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ダブル・デザイア 〜最強の力は神をも超える〜  作者: 真心の里
レイド【神玉編】
20/70

圧倒的な差(レイド編)

 

 1,2時間眠ったレイドは自分の体に危機が迫っていることに気がつき飛び起きた。

 そして自分に近寄ってきていた人物を見る。



「なにもんだ?」



 レイドの目の前にいた青年は金髪で赤い宝石のアクセサリーを身につけている。

 そして何より気になるのは車椅子のような魔道具に乗っているということだった。



(あれは確か貴族の病人が使う魔道具だったよな……)



 そしてレイドはその魔道具を押している初老の男を見た。

 その男は執事のような男で程良く筋肉がついていた。



(警戒するとしたら執事のほうだな)



 レイドは執事のことを警戒しながら質問を再度投げかけた。



「答えろ、なにもんだ」


「この都市の王をやってる、レイヴ・イルミネイトというものだ」


「私はその執事、セバスチャンと申します」



 2人は礼儀正しくレイドに挨拶した。

 レイドは警戒心を切らさずににらみながら質問する。



「一体何の用だ?」


「神玉を返してほしくてね、……君も持ってるんでしょ?」


「……俺の存在を知っていたのはお前か」



 レイドのその言葉にレイヴは笑顔という返事をした。

 そしてレイドは心の中にいるハデスではない神……ロキに話しかけた。



(ロキ……こいつは一体何者なんだ?)


『んぅ?力が上がったとはいえそんな話せないんだよ?』


(いいからロキ!しっかりしろ、こいつは一体!)


『こいつ?誰と戦って……る……』


(どうしたロキ、いったい誰なんだ!)



 ロキはレイヴのことを認識すると同時に黙り始めた。



『レイド……逃げるんだ』


(はぁ?逃げろって、こいつは一体……)


『いいから逃げるんだ!こいつは絶対にか「少しうるさいな、【遮断カットオフ】」』



 レイヴはまるでロキとレイドの会話を聞いていたかのような発言をして手を振り下ろした。

 それと同時にレイドはロキとの会話ができなくなった。



「安心してくれ、ハデスにロキ、そして剣の神アレスを渡してくれれば危害は加えない」


「おい……そんな舐めた交渉が通ると思うか?」



 レイドはそう言ってレイヴに攻撃を仕掛けた。

 しかしセバスチャンによってその攻撃は軽く止められてしまった。



「少し落ち着きましょう、レイド様」



 レイドはセバスチャンの威圧に危機感を持ち一瞬で距離を取った。



「神玉はこの世界の理を覆してしまうものだ、約束の時が来るまで集めてはいけない、回収させてもらうよ」


「……自分の意見ばっか言いやがって」



 レイドはそう言いながら自分の体の状況を確かめる。



(もう大丈夫そうだ……剣の神玉も寝ている間に取り込めた……、今の俺は魔王にも負けないはずだ、俺の計画を邪魔するんだったら……)



「自分勝手といわれてもかまわない、渡してもらおうか」


「渡すわけないだろ……剣の力、破壊の力、それらの力を解放せよ【勇者解放】」



 レイドは【空間倉庫】から剣を取り出して攻撃を仕掛けた。

 そんなレイドにため息をついてレイヴは魔道具から立ち上がりその攻撃を避けた。



「……避けられた!?」



 レイドは自分の攻撃を避けられたことに驚きが隠せなかった。

 そしてレイヴは笑いながらレイドの方に手を置いて魔法を発動した。



「俺の都市を破壊するわけにはいかないんでね、場所を変更しようか、固有魔法【転移テレポート】」



 2人は一瞬ですたれた廃村にテレポートした。

 レイドは状況が一瞬把握できなかったがすぐに情報整理して距離を取った。



「一瞬で……」


「さぁ、ここなら神玉持ちでも本気出せるよ」



 レイヴはそう言って手で「こいこい」と挑発した。

 レイドもその挑発に乗り身体の力を強化した。



「剣の力、我の剣道に革命を起こせ【剣聖】、破壊の力、我に宿れ【全壊フルブレイク】」



 レイドは万全な状態で正面から攻撃を仕掛けた。



「聖剣術【光剣】」



 レイドのクレアを超える速度の【光剣】をレイヴはすべて軽々と避ける。

 その余裕のある様子にレイドは舌打ちをしてさらに攻撃の速度を上げた。



「聖剣術【光連剣】」



 しかしその攻撃もレイヴに当たることは無かった。

 そしてその攻撃は最終的にレイヴにつかまれてしまった。



「この野郎……【破壊拳ブレイクブロー】」



 レイドは剣を離してレイヴの顔面めがけてパンチを放った。

 そのパンチをレイヴは避けることなく正面から受け止めた。



「なっ……!?」


「まだまだ、運命の子には足りないね」



 レイヴがそう呟きながらレイドに凄まじい速度の攻撃を放った。

 その攻撃をレイドは視認できずにまともに食らい数十メートル吹き飛んだ。



「がっ……!」



 吹き飛んだレイドは朽ちかけの家に突っ込み止まった。

 レイドはすぐに立ち上がり臨戦態勢を取った。



(なんだ……この威力……)



 レイドは殴られた箇所を押さえながらレイヴの追撃を警戒する。

 しかしいつまでたっても攻撃が来ないことに疑問を持った。



「なぜ追撃が来ない?」



 レイドは疑問を持ちながらもレイヴのいた方向を見続ける。

 その方向から歩いてレイヴが近寄ってきていた。



「この一発でも倒れないのは流石だね」


「追撃しないなんて舐めた真似するじゃねぇか」



 レイドはレイヴのことを視認すると同時に【空間倉庫】から新しい剣を取り出して攻撃を仕掛ける。



「戦略級剣技【真空斬】」



 レイドが空気に切れ跡がつくような鋭い攻撃を上から下に振り下ろした。

 その凄まじい攻撃をレイヴは親指と人差し指で受け止めた。



「破壊の力、我の足に宿れ【破壊脚ブレイクキック】」



 レイドは掴まれた剣を中心に体を回して蹴りを入れた。

 その蹴りも余っている片手でつかみ、そのまま引いてまたレイドを吹き飛ばした。



「ぐぁっ……!」



 レイヴは吹き飛んでいるレイドに追いつき上から攻撃して下にたたきつけた。



「ぐっ……!な、舐めるな!戦術級剣技【一点突き】」


「剣筋が甘い」



 レイドが地面に倒れながらもレイヴに攻撃を仕掛けた。

 しかしその攻撃もむなしく簡単によけられ上から攻撃を受けたレイドは地面にめり込んだ。



(まずい……ここまでの戦力差が……)



 レイドは慌てて体勢を立て直し距離を取ろうと走った。

 そんなレイドを見てレイヴは奪った剣を下から上に振り上げた。



「い……ってぇぇ!」



 振り上げることによって生まれた斬撃がレイドに傷を付けた。

 威力の弱い斬劇で傷をつける時点で実力差は明らかだった。



「はぁはぁはぁ……実力を見誤った!」



 レイドは怪我をしている右腕を押さえんがら壁の裏で呟いた。

 そして壁をからレイヴ見るようにチラッと見た。



「意味わかんねぇぞ、あの強さ!」


「これで少しはわかっただろ?」


「……っ!」



 レイドはみている方向と反対方向から聞こえた声に驚き振りかえる。

 不敵な笑みと共に立っているレイヴからレイドは慌てて背を向けて逃げた。



(クソが!何であんな奴が居やがるんだ……)



 レイヴはそんな逃げているレイドに追いつき顔面を殴った。

 殴られたレイドはその方向に吹き飛び瓦礫に埋まった。



(まずい、実力に差が……ありすぎる……仕方ねぇ、死ぬよかましだ)



 レイドはそう言って集中力を高めハデスと体を変わるように頼んだ。



『いいのか?【遮断カットオフ】のせいで誰と戦っているか知らないが我にここら辺が消されても知らんぞ』


(構わない、こんなところで死ねないんだ)



 レイドはハデスとそう会話して体を自分より強いハデスに明け渡した。

 ハデスならレイヴに勝てると思って。



「がっはっはっ!こんな短い期間に二回も復活できるなんてなんと運のいい、それで我の相手は……?」



 ハデスに変わると腕の傷がみるみると治り黒いオーラを放ち始めた。

 その後、ハデスは瓦礫を吹き飛ばして地面に立ちレイヴのほうを見た。



「久しぶりだな……ハデス、相変わらず元気がいいな」


「お主と会った記憶は無いんだがな」


「あぁそうか、こっちじゃ面識は無いか」


「そんなことはどうでもいい、どうせ我に殺されるのだからな!」



 ハデスはそう叫びながら全力でレイヴを殴った。

 その拳をレイヴは片腕で簡単に受け止め逆の手でハデスをぶっ飛ばした。



「なにっ!?」



 吹き飛ばされてしまったがそれは驚きによるものでハデスにはダメージは無かった。

 しかしハデスにとって殴られたというのはダメージを受けるよりショックだった。



「貴様……少しはやるではないか!」



 ハデスは怒りの表情を露わにしてレイヴに襲いかかった。

 しかしその攻撃を受け流しハデスに素早く2,3発攻撃を入れた。



「ぐぅ……ちょ、調子に乗るな!【破壊拳ブレイクブロー】」


「ハデス、お前はこの世界に出てきちゃいけない、災厄級拳技【終流】」



 ハデスの渾身の一撃をレイヴは【終流】で無の一撃にした。

 まるで元からそんな技は放っていなかったかのようにされてしまった。



「【終流】は【格闘】のスキルレベルをMAXにすることによって習得可能な技だ、【終流】を使えばその技の威力は0になる」


「【終流】だと……まさか貴様は……!」



 その言葉を最後に渾身の一撃で力の大半を使ってしまったため、段々とハデスからレイドへと意識が戻ってしまった。



「ハ、ハデスでさえ……」


「最後の切り札は打ち砕かれた、さて次はロキでも出すか?」



 今まで笑顔を絶やさなかったレイヴがロキの名前を出す瞬間だけ異常な殺気があふれた。

 しかしそれも一瞬で、さっきはすぐに収まった。



(なんて殺気だ……だめだ、勝てない……こいつはレベルが違う)



 レイドは怖じ気づき距離を取るために背を向けるのではなく、逃げるために背を向けた。

 しかしレイヴから逃げることはできず先回りされてしまった。



「この程度の殺気に耐えられないようじゃ、この先のレベルには到達できない」


「こんな、こんなところで!」



 レイドはやけくそになりレイヴに襲いかかる。

 しかしそんな攻撃がレイヴに当たるはずもなく逆にカウンターをくらってしまった。



「やはり運命の子ではないようだな」



 レイヴはそう言ってレイドが埋まっている瓦礫の山に魔法を放った。

 そして決着がついたと思ったレイヴは魔法を放った方向に背を向けて歩き出した。



「…………俺の魔法を初級とはいえよく止めたな」


「ギリギリ、私の魔力の全てを使ってだった」



 レイドは死を覚悟して目を瞑っていたがレイヴではない声が聞こえたため目をゆっくりと開けた。

 そこには半年後に……と約束していたアニムスが魔法から身を守ってくれていた。



「アニムス……なんでここに?」


「グレイヴに転送してもらったの、レイドのことを解析していたみたいで」


「あの野郎……だが助かった」


「ううん、問題はこれから、あの人に勝つビジョンがどうやっても見いだせない」


「…………」



 アニムスが到着して魔法の防御が可能になったが明らかな戦闘能力の差は縮まることは無かった。

 しかしレイヴは笑いながら2人に話しかけた。



「見逃そう……君たちは必要だ」


「あぁ?ここまで追い詰めといて、そんなことが信じられると思うか?」


「確かに君たち一人一人には価値は無い、しかし2人そろうなら別だったようだ、運命の子よ」


「運命の子?」



 レイヴの意味のわからない発言に2人は疑問を投げかけた。



「君たちが2人で、仲間である限り、俺からの介入は極力しない、つまるところ今回は見逃す」


「意味が……わからねぇな……」


「うーん、簡単に言うと、利用価値があるから今は摘まないって言いたいわけ」


「私たちに利用価値?運命の子っていったい何?」


「いまは、今の君たちにはこたえられないかな……安心しな、またいつか会う、それは運命で必然だ、その時には語ることを約束しよう」



 レイヴはそう意味深なことを言ってその場から一瞬で消えた。

 そしてアニムスはほっとしたのかその場に座り込んだ。



「アニムス、助かった。しかし俺は待っていろと話したはずだが」


「ごめんなさい、でも助けなければ約束を破ることもできなくなっていたから」



 レイドは「そうだな」とつぶやき少し笑顔をこぼした。

 そして思い出したかのようにレイドはロキに話しかけた。



(ロキ……もう話せるだろ?)


『うん、あいつが近くからいなくなったからね』


(あいつはいったい、何か知っているんだろ?)


『ごめん、何も話すことはできないんだ』


(何か理由でもあるのか?)


『それは……あいつからの呪いだからとだけしか言えない』


(そうか……なら仕方ないな、あいつならやっていても不思議ではない)



 レイドは目の前で圧倒的な能力の差を見せつけられ今は少し素直になっていた。

 そしてアニムスの力を借り瓦礫の中から出た。



「さて……もう半年たっていたのか、あの空間や船が多すぎて気がつかなかった」


「私も意外とあっという間だった」


「これから剣聖に復讐か?」


「うん、そうしようと思っていた、でもレイドは違うんでしょ?」


「…………」



 アニムスの質問にレイドは沈黙で答えていた。

 その後アニムスは得意げに話し始めた。



「あの人に合う前は復讐が優先だと思っていた、でもそれより優先しなくちゃいけなさそうなことがある」


「あぁ……あいつの口ぶり的に俺とアニムスが一緒だからこそ意味があるらしい」


「私とレイドが離れてしまったら多分口封じで殺される」



 2人の間に少しの沈黙の時間が流れた。

 そしてその沈黙を破ったのはアニムスだった。



「あの人にとっては剣聖……クズが私たちに殺され離れ離れになるのを阻止するはず」


「あぁ、だから俺らが復讐しようとすればあいつが立ちはだかるはずだ、そのためにも力が必要だ」


「うん……私も魔法のほうでサポートするには力が上がったとはいえまだ足りないはず」


「神玉だ……あいつとの差を埋めるためには神玉しかない」



 レイドがそう言うと2人はそれ以上、会話することは無く新しい神玉のもとに向かった。

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