特別編、お金。
「3」「2」「1」「ドッカーン」
「わーい」「なぜなにじえいたい」
「よっしゃ、特別編版遠洋航海の続きだっ」
「ねえもう本当に続けるのこれ」
「当たり前だろ、我々にはもうこれしか無いんだから。お姉さんもそろそろ覚悟を決めてほしいな」
「覚悟を決めろって言われても遠洋航海でしょ ? いろいろと問題がー」
「大丈夫、何も問題はない。外国の方たち、主に女性と親交を深めるのも僕たちの仕事なんだよ」
「あんた達は何しに外国を回ってるのよっ !!」
「もちろん『なに』をするためだよ。しかし『なに』をするためにはお金が必要。なので今回はお金のことを話そうと思う」
「お金の事だけを話すのね」
「ほかの事も聞きたいのかな ?」
「いいえ、お金の事だけで結構です。でもこの間話してたじゃない1ドルがいくらだとか」
「今回はそれじゃなくて遠洋航海に持っていくお金の事さ。なんせ航海中はお給料が貰えないからね」
「えっ、お給料出ないの ? なんで出ないの ?」
「いや出ることは出るんだよ、ちゃんと十八銀行に入金されるよ」
「なんだ、貰えるならいいじゃない」
「でもどうやって下ろすの かな ?」
「そりゃあ今のようにコンビニでは下ろせないから銀行行かないと」
「ハワイにその支店銀行あるかな ? オーストラリアには ?」
「あ……、下ろせないわね」
「そう、半年間僕たちは給料を貰えないんだ」
「どうすんのよ、あっ、別に困らないか食事は毎日タダだし寝床もあるし」
「そんな訳あるかっ、お土産も買えないし第一『なに』ができないだろっ」
「その『なに』はしなくていいから。だけどお土産やその土地の美味しい物が食べられないのはー。でも貯金ぐらいしてるでしょ ?」
「貯金 ? そんなのしてると思うか ?」
「あ、ごめん。失言だったわ。だったらどうするのよ、また借りていくの ? 金融業者に」
「いや、そうなると返せないから大変なことになってしまう。こーゆー時のために自衛隊は救済処置を用意してるんだ」
「そんなことしなくていいのに。で、どんな救済処置なの」
「航海手当の五十万を前借できるんだ」
「えっ、航海手当が五十万もでるの ?」
「まあずっと外国を回るんだからそれぐらい出るよね。そして半年間の航海が終わったら半年分の給料がそのまま残ってるってぇ寸法さ」
「なにそれ、ウハウハじゃない」
「うん、ウハウハだったと……、思う」
「なに ? 思うって」
「あんまり覚えてないんだ、きっとパチンコに消えていったと思う」
「もったいない、貯金してればよかったのに」
「僕は昔っからお金を貯めるのが苦手なんだよっ。借金は直ぐ増えるのにって五月蠅いわっ !」
「はいはい、一人突っ込みご苦労様。それじゃあみんなー」
「おおっ、いきなりかっ」
「「バイビー」」
ガタン、と終わりのフリップが落ちてくる。




