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MAP機能で世渡りを  作者: 偽りの仮面士
3区画目 新婚時代
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トワの顔合わせ

 家族四人で寝室に戻る。トワは相変わらずラタン姉にしがみついたままだったので、ラタン姉が抱っこして連れてきた。


「二人もちゃんと眠れてないでしょう?聞きたい事とか話したい事とか沢山あるでしょうがしっかりと寝ないとダメなのです……大丈夫、どこにも行きませんから」


 最後にそう付け加えるくらいには、僕らの表情は不安そうに見えたのだろう。召喚があり、肉体的にも精神的にも疲れているのは確かだったので言われた通りに瞼を閉じる。これが夢の一幕でない事を願いながら。


 窓から朝日が差し込み、顔を照らされて目が覚める。長い事眠っていたようで、既にスズちゃんは寝室にはおらずMAPで確認すると台所でリンベル達に指揮をとっているようであった。


「おはようなのですキルヴィ。ほら、トワちゃんも」


「おはようおとうさま」


 相変わらずラタン姉へと抱きついているトワへ、よくできましたと頭を撫でる。そういえばモニカの時はお父さん呼びしていたけど、こっちではお父様と呼んでいるのは何故だろう?


「こっちのトワがそうしたいってねがっているからよ」


「こっちの……って事は元々こっちにいたトワの意識とは別にモニカとしてのトワもいるって事?」


 「うん」と頷くトワ。まるでアンジュ母さんとアンちゃんの関係みたいだ。厳密にはアンちゃんは母さんの生まれ変わりなので、過去と未来の当人同士というトワとは異なるのだが。そんな事を考えていたら、床から視線を感じる。いつこちらに気がつくのだろうと言いたげに鼻から上だけを出した、ジト目のアンちゃんだった。それを見つけたトワの顔がパアと輝く。


「おばあさま!」


 中身的には間違いではない(なんだったら曽祖母?)が、想定外の呼ばれ方だったのだろう。目を見開いて空いた口が塞がらないと言うような表情になったアンちゃんが床から出てきた。その様子に僕とラタン姉は吹き出す。そんな事はお構いなしに、ラタン姉の元からようやく少し離れてアンちゃんに抱きつくトワ。


 この様子を見るに、話題には上がらなかったがモニカだった時の主な話し相手はアンちゃんだったのだろうな。アンちゃんは悪戯好きなところを除けば世話焼きだから。今も自分へと楽しそうにずっと話しかけてくるトワに対して、正気に戻って色々と受け答えをしてくれている。


「なんだか姉妹みたいですね。アンジュとの昔を思い出しちゃいます」


 かつての自分を重ねたのであろうラタン姉が微笑ましそうにそれを眺めていたので、何とはなしに隣に座って肩へと手を回し、二人寄り添って二人の会話を見守った。その内に朝の支度を終えたのであろうスズちゃんが戻ってきて僕達に加わる。


「さて、と。もういい時間ですし皆へとトワちゃんのお披露目としたいんだけど大丈夫かな?」


 二、三言交わした後、頃合いを見て切り出したスズちゃんの言葉に、アンちゃんとの会話を止め少し不安げな顔になりながらまたラタン姉にくっつくトワ。「あまえんぼー」とアンちゃんがからかいつつも対抗と言わんばかりに僕へとしがみついてきた。自分のところには来なかったのでスズちゃんが羨ましそうに僕達を見てくるのでラタン姉と一緒にその頭を撫でる。


 朝食の場で集まってきた面々へと、未来の話は伏せた上でトワの紹介をすると、突然増えた家族に皆一様に呆気に取られたような顔をした。クロムなんかは何事もなくつとめて澄ました顔で僕へとおめでとうと言ってきたが、長年一緒にいたから内心では結構驚いているのがわかった。


「クロムと申します。トワお嬢様、これからどうぞよろしくお願いします」


 長身の彼は背が低いラタン姉に抱えられたトワへと目線を合わせるように、胸に手を当てながら深く頭を下げる。


「こちらこそです、クロムおじさま」


 「これは素晴らしいお返事ありがとうございます。私は確かに叔父に当たりますが、一使用人としてどうか気軽にクロムとお呼びください」


 クロムの挨拶を皮切りに、次々と挨拶をしていく面々。意外ではあったがハドソン達がすんなりと受け入れてくれた反面で、インベルをはじめとした女の子の使用人見習い達は見かけの年があまり変わらない事もあり、接し方をどうすれば良いのか不安気になっているようだった。


「主従を気にせず、僕とクロムのような友人として接してあげてほしいな」


 助け舟のつもりでそう言ったが、彼女達は頷いてはいるもののますます恐縮してしまった。「そりゃ逆効果ですよ」とラタン姉も呆れた様子で僕を見る。


「忘れたのかもしれませんが、あなただってクロムとぶつかった事があるでしょうに。無理そうであれば静かに距離を取っても構いませんからね。トワがボクやスズと一緒にいる時に世間話するくらいでいいのですよ」


 そういえばそうだった。あのぶつかりがあったからこそ、クロムとは今の距離感になったのが頭からすっぽりと抜けてしまっていた。それにしても、トワの影響からかなんだかラタン姉が急に大人の余裕を持ち合わせたように思えて少し驚いている。そんな事を思っていた時であった。


「トワちゃんや、生まれたばかりの君に聞くのもなんだけど……君はその年で一体何を見てきた?」


 カシスさんが鋭い眼差しでトワへと質問を投げかけたのであった。


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