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ダブル・デザイア 〜最強の力は神をも超える〜  作者: 真心の里
シン【神玉編】
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旅の始まり(シン編)

 

「どうだ?悪い条件じゃないだろう?」



 王城に帰って来たクルスとシン、そして従者のファームは豪華な部屋にいた。

 そこは防音魔法が付与された壁で作られており内容が外に漏れる心配はなかった。



「風の国の王族クルス・ゼフィロス様の専属魔術師……給金は月に金貨20枚、仕事は戦争の時に活躍、通常時は宮廷魔道士の魔法の教師として働く。教師としての仕事は週に一回のみでそれ以外は自由にしてもらっても構わない……ですか」


「そうだ、国王には確認したが既にお前は除名された身だろ?俺の場所に来るのには全く問題が無いはずだ」


「戦争と言うのは……」


「安心しろ、シンが考えているような事態が起きないように引き受けてくれるっていうなら、この都市とは友好条約を結ぼう」



 シンにとって知り合いが多いジュエリニアとの戦争は避けたかった。

 しかし、クルスの新しい条件によりその可能性もなくなった。今のシンにこの条件を断る理由はなかった。



(週に一回なら神玉集めにもさほど支障はない、それにレイドと戦う日には味方も多いほうがいい、しかもジュエリニアの篝火が壊滅したこの都市は立場が弱い、もし戦争になれば負ける可能性は十分ある。しかし、風の国との友好条約が結べれば負ける可能性はゼロに近い……)



 迷っているシンを見たクルスが真剣なまなざしを向けて話しかける。



「戦争は必ず起きる。魔族との戦争で得る報酬を巡る争いは幾ら先延ばしにしても2年以内だろう。敵国になる可能性があるここに来るのは今回で最後の可能性が高い、頭のいいお前なら選択は間違えないだろう?」



 クルスの言葉がシンの決意を急がせる。



(戦争が起きるとわかっているのに国王が出向くのは当然だ。これだけのいい条件を飲まない手はない……だが俺の最終的な目標を考えてみろ、神玉を全て集めるのにクルスとの敵対は避けられない。神玉を刈いるだけかもしれないがなくなる可能性もある、風の国にとって風の神玉は何よりも大事なものだ……いくら信頼を置かれようが神玉を手に入れることはできない)



 シンは目先状況だけではなく先のことまで考えていた。

 未だに眼の前で決断を迷っているシンを見たクルスは話を切り出す。



「それだけ迷うということは、どうしようもない理由がありそうだな」


「……はい」


「だが、いかなる理由があろうとも仲間は守りたい」


「無茶な交渉だとは理解しています」


「そうだな……ならば一つ依頼を受けてくれるか?報酬は友好条約だ」



 クルスが提案したのは臣下に入るのを断るのならば依頼をこなせ。

 依頼を無事こなしたならば友好条約を結び、戦争時に協力するというものだった。



「その依頼というのは?」


「ある人物が今の俺の国には必要でな、そいつを連れてきてほしい」


「人物ですか……」


「そうだ、その人物というのは契約の神玉使い チャーラ・テミスという女性だ」


「神玉使いですか……連れてくるということは協力的ではないようですね、捕まえるという認識ですか?」


「いや、風の国の誓いを今こそ果たしてくれ、と言ってくれれば来るだろう」


「わかりました、それでチャーラさんはどこにいるのでしょうか?」



 シンの言葉を聞いたクルスが指を鳴らすと従者のファームが地図を取り出す。

 地図を近くにある机に広げ説明を始める。



「この世界には6つ大陸があり、私達がいる大陸はその中でも群を抜いて大きく、北が魔族、南が人族の領地なのはご存知ですよね」


「はい、人族の領地には亜人族も住んでいるんですよね」


「そうです、こうして見ると魔族の領地は小さいですが地下の資源が豊富です。この資源の一部が報酬となり、それをめぐって戦争が起きるわけです」



 ファームはシンに近寄り説明する場所を指さしながら話す。

 シンはその話を相槌を打ちながら聞く。



「今回シン様に向かっていただくのは人族最南端の小さな都市サウスです。ここから約40,000kmあります」



 ファームがジュエリニアとサウスを繋ぐように指で線を引く。



(トトの情報に入っていたが、この星は随分大きいんだな、いくらジュエリニアが北寄りだからって地球一周分は長すぎるだろ)



 シンは知っていたが改めて言われた情報に少し苦笑いを受けべながらそんなことを考える。

 そんな様子のシンを見たファームが話しかける。



「移動手段についてはこちらが専用の馬車を出します。魔道具に疲労回復を付与しているため毎日走っても問題はありません、一日に大体110kmは走れるかと思います」


「自分の魔法ならもっと早く行けますが……」


「魔法はやめておけ、空を飛ぶ高度な魔法を使ったら魔法使いにばれる可能性が高い、何か怪しい行動と取られ、シンの身元が割れた場合、戦争開始の引き金を俺達で引くことになってしまう。貴族のような格好をしておけばその心配はない、戦争の前に必ず遠くに逃げる奴がいるからな」


「そう言うことなら了解しました、ですが相当な時間がかかってしまいますが」


「戦争が始まるときに間に合えば大丈夫だ」


「40000kmの道のりで110kmですから要する日にちは……」


「往復で約727日……二年にギリギリ行かない感じですね」



 ファームが計算用のそろばんを出そうとした瞬間、シンが暗算を行い日にちを割り出す。

 凄まじい速度の計算に驚いたファームは正しいかをそろばんを使い確かめる。



「あってます……」


「流石だな、シン」


「ここまで正確な計算をあの一瞬で行うとは、是非とも我が国に来て頂きたかった」


「お褒め頂いて光栄です」



 クルスとファームに褒められたシンは一礼をして感謝の意を示した。

 そして、クルスは二年ギリギリという事実を聞かされ少し考え、話を始める。



「約二年間を休むことなくシンには馬車に乗ってもらうことになる。それでも大丈夫か?」


「その程度で友好条約を結んでいただけるのでしたら喜んでお受けいたします」



 クルスから差し出された手をシンは握った。

 それを確認したファームは上着から友好条約証明書と書かれた紙を取り出す。



「さて、シンのことだもう出発するんだろ?」



 クルスがファームから渡された神にサインをしながら質問をする。



「はい、休めるのは三日しかないようですし早めに出発させてもらいます」


「仲間たちに挨拶は良いのか?」


「今生の別れというわけでもありませんし、無駄な心配はさせたくありませんから」


「そうか、シンが言うならそれもありかもしれないな」


「では、さっそく準備に取り掛かります」



 クルスがサインを終えるとファームが目を通し、上着にしまった。

 そしてファームがクルスとシンを連れて外へと出た。



「シン様は何色の馬がお好きでしょうか?」


「色ですか……白ですかね」


「白ですか、了解いたしました、空間魔法【ゲート】」



 ファームが手を合わせ魔法を発動すると地面に黒い穴が出現した。

 そして黒い穴からゆっくりと白い馬が引いている馬車が出現した。



「既にこちらの準備はできている、シンが行くと言えばいつでも行ける」


「この展開を読んでいたんですか?」


「いや、ただ俺も一国の王様やってんだ、交渉の基本は分かってってことだ」



 クルスが笑いながらそう言った。



「自分の準備も既にできています」


「そうか、それは良かった、では頼むぞ」


「こちらこそ国をお願いします」


「安心しろ、お前がいない間は俺が責任を持って守る」


「……お願いします」



 シンはそう言いながら馬車に乗った。

 そしてシンは窓からファームに話しかける。



「すみません、馬車をひく人はどうするのでしょうか?」


「それについては御心配には及びませんよ、魔道具の付与に自動操縦も付いておりますから」


「それは良かったです」


「では、シン様もお気をつけて」


「ファームさんも」



 シンとファームがそう会話をすると馬車が走りだす。

 そしてシンを乗せた馬車は最南端の都市サウスに向かった。



「クルス様、シン様を信頼した理由は何ですか?」


「……普通に信頼しただけだが?」


「御冗談を、会って二時間も経たないような人間を理由なしに信用する程、お人よしではありません」


「なんでもお見通しだな」


「小さき頃からお仕えさせて頂いておりますから」


「……理由はゼフィロスがな」



 クルスが小さく呟いている時、馬車では……



「これは……?」



 シンは壁に貼ってある手紙に気が付く。

 その手紙を開くと、一番最初に大きく「契約の神玉」と書かれていた。



「これは契約の神玉についての情報?」



 シンは契約の神玉についての情報をトトの知識の中から探る。

 しかし、その検索にヒットする項目は存在しなかった。



(やっぱりトトの知識には詳しい神玉の情報は少ないな、契約の神玉使いについて知っておくのに損はないだろう)



 シンはそう考え、手紙を開く。

 その手紙には一人の女性の人生が書かれていた。




 ◆




 私の名前はチャーラ!どこにでもいる普通の村娘!

 でも、私な才能を持って生まれたの。それは……



「星の瞳」



 少し大人になってからいきなり目の色が変わってビックリしちゃった!

 図書館に行って調べてみたら、運命が見える目だって知ったの!

 しかも、普通なら片目なのに私は両目!これは珍しいことなんだって。



 私は星の瞳との相性が良かったの、だから気になるあいつとの運命も見たくなっちゃったわけ!

 早速、村に帰って幼馴染の男の子のことを星の瞳で見てみた!結果は……



「運命の人」



 私ったらお淑やかな女性を目指してたのに大喜びしちゃった!

 その後に紆余曲折あって、無事に彼と結婚することができたの!



 彼は収入が不安定の冒険者をやめて商人になった。

 私も少しでも収入を増やすためにこの眼を使った占い師を始めた。

 星の瞳との相性の良かった私は少し情報があれば他人の運命も調べることができたから大成功したんだ!



 彼との子供も無事生まれて、私は幸せに包まれていた。

 でも、少し不安なことがあった、それは日が経つごとに強くなる星の瞳の力だった。



 最初は運命の人か違うかがわかるぐらいだったんだけど、人生に大きく関わる人や情報がわかるようになったの。

 その能力に最初は驚いたけど、すぐに使いこなして占いに活用したわ!

 でも、まだ星の瞳の力の増幅は止まることを知らなかった。



 次に手に入れた能力は運命の色を見る能力だった。

 自分にとってメリットとなる人デメリットとなる人が目に見えるようになった。もちろん他人のも。

 この能力も使いこなして占いに使ったけど、このころから少し自分の目が怖かった。



 次に手に入れた能力は運命なんて関係はなかった。

 この眼自体が珍しい能力だから研究が進んでないからだと思うけど運命に関係のない能力も手に入るらしい。

 私が手に入れた能力が何かって?それは未来予知の能力。これは勝手に発動するから困っちゃった。



 次に手に入れた能力、これによって私は幸せな生活を失うことになる。

 その能力とは「結果を見る力」……どんな能力かわかる?

 その名の通り、行動を起こそうと考えたときに未来予知が発生して結果が見えちゃうんだ。



 この能力のせいでさ、いろんな人に狙われたんだ……

 その中で有名な人でいえば、人間の国王はもちろん、獣人族の二代目族長、エルフの長、魔王なんてのもいたな。

 みんな勘違いしているのは結果は何通りもあって見えるのは一番確率の高い未来だけなの。

 考慮していな外的要因が加われば見た結果が変わることになる。そう私は説明した。



 まぁ、そうやって断わってたら襲撃されたんだ……

 魔王が人族のに協力されてはならないと思ったのか私の村は魔物の集団に襲われた。

 彼と子供も含め私以外の村人は全員殺された。



 え?なんで私が生き残ったかって?

 それは運が良かったの。私にはもう一つ才能があったらしくて。

 魂の強さの才能がね。たまたま占いのお客さんがくれた箱の中に神玉っていう物があって魔物を全滅することができた。



 でも、私には居場所はなった。

 全部この眼のせい、この程度でへこたれるなっていうかもしれないけど、私だって最初は頑張った。

 神玉を手にしてから老化?が凄ーく遅くなったから二回目の人生を過ごしてみた。



 けど、毎回幸せの絶頂になると周りを巻き込んで不幸になる。

 5回か6回目、約200年でわたしの心は折れちゃった。

 もう200年以上生きてるからかな?神玉のことも能力のことも詳しくなった。



 私の能力は【契約】と星の瞳だけ。

【契約】は契約書を作り出し、それを破ることは何者にもできない。

 一見強そうに聞こえるけど融通のきかない能力。



 その能力は…………っと、少し長く書きすぎたね、これ以上は契約違反になるから無理かな。

 じゃあ、サウスで待ってるよ。シン・アルカナくん……いや、倉間 真くん。

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