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4話 魔力無しの勝者と……

 魔法を使えない少年ロンド。

 彼は決闘を強いられるが、それは魔法を使ったものだ。

 しかし、彼は魔法を使わずに勝利を収めることに成功するのだった。

 ロンドが勝利を収めた試合。

 それを見つめているのは長い耳を持つ男性だ。

 長いひげを蓄えてはいるが見た目は若く酷く似合わないのが印象的だった。

 彼はその長いひげを触り……。


「あの少年グーンツ卿の息子ロンドだったかな?」

「ええ、ロンド・グーンツと言います。何でも魔法が苦手だとか」


 彼の言葉を聞いた男性はロンドをじっと見つめる。


「あの少年と話したい、娘を交えてな」

「は? ですが、魔法使いにはなれないイノスですよ?」


 彼の言葉に男性は優しく諭すように告げた。


「かの勇者もイノスだ……それに魔法が使えないだけで話す事すら許されんと言うのか?」

「ですが封魔の力すらないイノスでは……」


 男は彼の言葉に反論をする。

 当然だ、男性はこの土の都の王。

 つまり、エルフの王であり、土の御子の実の父親……。

 そして、その土の御子はいずれ巡礼をしなければならない……魔物に襲われる可能性があるのだ。

 だが、男性は娘を交えて話をすると言った。

 それはつまり、ロンドを護衛にしたいと考えているという事が彼には分かったのだ。


「正直な話、勇者は過去一度現れただけです。もし、彼にその資格があったとしてどうするというのですか? 勇者の剣も今は錆て使い物にならないではないですか!」

「そうだな、だが……昔の物が使えないなら作れば良い……」


 そう言うと彼は立ち上がり父親に抱きつかれるロンドを見下ろす。


「魔法が使えなくとも試合には勝った……やりようによってはファイを傷つける事も出来ただろう……だが、そうしなかった心優しい少年じゃないか」

「それだけでルティナ様の護衛を? 王よ今一度……」

「いや、考え直す必要はない……彼は勇者の資格がある。話をさせろ」


 いつもなら意見を聞いてくれる王である彼の言葉に男は驚いた。

 ここまで頑なに自身の意見を曲げないと言う事は無かったのだ。


「分りました……王がそこまで言うのでしたら、今回だけ私からグーンツ卿に連絡を取っておきます」

「ああ……頼む」


 王は微笑んだままそう返すと男は何かに気が付いたように王に話を切り出した。


「そう言えばグレイ卿はどうするのですか? 先程あの少年ファイに関する事ですがこちらで調べた事はお伝えしましたよね?」

「……ああ、禁呪の件か……」

「ええ、弟の方が魔力に優れ、兄の血を混ぜた乳で育てたという事ですね」


 険しい顔をした二人は……。


「真実はファイには伝えなくてはならなくなるだろう……だが、その前にグレイ卿は街から追放だ。他の都にも連絡を取ってくれ……禁呪使いの魔人だとな」

「それはもうすでに手配をしております。ですがあの少年はどうするのですか? 今回試合のやり取りを見てもロンドへと明らかな手加減をしているのが――」


 彼の言葉を遮った王はゆっくりと頷き……。


「グーンツ卿に任せよう……彼は信頼できる。また、優秀な魔法の使い手はロンドの成長の為にもなるだろう」


 王がそう言うと男は深く頭を下げ……。


「王の言う通りに……賢明なご判断だと、では私はグーンツ卿にその話を含め伝えてまいります」


 彼が去って行くのを見ながら王は再びロンドへと目を向けた。


「封魔ではなく滅魔の力か……力ある者は力に溺れる事も少なくはない、子供なら尚更だ……だが、あの少年は勇者の様に心が落ち着いている……彼ならば……もしくは……」


 王はそう呟き彼が来るのを待ちわびるのだった。








 俺は父親に抱きつかれている。

 正直に言えば母親の方が良い……。

 いや、まぁあれだけ綺麗なお姉さんなら誰だってその方が良いだろう。

 まぁ、我慢するけど……。


「苦しいですよ、父さん」


 俺がそういうと彼は――。


「よく無事でいてくれた……運良く彼の魔法が失敗するとは」


 いや、失敗じゃなくて失敗させたんだけどな?

 まぁ、いいか……この父親にも心配をかけてしまった。

 それは間違いない。


「はい、運が良かったようです」


 俺がそう言うとより一層抱きしめられてしまった。

 苦しいが、仕方ない。

 そんな事を考えていると一人の男性がこちらへと向かって来ていた。

 彼は俺達に近づくと……。


「グーンツ卿、そしてご子息殿に王がお会いしたいと申しています」


 といきなり言われた。

 いや、待て難で王様が俺に会う?

 父親は分かる……彼は現在、街を守護している巫女の護衛でもあるからだ。

 だが、俺は分からない。


「王が? ロンドを?」

「はい、お願いいたします」


 ザードは俺へと目を向ける。

 彼自身何故俺を呼んだのかが分からない様だ。

 だが、決して悪い意味ではない。

 そんな気もした……。


「分かったすぐに向かおう」


 それは父も感じ取ったのだろう頷くと彼の申し出に素直に応じた。

 俺はそんな親に手を引かれ、兵士の後を追って行った。







 てっきり会場内にある王の専用席に案内をされると思っていた。

 だが、通されたのは試合会場の横にある城の方だ。

 まるで日本家屋の様な城だが、それには理由がある。

 この土の都を支える巫女の家系はエルフ……土の加護を受け他種族である彼らは和文化と言って良いのだろうか?

 とにかく昔の日本を思わせるような服装をしている。

 エルフが多く住む風の都にはこう言った白や和服もあるそうだ。


「待たせたな」


 そう言ってはいってくるのは全く似合わない顎髭を生やした青年。

 と言ってもエルフだからその年齢は分からない。

 そして、俺の目からは高校生ぐらいに見える女の子だ。

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