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MAP機能で世渡りを  作者: 偽りの仮面士
3区画目 新婚時代
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やり方

「よし、屋敷との往復はヨッカさんを主任としてあと2人、平地でなら馬車を運転できる人たちにも任せるとしよう。他に見繕えそうな人材がいるならそれでも構わないけどさ」


「いえ、この件は私が責任持って全部請け負う所存ですが」


「それではヨッカさんに他の仕事を任せれなくなるから困る。それにルートは確立しているが危険はつきものだ、あってはダメだけど最悪の事態も考えて交代要員として育成も行う事に異論はないよね?すぐ仕上げろとは言わないからさ」


 ちゃっかり仕事を勝ち取ったヨッカさん。だが口でならいくらでもやり込められると思われても困るので、代わりになれる人材も育てるように釘を刺しておく。今は良くても後で困るようでは仕事としてダメなのだ。人材育成は早めに行うに限る。


「……わかりました。尽力致しますので、一便の予定が立つ頃にまたお話し頂ければと」


 彼女はやはり聡い。この話の主導者がラタン姉から僕に変わった事で流石にこれ以上食い下がれそうにないとわかったようであっさりと引き下がる。


 ひと段落ついたところで「大丈夫だったかい」とラタン姉を労わる。彼女曰くまだ鳩尾を蹴られたような感覚にあるとの事だった。僕の思っている以上に彼女にとってのランタンは急所なのかもしれない。僕は回復魔法は不得手なので効果があるかはわからないが、肩をさすってあげる事にした。


「んむー、どうせやるなら頭を撫でてほしいですかねー」


「はいはい。それでヨッカさん、こっちでの仕事だけど」


 ベストタイミングというべきか、恐らくは先の仕事の話が終わるであろうタイミングを見計らってという所だろうか。MAP上にはこちらに向かってくるミカさん達一家の気配が映る。それを待ちつつ、出迎えのために先程少し荒れてしまった憩いのスペース内を片付ける。


「あれからまた考えたのですが、できれば消費期限が限られてくる飲食の他に作り溜めできる細工品なんかもやはり販売に回せないものかと思いまして。かといって普段使いの木工品はあまり利率はないですし」


 片付けながらでも話はできるわけで、商品ラインナップをどうするかの相談になった。使えそうなもので材料を拵えやすいといえば、森に拠点があるので木材はまず挙げられるだろう。


「それはどうかな。あの森の木材は平原にあるような木と質感が異なるように思うから、どうにかそこに付加価値をつけれないだろうか」


「うーん、いけなくはないでしょうけども……目利きができなければ少し物珍しいかなって程度で、値段を上げようとすれば敬遠されるかもですね。それでも良ければ」


「気にしない人からすれば木材の違いすらわからないでしょうしねぇ。あ、なら魔物素材を使えばいいんじゃないですか?正直ランスボアなんかは肉以外は持て余してますし」


 ふむ、魔物素材か。現段階では自分達の装備を整えるために使うか、そのまま売って換金していたくらいだ。こちらも屋敷に住んでいるだけで定期的に手に入るようなものだし、商品開発に回しても問題はないだろう。ラタン姉は何気なく(というか食い意地だろう)外したが、可食部は食材としても扱えばだいぶ費用も浮く事だろう。


「あとはクリアガラスもまあまあ需要ありますよね。とはいえど、キルヴィさん負担になりますし取り扱いも気をつけないといけないのが難点ですが」


 安定すればそこそこの価値を確立できる綺麗なガラスは、僕とスズちゃんの中では配分加減の調整はできているのだが他の人による再現は難しく、常時在庫のラインにはあげられないだろうとなった。でも少量ずつならばスズちゃんと時間を見計らって作り持ち運べるだろうから、少しは足しになりそうだ。


「うーん、個人ならばまだしもこの規模の人数のいる組織となると。これは収益プラスになるまでにまだまだかかりそうですね」


「まぁそこは仕方ないさ。個人の貯蓄としてはまだ持つから切り崩しながらやっていくよ」


 1番稼げるであろう武力行使系の仕事は今のところ起きそうにないし、そもそも起きないに限る。持続可能な組織運営にするためには僕ももっと努力しなければ。……未発見のダンジョンみたいなものがゴロゴロしていればなぁ。


 後半ただの願望を浮かべていたが、そんなタイミングでミカさんが戸を叩いた。すぐさま中に招き入れ、挨拶を交わす。ロイさんはさっそく調理場が気になったみたいで、タマキ君を担ぎながらそわそわとそちらを眺めていた。


「落ち着きがないですよ。そんなに気になるなら坊やをこっちに預けて見てきたらいいじゃないですか」


「ああ、うん。すまんが頼む」


 やや呆れた様子になったミカさんへとタマキ君を預けると、ロイさんはこちらに断りを入れて調理場に入って行ってしまった。そう目新しいものはないはずなのだが、いそいそと向かっていった先からすぐに感嘆の声が聞こえてくるあたり楽しみにしてくれていたのだろう。


「まったくもう。時々自分が良い年をした大人だってこと忘れているんじゃないかしら?」


「まあまあ。ツムジを見てもキルヴィを見ても、男なんて幾つになっても子供っぽいところが見え隠れするものですよ」


「……くっ!既婚者2人の余裕が眩しい」


 三者三様の反応に僕はただ愛想笑いを浮かべるにとどめたのだった。

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