこから翼が広がったのです。


「オーマイガー! 飛翔の術式デスカ‼︎」

「はい。ほんのひとときですが、乙葉くんに翼を授けました。これで勝負は互角になると良いのですが……」


 いえいえ、互角どころかとんでもなく心強い力を得ていますよ。

 これで乙葉くんも、本気でやり合うと思いますから。


「続いて……築地くんは大丈夫そうだから、これをいきます‼︎」


──スルスルスルッ

 広げたのは十九番スクロール。

 あ、なるほど理解しましたわ。


「天地仰天、謎の魔技。我が魔力より15の力を注ぎ、やって来い来い白き使いよ‼︎」


──ポンッ

 スクロールが突然消滅した?

 いえ、あれは姿を変えたのですよ。

 白い小さな鳩に。


「ターゲットロック、広域探知魔力の中でも、最も大きな魔力に向かって‼︎」


──クルッポー!

 魔力によって作られた鳩は、一鳴きしてから青空に飛び立つ。

 そして上空で数度、大きな旋回をしたのちにどこかに向かって飛んでいった。


「新山さん、もう、十分よ。このあとは回復魔法が必要になると思いますので、少し体を休めてね?」

「あ、はい。わたしも少しは役に立ったでしょうか」

「もう十分すぎるほどにね。でよ、これだけは覚えておいてね、あなたの仕事はヒーラー。仲間が危険な時にこそ、あなたの力は必要になるのよ。だから、魔力は温存しておいてね」

「は、はい‼︎」


 前線で戦っている乙葉くんと築地くんを癒せるのは、新山さんしか居ないのですからね。

 それにしても、セレナさんはサポートに徹しているようですけど、何かセレナさんしかできなさそうな事はないかしらね……。



 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯



 くっそぉ。

 完全に防戦一方になっちまったよ。

 梟男は上空から攻撃を続けてくるし、地上から魔法を飛ばしても、それにカウンターで羽を飛ばして相殺するし。

 こっちとしては、情報が欲しいから力を抑えないとならないんだぞ?


「ホーホホホーウ‼︎ 噂に聞いた現代の魔術師とは、この程度でしたか。これなら、わたしが二百年前に戦ったシャーマンの方が強かったですよ」

「シャーマン? アメリカにも魔術師がいたのかよ」

「ホッホッホ。かつて魔術師は、世界中に存在しました。アメリカのシャーマン、西洋の魔女、ドルイドとかいうのもいたそうですし……そうそう、中国には死体を操る導師というのもいましたか」


 予想よりも多いけど、今はその力を失ってしまっているんだろうなぁ。

 もしくは、その、血脈が閉ざされてしまったか。


──ダン!

 すると背後から、まるで金属を殴るような音が聞こえる。


「お、オトヤンか! そっちはどうだ?」


 俺に問いかけながらも、祐太郎は敵の骸骨というかミイラの乱打を受け流している。

 型は詠春拳か。

 機甲拳パンツァードが通用しない相手とはまた、面倒な。


「空を飛ばれているから、なかなか手が出せなくてさ」

「代わってやりたいところだけど、この近接特化リッチは相手が悪すぎるだろうからな」

「うわ、なにその微妙なアンデッド。普通はリッチといえば、大魔道士クラスだよな」


──シュッ

 すると、俺の背中に何かが張り付く。

 いや、いきなりなんだって、不意打ちかと思ったんだけど、張り付いたそれから新山さんの魔力を感じたんだよ。

 そして


──シュルルルルッ

 俺の背中に翼が現れた。

 なるほどら飛翔術式による翼の構築か。

 察するにスクロールを展開したんだろうなぁ。


「お、オトヤンいけるか? やばかったら手伝うが」

「いや、これで百人力だわ」


 背中の翼に魔力を注ぐ。

 うん、扱い方は魔法の箒と同じ、イメージによるフライト。


「ホーホッホッ。そのような付け焼き刃で翼を授かったところで、このわたしに追いつけるとでも?」

「甘いな、翼はイメージの増幅用だ。まだ飛行免許を取ってから間もないけどな……スクランダァァァァァァ!!」


 一気に翼から魔力を放出して加速。

 梟男目掛けて高速で飛翔すると、魔導強化外骨格メイガスアーマーを零式に切り替える。


「これでもくらぇぇぇぇ!」


 空間収納チェストからセフィロトの杖を引き抜いて魔力を注ぎ、その白い刃の部分で梟男とすれ違い様に翼を切断した‼︎


──ズバァァォァァ

 

「ホホホッ! そんなバカな!!」

「バカはお前だよ。なんで俺が加減して攻撃していたと思っているんだ。お前達から情報を聞き出すためだよ‼︎」


 落下中の梟男目掛けて加速して追いつくと、さらに魔力を込めた両足で飛び蹴りを敢行!


「メイガス・スラッシュキーック!」


──ドゴォォォッ

 この一撃で梟男は地面に目掛けて直撃。

 肉体構成しているから、ダメージはそのまま蓄積されるんだよな。


「こ、こうなったら‼︎」


──シュゥゥゥゥ

 翼の切断面から霧が噴き出す。

 霧散化の兆候なのは知っているんだよ。


──バッ!

 すぐさま空間収納チェストから封印媒体の宝石を取り出し、封印術式を発動。


「無詠唱、術式短縮、封印‼︎」

「ホ? ホォォォォォォォォォ!」


 一瞬、呆気に取られていた梟男。

 だが、俺が発動した術式がなんであるのか理解したらしく。

 俺の手の中のトルマリンの中に吸い込まれていきました。


「乙葉浩介の名において、封印呪符を発動する‼︎」


──ブゥン

 手の中に作り出した封印呪符をトルマリンに貼り付ける。

 これで梟男は封印状態である。


「ユータロ、こっちは終わったぞ!」

「お、おお、了解だわ!」


………

……


 オトヤンは終わったか。

 敵の妖魔の姿が見えないから、恐らくは封印したんだろう。


「余所見をしている余裕があるとはな……」

「いや、かなり余裕がないから、奥の手を使うわ」


──シュンッ

 素早く豪爆棍を取り出して構えると、リッチも俺の雰囲気が変化したのに気が付いたらしい。


「確か……獲物を持った詠春拳の使い手は、その強さが著しく高くなる、でしたか」

「まあな。さらに補足すると、この棍は剛剣のマイオスから接収したものを改造したからな」


──ブゥン

 棍に闘気を流し込み、軽く二度三度と振り回す。

 そして一直線にリッチ目掛けて構えを取る。


「素手の戦いに武器を持つとは卑怯なり、とか言うなよ。中国拳法は武芸百般、いかなる武器も使いこなしてこその武術が多いからな」

「分かってます。では参ります‼︎」


──ダン!

 いきなり踏み込みからの、肘による一撃。

 裡門頂肘(りもんちょうちゅう)を仕掛けてくるが、その体ごと豪爆棍で薙ぎ払う!


──ドゴォォォッ

 そのまま勢いに任せて振り抜くと、リッチはバランスを失って地面に転がった!

「そ、そんなバカな、詠春拳は柔の拳ではないのか‼︎」

「武術の達人を気取るのなら、イップマンでも見直してこいよ。じゃあな」


 油断なく、こんな鋭い突きを繰り出す。

 それを躱しながら立ち上がって構えるが、すでに遅い。

 そこは詠春拳の間合いだな。


──パパパパパァァァァァン

 闘気を乗せた散打を撃ち込み、リッチにダメージを蓄積させていく。

 そして止め!


──ガッゴォォォォォーン

 闘気を拳から相手の体内に爆発的に放出する勁砲けいほう

 この直撃で、体内の魔人核を破壊する。


「……我の一撃で倒しきれなかったのが敗因か」

「普通の武術だったら、あの初手の鉄山靠てつざんこうであんたの勝ちだよ。俺は魔闘家だから、闘気による回復術が使える。その違いだな」

「ふふふ、意外と狡いな……」


──フワサッ

 そう言い捨ててから、リッチは笑顔で消滅した。

 さて、弱らせて話を聞きたかったのだが、ついやり過ぎた感が否めないなぁ。


いつもお読み頂き、ありがとうございます。

誤字脱字は都度修正しますので。 その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 主観ながら魅力的な敵がアッサリやられて残念 武闘家リッチ……人が食料なの除けばキャラも建ってて正々堂々?武人な言動含め色々惜しい逸材だなぁ 脳内ランキング4位にランクされたのに(笑)
[一言] 鉄山靠・私が習った時は貼山靠として教わりました。師匠の年代や流派によってちょっとづつ違うそうです
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ