表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
MAP機能で世渡りを  作者: 偽りの仮面士
2区画目 少年時代
142/303

レベルアップ

ここにきてどれだけ時間が経っただろうか?食事も睡眠も必要のないこの空間ではひたすらに修行に打ち込むことができた。


リゲルさんによるとクールタイムが始まるのは上限を超えてから早くて1分。遅ければ半日も猶予があると言う。どうも現段階での可能域の範囲をどれだけ越えたかによってばらつきが発生するとのことだ。使いすぎた方が始まるのが早く、半日の猶予がある場合でもそこから力を使えばクールタイムの発生が早まる様であった。


それから、クールタイムからの復帰は限界突破の割合に関わらず大体半日かかるらしかった。


この説明に首を傾げてしまう。MAP機能が使用不可になったのは暗雲を発生させてから1日は経過していた筈だ。クールタイムの条件から外れている。そう考えているとリゲルさんはふむ、と考える。


「救出時の精算は気絶している間に済んでるだろうな。初回だから、という線もなくはないが。思うにそのクールタイム、アムストルという町に戻った事によるものと見た。MAP機能の力からではないか?」


そう考えるのが妥当だろうなぁ、規模こそ違うが縮地という距離を飛ばす技を知っているのだ。それの派生か暴走といったところかもしれない。拠点からアムストルまでの距離を一度に無理に飛んだ事による、疲弊からのクールタイムだったのだろう。


「なかなか難儀よな、既存のスキルであり知っているならまだしも、未知のスキルで憶測でしか語れないのだから」


そこからも修行の毎日であった。豪快に使用する事が影響してか僕の魔力の総量は使う度に伸びていく。キャパに関しても、クールタイムの短縮こそできないものの魔力の渦2回分までの連続使用ならば半日後にクールタイムが訪れるというところまで広げる事ができた。初期と比べ確実に大きくなっていると思えるのでこの分ならば外に出ればアナウンスによってレベルが上がったと言われるのではないか?とリゲルさんに教えてもらう。


技のバリエーションも増やし、光の定規による集中砲火に加えて、水魔法による雷雨による激しい攻撃、土魔法による地形崩壊という天と地を制した様な攻撃ができる様になった。合間に雪魔法も習得する事ができたが、母さんの様な吹雪を起こす事は今の僕にはできない様であった。習得できたのであればいずれは使えると優しい目でリゲルさんに言われる。


そして心なしか服がキツイと感じる様になった頃、リゲルさんが僕に話があると言ってきた。


「散々時間を弄られたからわからんだろうが、今日でお前がここにきて1年が経った……キルヴィ、お前は十分強くなった。心身ともにな。ここで私が教えれる事はもうないと思う。名残惜しいが、お別れだ」


1年。そんなにも経っていたのか。それは、服も小さく感じるわけだ。


「この空間を出れば、ここでの出来事は夢か幻の様に思う事だろう。歴代のイレーナの記憶を見るにぼんやりとしか覚えてなさそうだからな。ただし、ここで身につけた力はそのまま残っている」


リゲルさんについて母さんがちゃんと教えてくれなかったのは、わざとではない。ちゃんと覚えていなかったということか。力が残っているとしてもここでのことを忘れてしまうのは、物悲しいな。


「母さん、か。血は繋がらずとも親子であったな。訂正しよう。お前という才能の塊を見つけたアンジュの目は慧眼であったと。ここまで親身となって長く教える事になったのは、ここ最近だと先先代……アンジュの父くらいよ」


オスロに恐れられたおじいちゃん。そのおじいちゃんもここで長く修行をしたのか。


「忠告しよう。この先もし戦いに身を置くのであれば次は心を鍛えろ。貴様の力は既に先先代のイレーナと遜色はない。だが、1人で戦い続けるにはあまりにも心が脆く感じる。人の中に生き、心を許せる仲間を作るのだ。幸いにして良い人脈を持っているのだから」


眩しい光。だんだんとリゲルさんの体が薄くなっていく。


「だが、無理に人の世の争い事に首を突っ込まないでもいい。アンジュのように1人の人間として気ままに生きるのも良かろう。勿体なく感じるが、それはそれでアードナーの血が途絶える事はないのだから」


いや、この世界から消えようとしているのは僕か。あの世界へと戻ろうとしているのだから。


「もう時間のようだ。達者でな、キルヴィ。いつかここで、お前が見定めた後継者と出会えることを楽しみにするとしよう」


最後に見えたその顔は僕のことを慈しむような、母さんが見せてくれたような顔であった。


ああ、この人もまた、僕の親と呼べる存在なのかもしれない。僕の中で敵わないと感じる人が1人、増えた瞬間であった。



気がつくとアムストルの町で大の字に寝転がっていた。なんでこんなところで横になっているのか、思い出せない。喪失感がすごい。何か、とても大事なことを忘れてしまったかのようだ。親指に違和感。見ると指輪がされていた。これはお守りなのだ、なくすと困ると懐へしまう。


<キルヴィ・アースクワルドの経験が一定数を超えました。MAP機能がレベルアップし、レベル4となります>


<追加機能:事前に登録した地点への転移が可能となる、地図に描いた事を反映させる、一部の天候を操れる、エリア魔法が可能となる、パーティの能力強化>


唐突にアナウンスが響いた。MAP機能のレベルアップなど、随分と久しぶりに聞いた。まだ上があると言うことか。気になることばかりだが……


「今はそれどころではない、か」


今のレベルアップのおかげか開けるようになっていたMAPに表されるはおびただしい数の脅威度の群。ドゥーチェとアムストルの獣人による連合軍だ。さっきまでどうしようかと怯えていたがMAPさえ戻れば怖くなどない。立ち向かえる。


この日、一つの町が地上から跡形もなく消えたのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ