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MAP機能で世渡りを  作者: 偽りの仮面士
2区画目 少年時代
222/303

合流

アンデットや死にぞこないのせいでMAPに反応しない罠があるならば、砦に入るのは悪手だ。また不覚を取られたくはないのでこの先の砦は光の定規で薙ぎ払う。代わりを新しく建てておけば何の問題もないだろう。


既にバレているとわかってからのボクを止めるものは何もなかった。あかの他人にどう見られたところで関係ないからと、吹っ切れたところもあるだろう。残り5日かけて足並みを揃える為の行程を、3日分すっ飛ばす事で、途中途中の拠点跡をまわる迂回路であるにも関わらずあっという間にアムストル跡まで到着をした。


生存者との遭遇は、結局先の砦が最後であった。よくもまあ、徹底して潰して回れるものだと感心してしまう。一番被害がないと思われていたルートだけに、情報の秘匿率も高いと言うところか。


辿り着いた先を見上げる。僕が更地にした筈の場所に、報告にあったように幾つもの骸を連ねた、悪趣味という他ない城がそこにはあった。冷気から臭いこそしないものの、こんな所で暮らすなんて精神がイかれてしまうだろう。


さて、どうするか。リリーさん達の進軍は割と早く、既にMAPに映る範囲内にいる。報告がてら手伝いに入るか、ほおっておいてラタン姉達の隊の侵攻を助けるか、それとも個人で突撃か。


悩んだ末、リリーさん達に介入する事にした。半分を城攻めに、もう半分をラタン姉達の方へと進めさせることでより早く殲滅がすみそうだからだ。


リリーさん達がとったルートは広く見晴らしの良い雪原だ。東西のように増設補強してみせた壁があるわけではなく、障害物らしい物は見当たらない。そこを進んでくる隊列へと縮地で近くまで跳ぶと、即座に刃で囲まれた。


「……キルヴィ?何故、先行している。スズはどうした?」


少し離れたところからギラギラした目をさせながら銃を突きつける男がいた。普段と気配がまるで違う為、一瞬認識ができなかったが、そう尋ねてきたのはツムジさんであった。


「策は不発だよ、ツムジさん。分隊のことも三方面作戦も、全部相手に筒抜けだ。それならばって西を手早くクリアリングして、こっちにきたってわけ」


「……そうか。何か、あったんだね?スズが隣にいない事も関係するような、大きな事が」


彼は武器をおろし、ようやくいつも通りの雰囲気へと戻った。


「大丈夫、って言ってたから、悪いことにはなっていないとは思う。ただ今しばらくは会えないだけだよ」


死んだわけではない、そう伝えると明らかにホッとした様子となる。


「キルヴィ君やスズ、クロムはもはや私の子と言ってもいい存在だからね。こんな戦いで、私のような年寄りを置いて命を落としてしまってはいけないさ」


「イブキさんに会いました」


僕のその言葉に、再び表情が硬くなる。先日の出来事を伝えると、その場にいた華撃隊の面々も唸る。


「夢と現の境がわからないのでは、対処の仕方がないな。それに黒い水もそうだ。こちらはバレていたと言う事もあるのだろうが、時たま雪の中から奇襲を受けただけでこれといった脅威を受けてきていない。残るもう一隊は果たしてどうなのだろうか、気になるところだな」


ここで、疑問に思っていたことを訪ねる。


「そういえば、リリーさんは?こういう時、真っ先に質問に来るのはリリーさんだと思っていたのですが」


すると後ろに現れる気配。雪遁走術を使ったのだろう。


「呼んだかい?どうにも早いお着きでビックリだ。ちゃんと、アンデットの全滅はしてきたんだよね?」


「ええ、勿論。西方面は南の方こそ無事な所はありましたが後は全部手遅れでした。砦も同様です。ですが、どうにも西に勢力を広げようとしている風には感じませんでした」


「つづけて?」


「確かに隠れ里や村々はアンデット化していましたが、そういったアンデットは停留していました。おちていた砦についてもそうです。兵装をしたアンデットはエリアを周回していても、壁よりも西側にはほとんど現れませんでした。そこから、西への攻略はノーラに対しての牽制のように感じられました」


「ふうん、邪魔をするようならこちらはいつでもお前の所を攻め落とす準備ができているぞ、って感じか。まさに人類の敵って感じだね」


「僕はこれから、殲滅のためにラタン姉達の方にも足を伸ばしたいと思います。その際、隊の半数を貸していただければと思ったのですがどうでしょう?」


僕からの言葉に、リリーさんは腕を組みしばらく思案してみせたがやがて首を横に振った。


「悪いけど、許可は下ろせない。殲滅力に関してはその方がいいのかもしれない。が、この隊の利点である数を分けてしまっては戦力が低下してしまう。これから大元を叩くというのにそれではダメだし、君の場合は人数が多いほど行動が縛られてしまうだろう?行くのであればキルヴィ、君だけで向かってほしい」


と、断られた。言われてみればその通りだし、リリーさんも申し訳なさそうな顔をしていたからこれ以上喰い下がれそうになかった。むしろ行ってもいいと許可をもらえただけでも良しとしよう。


「心配でたまらないのだろう?私達はこのまま城攻めに移るから、早く顔を見せに行くといい。戻って来る頃には私達が先に落としてしまっているかもよ?」


リリーさんに後押ししてもらい、僕はラタン姉達が辿る手はずであったルートを逆向きに進み始めたのであった。

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