反応が無いな、どうなんだろう。
「3」「2」「1」「ドカーン」
「わーーい」「なぜなにじえいたい」
画面が針変わりアップでまきぐも君が映し出される。
「やあ! まきぐも君だよ、又会えたね。みんな元気してたかな?」
画面が引きまきぐも君の横で棒立ちになって、まきぐも君をジッと見ている和美が映る。
「お、姉さん? 和美お姉さんどうしたの、みんなに挨拶は?」
ボソッと、まきぐも君に対して口を開く。
「・・・・・・返して、私のお金」
「な、何を言ってるのかなお姉さん。・・・・・・誘ったのは僕だけど倍倍プッシュ~、とか言ってレートを上げたのは和美お姉さんじゃないか」
「クッ・・・・・・」
震えながら涙をポタポタと流す和美。
「わ、分かったよお姉さん返すから、お金返すから、早く解説を始めよう」
パアッ、と花が咲くように笑顔になる。
「ありがとう! まきぐも君、これからも宜しくね」
「あー、はいはい。さっ、始めてよワガママお姉さん」
「うん! みんなー、元気だったぁ私はこの通り元気だよ。みんな、賭け麻雀は違法だよ、絶対にやっちゃダメ。それじゃぁ前回の続きだよ」
「わーい、たのしみだなぁ(棒読み)」
「前回は玄門一直だったから今回は二直からだよ」
「たしか二直は午前中公用士だったんだよね?」
「そうよ、良く覚えていたわねまきぐも君。二直も一直と同じで玄門の出入りを見たり、号令をマイクで流したりするの。そして二直は十六〇〇時まででそこから三直に代わるんだけど、二直は当直が終わっても忙しいのよ」
「え、当直が終わっても仕事があるの?」
「そうよ、先ずは日没の時間に艦首に揚げてある国旗を降ろすの」
「あ、停泊中艦の一番前にある国旗は二直が降ろすんだ」
「それだけじゃないの、二直は甲板掃除の時士官トイレを受け持つの。日没が遅くなると掃除の時間と重なるから大変ね」
「へえ、でもどうやって日没が分かるの? 艦内に居たら分かんないよね」
「それは大丈夫、ちゃーんと三直の海士が十五分前に教えてくれるわ。ただー」
「ただ?」
「ただ教えに行っても二直の居場所が分からなかったり、教えるのを忘れていたりすることが多々あるの」
「そ、それはヤバイね」
「そうなの、ヤバイの。自衛艦旗の上げ下ろしは重要なイベントだから-、忘れちゃった、テヘ。じゃあ済まないの、次回の整列のネタになる事は確実ね」
「うわぁ・・・・・・、あ、国旗の方は一人で降ろすんだよね?」
「ええ、自衛艦旗の方は先任海曹と一緒にゆっくり上げ下げするけど、国旗の方はサアッと上げ下げして艦尾に向けて敬礼するの」
「フムフムなるほど、これで二直の仕事は終わりなんだね」
「いえ、まだ夜があるわ」
「あ、そうかぁ。でも夜はそんなに仕事は無いよね」
「そうなんだけど、夜は夜で大変なのよ。まぁ、それは置いといて次回は三直よ」
「そうだね、みんなぁ次回もお楽しみに」
「「じゃーねー、バイビー」」
ブンブンと手と体を振る。
ガタン! 終わりのテロップが落ちてくる。
「お前なぁ、泣くなんてずるいぞ」
「えっ、あー、知らないんですか涙は女の武器なんですよ」
「・・・・・・ヤッパリ返すの止めた」
「えーー、そんなぁ。返すって言いました、まきぐも君はー・・・・・・」




