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MAP機能で世渡りを  作者: 偽りの仮面士
2区画目 少年時代
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スクロール

スズちゃんは杖の調子を確かめるために庭先まで行ったみたいだった。セラーノさんはモーリーさんに付き合い、今ある素材でできる限り薬を作るつもりだそうだ。今度こそ、残り時間はスクロールを作成しよう。


「うーん。魔法罠の中でも火柱のスクロールは多めに入れたいな。でも1人では時間がかかるしな」


巻物を広げ机に向かう。ペンを魔力インクに浸した後に独り言を呟くと、待ってましたとばかりに寄ってくるラタン姉がいた。


「ボクの力を貸す時が来ましたね。光と炎、2つが合わさり最強に見えるのです」


「それどっちもラタン姉じゃん。僕だと土と水だから対極に近いじゃん」


「冷静なツッコミが痛い!い、いやキルヴィ?あなた光の定規があるじゃないですか。光ですよ、光。それにボクの火で間違いじゃない。OK?」


お、おう……なぜそんなに必死に弁明されるのかわからないけど納得したという事にしよう。話が進まないし。


「それはともかくとして、ありがとう。手伝ってもらえるのはとても助かるよ」


「当たり前じゃないですか!キルヴィはボクのか、彼氏?ですし?困っていたら助けるのがボクなのです」


なんだこの尊い生き物、これが聖女か。僕の姉であった。今は彼女か。


「じゃあ術式をどんどん書いていくからそれの仕上げを手伝って。あ、せっかくラタン姉との作業なんだからこの機会に新作の目くらまし用の閃光罠と暗黒罠も作ろうかな?今回の相手がアンデットだけとも限らないしね」


あっという間に仕上げ待ちのスクロールが並んでいく。机一面に広がった所でラタン姉の顔が引きつった。


「え?これ、全部作るのですか?というよりも早くないですか?本当にボク必要ですか?」


「何言ってるのさラタン姉、これだけじゃ足りないに決まってるじゃんか。この分だとあと最低でも3回、机を埋めないと心許ないよ。それに、本当に火の系統の魔法は苦手なんだ。組み立てることはできても、肝心の要素がなければその式は意味をなさないんだよ。生活魔法レベルでやろうとしたら、ここから一枚あたり10分はかかるし」


因みに土壁や水流のスクロールは魔力が十分ならトータルで1分もかからない。本当に得手不得手の問題なのである。時間を聞いてラタン姉は「それ十分はや……なんでもないのです」と何故か半分諦めたような顔をしてみせた。魔力インクの在庫は結構あるしどんどんやるぞー。


「そういえば、土と水を合わせた複合魔法のスクロールは試したのですか?」


なんだかんだ、さっき渡したスクロールをもう半分仕上げているラタン姉からそんな質問が飛んでくる。そういえばこれまで単一魔法でしか式を組んだことがなかった。


「試したことがないけど、泥沼が発生するのかな?スクロールとしてストックする前に実験してみたいところだけど」


やってみてもいいかと尋ねるとラタン姉は僕を庭先に案内して続きを促してくる。確かに屋内でやったらアンちゃんがまた泣きかねない。遠目にスズちゃんの姿を確認できたが今はラタン姉との時間、と言うことにしておこう。向こうも集中しているみたいだし声はかけないでおいた。


地面に術式を展開してみる。意味のある内容にしようとすると単一で組むよりもはるかにめんどくさい行程があるのは、新たな発見であった。


「んー?あれ、違うな」


「どうしたのですか?」


今構成している式の隣に新たに式を2つ書く。すごく単純なもので、それぞれ土と水の意味だけを持たせたものだ。それを円で囲んで発動させると、泥沼ができた。


「泥沼?単一同士を円で囲んでも複合になるんですかね?」


ラタン姉の言葉に僕は横に首を振る。


「どうも違うみたいなんだ。これはあくまで単一を2つ発動させただけに過ぎない。式も単純だったでしょ?」


「確かに。あれ、でも今書いてるのはだいぶ複雑に見えますけど何になるんですかね?」


正直、発動するまでわからない。構成を再開する。最終的には水流や土壁の罠系よりも、3倍の長さの式になった。


「鬼が出るか蛇が出るか。早速発動させてみるね」


設置した先に石を弾いて罠を作動。するとその石を封ずるように氷の柱が形成され、近くの地面も凍結させる。


「氷結……氷魔法、ですか。アンジュの使ってた雪魔法も属性で考えるならこれに当たるんでしょうか?どちらにせよあまり使う人は見ないですね」


出る属性がわかったので式の一部を改変してみせる。母さんと同じならそのうち使ってみたいのだ。風邪で寝込んだ次の日に教えてもらったコツを当てはめて、起動。


「きゃああ!?」


満遍なくほろほろと落ちてきていたはずの雪がその術式のある所だけ集中して降り注ぐ。ドスドスドスと言う音とともにあっという間に山積みになる雪。異常を感じ此方を振り向いたのか、悲鳴をあげるスズちゃん。雪山は、やがて重さに耐えられなくなったのか開けた方へ崩れた。


「キルヴィ様、ラタン姉!?いつから、いやなんですか今のは!」


駆け寄ってくるスズちゃんを抱きとめながら今発動した2つの魔法の性質を考える。


氷結は土魔法のように変化後の地形は壁のようになり、降雪は水魔法のように相手を押し流す効果も期待できる。土壁との大きな差はあれが下から突き上げるように発動して対象を上に弾き飛ばすのに対して、氷結は相手を氷の中に直接封じ込めると言うことだ。足止めするのには凄く効果的だろう。水流との差はあちらが液体であるのに対して固体である事。その場に留まろうとしたらその質量にあっという間に押しつぶされる。加えて、どちらの魔法も熱を奪う。生き物相手に発動した際凶悪なものと化すだろう。


「結構、強い魔法だな」


使い所は難しいかもしれないが、これもストックとして持っておこう。

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