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MAP機能で世渡りを  作者: 偽りの仮面士
2区画目 少年時代
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顔合わせ

戻ってきたラドンさんに率いられてきたのは54人。内エルフが2人、ライカンスが5人、ドワーフが1人だった。僕の姿を認めるとかつて肩を並べたり、町中で見たことがあるのだろうか?数人が深々と頭を下げる。ラドンさんは僕の隣に立ち改めて皆に紹介をしてくれるようだった。


「知っているものもいると思うが、こちらが今回物資と資金の援助をしてくれたあの英雄のキルヴィ殿だ。キルヴィ殿、こっちがお話しした皆です」


そんな紹介とともに大半が友好を示す緑に変わる。が、変化なしもおり、さらには数人が赤く変色してみせた。その反応がやや気になるものの、紹介に預かったので挨拶をする。


「キルヴィです、よろしくお願いします。皆さんにこうして会えたことを嬉しく思います」


すると話を聞いた敵対反応の内の1人が一層色濃くなった。見ると前髪一房だけ残し後は全て剃り落としたような、独特な髪型をした巨漢が僕は指差ししていた。目が合うと声を荒げる。


「なんダァ?英雄と聞いてどんなやつかと思えばただの餓鬼じゃねえか!助けてもらうのにゃ感謝するが、春からこんな良いとこのお坊ちゃん丸出しの奴に従えるかってんだよ、命がいくつあってもたりやしねえ!」


そうだそうだと頷く数人。なるほど、敵対心は騙されたと思っての反応か。その反応に友好反応を示した人達が慌てだした。特に僕と巨漢とを見て顔が真っ青になっている人もいる。


「おいおいやめてくれよ!せめて冬を越してからにしてくれないと援助の話が消されて俺たち全員がお前のせいであがったりかも知れないんだぜ?」


敵対も友好もしていない人からはめんどくさそうにそんな声が上がる。人から必要とされなくなったせいで心が擦れ、自分さえなんとかなればいいやと半ば諦めもはいっているのかもしれない……こんな人たちをまとめ上げようとするのはなかなか骨の折れそうな話だ。


「アァ!?こんな餓鬼なら脅すか力尽くでどうとでもなるだろうよ!おい、命が惜しけりゃ約束通り用意してくれるよなァ!?」


最初に声を荒げた奴が獲物の両手剣を構えこちらに詰めてくる。勘違いから始まった敵意だったかも知れないが、今やあからさまにこちらに害意が向けられていた。早速力量不足だと見られたわけか、前途多難だ。苦笑いを浮かべつつ、ラドンさんの方を向く。


「ああ、ああ!キルヴィ殿どうか容赦してくれないだろうか!彼らは君の勇姿を知らないんだ。好き放題言われて、怒りも覚えていることだろうが助けてやってくれないか」


「いやいや、怒ってなんかいないですよ。物資も用意してるんですから今更とりやめたりなんかしませんよ。……クロム、剣をぬかなくていいから!」


何気なく目を向けるとクロムが身を低くしいつでも斬りかかれるといった感じにこちらに頷き返してきた。いや、殺しちゃダメだからね?


「あなたも、そんな物騒なことはやめましょうよ。納得がいかないにしても、今ぶつかる利はないでしょう?」


戦力的に何があってもやられる心配はないだろうし、最悪間合いなら縮地でとれると判断し、何も持たず両手を広げながら物怖じせず相対してみせる。まずは平和的解決から提案するということを諦めてはいけない。


「丸腰で俺の前に来るだァ?少しは度胸があるようだがそいつは蛮勇ってもんだぜ坊主よォ!」


僕に向かい剣を振るう巨漢。流石に殺しには来ていないようで、動かなければあたりはしないような軌道だ。脅し目的なのだろう。


困ったな、話し合いで済ませることができれば良かったんだけどな。これでは話すこともできないか。


「手を、出しましたね?」


まあ、仕方がないか。暴力で従わせようとしてくる輩には暴力で対応するしかないだろう。


あえて一歩前に出て剣の軌道の中に入る。それでもまだ振り切れていない。あまりに遅すぎる。そして僕が動いたのを目で捉えきれていないようだ。こんな腕で戦争に出てよくぞ今日まで生き延びて来たと思う。マドール将軍や、母さんを撃ったあの兵のような奴と当たっていたならば今ここに彼はいなかっただろう。


素手で剣の腹の部分を弾くとあろうことか巨漢は剣を手放した。意図的に離したわけではなさそうなのでこれも減点対象だ。手放された剣を掴み反転、巨漢の首筋に添える。一拍遅れてどっと巨漢から冷や汗が噴き出し、参りましたと言葉が絞り出された。


「武器に振り回されている印象があります。扱いきれていないのであれば武器の種類を変えることをお勧めしますよ」


武器に振り回されていると言ったところで視界の端でクロムがやや苦い顔をしたのはどうしてだろうか。


「さて、他に意見のあるものはいるでしょうか?」


ほんの一握りを除いて、今の一瞬の間に形成逆転がされてるのに対し何が起きたのか把握できていないようだった。


逆を言えば一握りも今の立場を把握できているというのは、なかなか美味しいと思えた。できるなら英雄と言えども人の範疇であると思わせたい。化け物じみた力関係に対する畏怖で無理矢理従わせている状況は作りたくないからね。


「春からのことはそんなに難しい話をお願いするわけではありませんから。この地域の治安を良くするための巡回と、有事の際僕の兵になってほしい、それだけです。今は越冬することを考えましょう?さ、名簿に名前を書いてもらえますか?文字が書けない方は代筆しますから」


僕の言葉に彼らは顔を見合わせる。少なくとも実力者であると見てもらえたようで敵対反応の者は誰もいなくなったようだ。今度は巨漢を含めて全員が頭を下げ、名前を記していったのだった。

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