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第十五回『太陽がいっぱい』 ー 間もなく 4Kレストア版公開の名作 ー

『太陽がいっぱい』

1960年 フランス・イタリア カラー

ルネ・クレマン監督





 どうも。久々の更新です。

 今回は、2018年2月17日に有楽町で 4Kレストア版が公開される『太陽がいっぱい』のご紹介です。


 主演はアラン・ドロン。昨年俳優業からの引退を宣言したことで話題になりましたね。

 そして、音楽を担当したのがニーノ・ロータ。この方、『ロミオとジュリエット』(1968)などでも音楽を担当しておられる方で、素敵な音楽で映画を魅せてくれるんですよ。『ひまわり』(1970)などで知られるヘンリー・マンシーニと並んで、私が好きな映画音楽の人です。

『太陽がいっぱい』も、ロータ作曲のもの哀しい旋律あってこその名作なのではないかなと、私は思ってます。




 この映画は、ドロン演じるトム・リプリーという青年の犯罪行為を描いた青春サスペンス映画です。

 序盤は、友人フィリップとの冷たい空気間が魅力的です。そうして、彼を殺害してからはトムの野望とサスペンス。フィリップのサインを偽装し、彼になりすますことで追跡を逃れ、二度目の殺人を犯し……、フィリップの財産を盗み、かつてのフィリップの恋人だったマルジュの元を訪れる。そうして彼は、海辺の太陽を見上げてこの映画のタイトルを呟くのです。そして、あの悲劇的なラストへ……。




 この映画の印象的なシーンを挙げよと言われれば、いくつも思いつきますね。


 なんといってもラストは魅力的です。エンドマークが映し出されるところなんかもう……

 サスペンス的なシーンでいうと、トムが必死になってフィリップのサインを習得しようとするシーン。野望むき出しです。


 トムが市場を歩き回るシーンもなかなか魅力的です。フィリップを殺害したあとですね。

 彼の落ち着かない心理状態を表すように、様々な光景が映し出されます(モンタージュの技法ですね)。なかでも私の印象に残っているのは、市場で売られていたエイの顔。ああいうところにフランス人の美意識というか遊び心というか、そういったものを感じずにはいられないわけですよ。言葉を使わずに(あるいは使わないことによって)人物の内面を表すやり方というのは、観ていてうっとりしますね。




 そして、最後はやっぱりロータの音楽。もうそれだけが耳に残って、いつまでも映画の余韻に浸らせてくれます。もの哀しくも甘美で、まるでミルクのキャンディーを口のなかで転がしているような感覚……ってのは私の主観的な例えですがね。




 ちなみに、有楽町での特集上映では、他のフランス映画もいくつか一緒に公開されますので、みなさんこの期にいかがですか?



 ってことで、また。





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