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お前はもう、溺れている。

 溺者救助訓練ですが、指令部が乗ってくると少し違ってきます。


 指令部には小部屋が与えられて、その前を通る海士達を中へと連れ込むのです。


 1分隊から4分隊までの四人の海士が捕まりました。


 人員の把握を分隊ごとに検査するようです。


 勿論1分隊は私が捕まりました、でもこれはワザと捕まったのです。決してヘマして捕まった訳ではありません、私はやってません、大事なことですので二回書きました。


 なぜワザと捕まったのか? それは私が艦橋のマイク係だからです! 私が「二分隊〇〇一士が見当たらない」と放送する係なのです。


 だから真っ先に私が居ないことに気付くのですよ。


 私は自信満々で指令部の人に宣言しました。


 だけどその人はニヤリと笑ったのです。・・・・・・えっ?


 そして訓練が始まりました。


「教練、人が落ちた。右! 救助艇用意」


 艦が傾いて回頭を始めました。


 今頃それぞれの部署で人員の点呼が始まっています。


 やはり、一番最初に呼ばれるのは私でしょう。直ぐにマイクが入り-。


「四分隊、〇〇士長が見当たらない」


「えぇー!」

 

「よし、行け!」と、四分隊の士長が解放されます。ま、まあ次はー


「四分隊、〇〇士長は見つかった。二分隊、〇〇一士が見つからない」


「よし、お前も行け」


 二分隊の海士も解放されました。そんな、私がマイク係なのに何で気付かないんだ。


 このマイクの声は当直海曹の阿久津海曹の声だ、ホントになんでー。


「二分隊、〇〇一士は見つかった。三分隊、〇士長が見つからない」


「よしよし、行け」


 とうとう私一人が残ってしまった、指令部の人のニヤニヤが止まらない。


「三分隊、〇士長は見つかった・・・・・・」


 私の名前が呼ばれない、暫くたってー。


「一分隊、〇〇士長が見当たらない! 溺者は一分隊〇〇士長」


「よし、お前はもう溺者だ」


 う、うわぁ、また溺者になってしまった! 後で分かったことだが艦橋は各部の人員を集計するだけで艦橋自体の人員を把握していなかったのだ。


 意外な盲点だった・・・・・・、のか?


 ポイント増えたよ、嬉しいな~♫

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