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【書籍化】ネット通販から始まる、現代の魔術師  作者: 呑兵衛和尚
第三部・異界侵攻編、面倒ごとがやってきた‼︎

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第百四十九話・曲突徙薪、猪突猛進かもしれない(実は、バクシンです‼︎)

『ネット通販で始める、現代の魔術師』の更新は、毎週日曜日と火曜日、金曜日を目安に頑張っています。


書籍発売まで、あと三日‼︎

 朝。

 快適な目覚めとは言いがたく、気温的には少し寒い朝。

 それでも札幌よりは幾分か暖かい。

 いつもなら寝坊をして、母親に怒鳴られながベッドから抜け出し、朝飯抜きで学校に走る。

 そんな日常とはおさらば、俺は今日から自由な生き方ができるんだ。


「……やべえ、何していいかわからねぇ」


 朝起きたのはいい。

 まあ、学校に通う必要も無くなったのはいいんだが、知り合いが誰もいないこの世界で、俺は何をしたらいいんだ?

 昨日の話だと、俺は間違って召喚されたんだろ?

 いや、正確には、乙葉が召喚されそうになったところに、俺が勝手に飛び込んだ。

 これで俺が異世界の勇者になれると思ったんだが、現実は非情だった。


──コンコン

『失礼します。朝食の準備ができていますので、食堂までどうぞ』

「あ、ああ、今から行くから」

『……それでは』


 うん、言葉は理解してもらえているようだから、今日からはどうやって俺のチート知識を有効活用するか考えてみるか。

 そのまま着替えて食堂に案内されて、朝から贅沢な朝食を……って、贅沢じゃないな。

 昨晩は赴き溢れる肉料理とかがふんだんにあったけど、朝は質素だった。


「白く柔らかいパン、野菜のスープ。これはソーセージか、あとは卵を茹でたものとミルクだな。ジャムもマーガリンも、ハムエッグもベーコンも無い……あ、チーズがあったぞ」


 目の前に並んでいるのは、普通の食事。

 いや、異世界だから、これでも贅沢なのかもしれない。


「食事が終わりましたら、お申し付けください。ティーをお持ちしますので」

「あ、ティーね、午前だけどティーね、うん、よろしく」


 そう笑って返事したけど、やべえ、どうやって食べたらいいのかわかんねぇ。

 

「パンは千切ってミルクにつけてお食べください。もしくは、チーズをのせるのもよろしいかと」

「あ、そうですか、ありがとうございます」


 思わず丁寧に話したけど、確かに言われた通りに試してみたが、やっぱりミルクが濃厚だった。

 それにスープは味が薄い、逆にソーセージは味が濃い。

 チーズに至っては、濃厚過ぎてくどい。 

 育ち盛りの俺としても、もう少しボリュームが欲しいところだけど、このバランスの悪い味付けには耐えられそうも無い。

 でも、王城でこのレベルだと、城外の、城下町ではもっと酷いのかもしれない。


「異世界転生者が、食文化でチートするのもわかるわ。ドレッシングもマヨネーズもないし、そもそも生野菜がないってどうよ?」


 そう呟くけど、食べることは食べる。

 これから、チートスキルをもらって冒険に出る予定だからな。

 いや、それも無理だったよな。


「ふぅ。チートスキルは貰えないんだったよな。俺、これからどうするかな」


 食後に手帳を取り出してメモを確認する。

 確かに異世界ものでは定番のチート知識がふんだんに書き込まれているけど、どれも試したことはないし専門書から写しただけ。

 実際にやってみろと言われても、何もできない自信はある。


「なあ、外を散歩してきてもいいか?」

「護衛の騎士をつけますので、もう少々お待ちください」

「護衛がつくのか? 俺一人ではダメなのか?」

「来賓として扱うようにとのことですので」


 それだけを告げて、メイドが何処かにいってしまう。

 そして5分後には、とってもむさ苦しいおっさん騎士がやって来た。


「ほうほう、この方が、フリューゲル様から説明のあった異邦人フォーリナーというやつですな?」

「フ、フォーリナー? 格好いい、それだ、俺は異世界から来たフォーリナーだ。と言うことで、街を散歩したいのだが」

「ええ、そのための護衛です。では、参るとしましょうか」

「い、よろしくお願いします。俺は織田、呼び捨てで構わない……です」

「私はラーラ・ルンバと申します。それでは参りましょうか」


 お、なんだか格好いい呼び方もされたし、少しは元気が出て来たぞ。

 なあに、いつか戻れるようになったら戻るって言っていたような気がするけど、それまでには俺はチート知識で成り上がってみせるぜ……はぁ。

 ……本当に、大丈夫かなぁ。



 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯



「ふむふむ。つまり、日本国公安委員会第六課の方は、わしの発明を使いたいということだな? よしわかった、大筋の話は確認した。つまり、異世界からやってくる侵略者からこの日本を守るのだな、いや、それ以上は何も言わんでいい、こちらとしてもようやく可動実験が完了したところだ。ちなみにだが、わしとわしの娘と、その友達にも協力してもらうが構わないかな、いや、彼女達でなくては、あの兵器を操ることはできない。それで報酬の件だが、成功報酬でかまわないので、指定の口座に振り込んでもらえると助かる」


 忍冬修一郎にんどう・しゅういちろうと井川遥の二人は、呆然とするしかなかった。

 以前、乙葉浩介から紹介を受けた、例の『洗脳解除装置』を作った有馬祈念のもとを訪れていたのだが、二人は祈念との話はこれが初めてである。

 以前は乙葉たちが仲介し、彼の娘さんとの話し合いで終わっていたため、祈念本人とは話をしていない。

 それで今回もそうなのかと思った矢先に、祈念の高速説明の洗礼を受けたのである。


「ま、まあ、それは構いません。今回は事情が事情ですので、相手は妖魔とは限らないのです。むしろ、異世界の人間を相手にすると思ってくださると助かります」

「参考までにですが、その兵器というのはどのようなものですか? 銃刀法違反には抵触しませんよね?」

「ふむ。それでは見せてあげようでは無いか。この私が自ら監修し、娘達に実験を頼んだ最高傑作の一つを、沙那、あれを持って来てくれ‼︎」


 近くで唐澤リナと話をしていた有馬沙那は、いきなり話を振られたので何事かと目を丸くしている。


「あの、お父さま、あれとは?」

「開発コード23と24だ」

「あー、はいはい、リナちゃん、手伝ってください」

「りょ〜かい‼︎」


 すぐさま沙那は、少し大きめのランドセルのようなものを背中に背負って来た。


「……これは?」

「これか? これはまあ、論より証拠だ、さっそく頼むぞ」

「はい、お父さま」


 すぐさま沙那は、小さな棍棒状のグリップのを取り出して、背中のバックパックから伸びるコードを接続する。

 そしてグリップの横のスイッチを入れると、そこから真っ赤な刀身が噴き出したのである。


「こ、これは一体?」

「アルゴンガスを用いたエネルギーブレードだ。しかも、装着者の魔力をベースに刀身を形成している。エネルギーにして物理、それを実現したのがこれなのじゃよ?」

「では、始めます。リナちゃん、いきますよ」

「おーらい、ブラスターガントレット、『ツァリプシュカ』装着‼︎」


 かたや、リナちゃんは、自分の右腕に巨大なガントレット『ツァリプシュカ』を装備した。

 自分の上腕の二倍の長さ、太さは三倍以上。まるでロッ◯マンの腕のような大きさの、綺麗な装飾が施されたガントレットである。

 その中に右手を突っ込んでリンクすると、ブラスターガントレットの先にあるマニュピレーターをガシャガシャと動かしている。


──バジィィィィッ

 そして沙那がリナに向かって勢いよく斬りかかるが、それをブラスターガントレットで軽く受け流した。

 そして暫くは演武が続けられるが、十分もするとお互いに疲れたのか、その場に座り込んで試合終了。


「こ、これはすごいのですが……威力が全くわかりません」

「すごい演舞を見せてもらったのは、理解できますけれど」

「そうか? では、ここからが本番じゃな。沙那、演舞はそれまでだ、切断実験を頼む」


 一息入れた沙那が祈念の声で立ち上がって、近くに置いてある鋼材に近寄っていく。


「それでは、いきますよ」


──ズバァッ‼︎

 エネルギーブレードを形成して、軽く鋼材に切りつける。すると、まるで抵抗が無かったかのように、鋼材が真っ二つになった。


「次は、リナちゃんいきまーす‼︎」


──ガゴグシャァッ

 右腕のブラスターガントレットで切断された鋼材を掴むと、それを軽く握り潰す。


「まだまだぁ‼︎ ドッカーン‼︎」


──ドグォォォォォォッ

 さらに、ブラスターガントレットの掌が開くと、そこから白い焔の弾が射出された。


「い、いまのは、完全に銃刀法違反ですよ?」

「ん? リナちゃんの魔力を凝縮して、打ち出しただけだよ?」


 あっけらかんと告げるリナに、忍冬も井川も目を丸くする。


「え、あの、唐澤さんは、魔法使いなの?」

「違う‼︎」

「あ、そうよね、なにかギミックよね」

「唐澤さんじゃなく、リナちゃん、です‼︎」

「「そっち(かよ、ですか)」」


 思わず突っ込む忍冬と井川だが、沙那が捕捉を加える。


「リナちゃんにとっては、名前は大切なのだそうです。ちなみに私は魔法は使えませんよ、以前、学校の魔術研究部での測定で、素質なしと判定されましたから」

「そうか、君たちも乙葉浩介の通っている学校の生徒だったよな。ちなみにからさ……リナちゃんは、素養があったのか?」

「常人の三倍以上、魔術素養ありです。でも、私もリナちゃんも、魔術研究会所属ですので、そっち方面でのお手伝いはできませんので、あしからず」

「あしから、ず〜‼︎」


 一瞬、彼女達をスカウトしようとした井川だが、魔術研究会所属と聞いて断念。

 つまり、彼女達も乙葉浩介に認められた存在なのであると、理解した。


「しかし、このガントレットは凄いですね。お借りしてもいいですか?」

「いいよ、片腕で80kgだけど大丈夫?」


 忍冬は、ガシッと立てかけてあるガントレットに腕を入れて持ち上げようとするが、当然ピクリともしない。


「ち、ちょっと待ってくれ、君はこれを軽々と持ち上げていたよな?」

「中にある魔晶石にリンクする。すると持ち上がるけど、できる?」

「リンク、魔力の接続だな」


 右腕に闘気を集める忍冬だが、全く反応しない。


「そのツァリプシュカは、リナ坊専用装備じゃ。乙葉浩介から譲り受けたミスリルとアダマンタイト、そして我が工房に古くから伝えられているオリハルコンのような謎の金属と伝承にあったルナテクタイトを用いて作った、わしの最高傑作の一つだ。ちなみにわしの最高傑作は全部で152ほどあるが、ほとんどが動かなくて困っていた。じゃが、リナ坊がアルバイトとして手伝ってくれてからは、そのほとんどが最高傑作ではなく駄作だったことが判明したのじゃよ。そこでわしは、過去の最高傑作は全て封印し、新たなる最高傑作シリーズの制作を始めた。その第一弾がリナ坊のツァリプシュカじゃ」


 だーっと説明しながら、過去の作品を次々とホワイトボードに書き出す祈念。

 今更ながら、忍冬と井川の二人は、さきに乙葉浩介に声をかけて、彼と一緒に来たらよかったと後悔し始めていた。



 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯



 朝。

 快適な目覚め。

 まだ5月なので、少し肌寒い日もあるが、今日は暖かい風が吹いている。

 いつもなら朝飯を食べて学校に行くところだが、今日はこれから異世界探訪。

 すでに親父達には説明してあるので、あとは妖魔特区の札幌テレビ城下で、水晶柱ターミナルに鍵を使っていってくるだけ。


「まあ、心配なのは心配だが、その同級生を助け出せるのも、お前だけなんだろう?」

「正確には、鍵を使えるのが俺だけってこと。祐太郎も使えるけど、使ったら意識を失いそうになるからダメ。そもそもの魔力保有量の桁が違いすぎてね」

「……そうか。まあ、無事に帰ってくることを祈るよ。昔、陰陽府にも勇者召喚術式についての書物はあったんだけど、今は原本が残っていなくてな。それがあったら、逆召喚、つまり遠隔送還ということもできたかもしれないんだ」


 なるほど。

 そんな大切なものを、なんで無くしたかなぁ。


「それって、御神楽さまなら可能な案件?」

「いや、力を得る神がちがうから無理だそうでな。その後、原本が持ち出されて行方不明になったらしい」

「……まあ、最悪、俺が戻らなかったら、妖魔特区の白桃姫にでも話してくれるといいわ。ひょっとしたら、何か力になってくれると思うから」


 先に保険はかけておく。

 

「分かった。じゃあ、気をつけてな」

「応さ‼︎」


 そのあとは荷物を纏めてから空間収納チェストに放り込み、祐太郎の家の中庭へ向かう。

 すでに新山さんと祐太郎、瀬川先輩、そしてリナちゃんと有馬さんまで待っているじゃないか。


「おやまあ、皆さんお揃いで。見送りなんていらなかったのに」

「新山さんがな、どうしても見送りたいんだってさ」

「私たちも、心配なのですよ。それに、唐澤さんと有馬さんの二人も、見送りに来てくれました」

「違います、リナちゃん、です‼︎」

「そういうことですので、乙葉先輩、お気をつけて」


 にこやかに手を振る一向。

 そして新山さんが、俺に小さなカバンを手渡す。


「お弁当、作って来たから。それじゃあ、いってらっしゃい」

「ありがとう、それじゃあ行ってくるわ」


──シュンッ

 空間収納チェストから魔法の箒を取り出して跨ると、ゆっくりと上昇を開始する。

 そして大勢が手を振っている中、俺は妖魔特区へと向かっていった。

 

いつもお読み頂き、ありがとうございます。

誤字脱字は都度修正しますので。 その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。


・わかりやすいネタ

 侍spirits / グループSNK

 

 

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― 新着の感想 ―
[一言] ラーラルンバ ランバラル
[一言] ルナテクタイトとか謎のオリハルコンとかアトランティスの存在感満載ですね。(月にムーンテクトは居るのかな?)
[一言] 織田ー いつもの強気と強化ポジティブ思考はどしたー 異世界で折れるなー チートなくてもその心の強さでガンガンいけー 戻す方法もないのに異世界から勝手に片道召喚しようとするような誘拐犯に負ける…
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