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第6話 宿に泊まる

 門の列に並ぶ。

 俺の周りだけ人が居ない。

 みんな俺を避けているようだ。

 ちょっとショック。

 みんなが俺を見る目が完全にヤクザなんかを見る目つきだ。

 魔力が多いとこうも恐れられるのかな。


「次、お前か。さっきから見ないようにしてたが、街に入りたいのか?」


 門番は及び腰だ。


「入りたい」

「入れてやってくれ。Aランクパーティ極天が保証する。イライラすると物にあたったりするよな。あとは言わなくても分かるだろ。分かるよな!」

「ああ」


 門番は大げさに首をブンブン縦に振っている。

 そして、門番は諦めたような口調で投げ槍に言った。


「入市税、銅貨10枚だ」


 俺は財布から銅貨を出した。


「こいつは何だ」

「これが銅貨じゃないのか?」

「クラモト、薄っすらと光っているんだ。魔力を帯びている」

「そうか。地球に運んだからな」


「門番、チップだと思って受け取っとけ」


 ロバートがそう言った。

 またしても、門番は大げさに首をブンブン縦に振った。

 ようやく街に入れそうだ。


「ギルドに寄りたいがいいか?」

「うん、ギルドも見てみたい」


 うわー、ここが異世界の街か。

 露店とかあるのが異国情緒を感じさせる。

 売っているのは食べ物と雑貨が多いな。


 やはり、俺を見るとみんな怯えた。

 スリすら寄って来ない。


「キョロキョロしてるな。まるでお上りさんだ」

「ああ、珍しいから」

「普通の奴だとキョロキョロしてたら、物取りのカモだ。だが、お前はまあ大丈夫だろう」


 だよな。

 汚い身なりで首輪を着けて、首輪にはロープが付けられている人を見かけた。

 ロープの端は身なりの良い人に握られている。


「あれは?」

「借金奴隷だよ。犯罪奴隷は街にはほとんどいない。首輪している奴を見かけたら借金奴隷だな」


 奴隷制度があるのか。

 これは気を付けないとな。

 知らないうちに、奴隷にさせられてたなんてことになったら、大変だ。


「可哀想だな」

「俺もそう思うが、借金は返さないとな。借金奴隷も永久に奴隷じゃない。金額が少なければ期間も短い」


 丁稚奉公の酷い扱いみたいなものか。

 だが、日本人の感覚からすると、どうもやりきれない。

 だげど、全ての奴隷を俺が助けるわけにはいかない。

 異世界の問題は異世界の人間に任せよう。


 大通りを歩いて、ある建物の中に俺達は入った。

 入った瞬間、みな武器を構える。


「武器を降ろせ!」


 ロバートが一喝する。

 みな武器を降ろした。

 なんかヤクザというより、怪獣扱いされているような気がする。


 ロバートがカウンターで手続きする間、掲示板なんかを眺めて過ごした。

 翻訳の指輪で文字は分からないんだな。

 原理がテレパシーではそうだろう。


「待たせたな。宿に案内する」


 俺はきらびやかなお城みたいな建物に案内された。


「支配人は居るか!? この人物を泊まらせたい」


 ロバートが声を張り上げる。

 しばらくして、初老の男がやって来た。


「手前が支配人でございます。この眩しい方が宿泊したいと」

「安全は冒険者ギルドが保証する」

「さようですか。魔力が沢山あるからと言って差別するような事はありません。よろしい、どうぞお泊り下さい」

「一番良い部屋を頼む」

「かしこまりました」

「クラモト、俺達は行くが、外出は控えてほしい」


 外国でホテルの外に出て酷い目にあったという話は聞いた事がある。

 俺は安全を考える男だよ。


「外には出ないよ」


 そして、俺はビクビクする宿の従業員に案内され部屋に入った。

 部屋は3部屋あり、寝室に入るとなんと天蓋付きベッドだった。

 ベッド脇の木箱を開けるとひんやりと冷たい。

 中にはワインらしき物が入っていた。


 なんか重要人物になった気分だ。

 そういや、チップとかどうするんだろうな。

 俺はテーブルの上に銀貨一枚を置いた。

 チップの文化があったとしてもこれで良いはずだ。


 そう言えば腹が減ったな。

 食事はどうするんだろう。

 呼び鈴があったので鳴らす。


 部屋がノックされ従業員が入ってきた。


「食事をしたい」

「あの失礼ですが、食堂を利用されますと、ちょっと」


 ああ、電飾人間が同じ部屋にいると落ち着かないよな。

 ここって高級そうな宿だからな。


「ルームサービスはあるか?」

「ございます」

「普通の人が食べる量の料理を持って来てくれ。料理の種類は任せる」

「かしこまりました」


 こういう高級な宿を使った事がないから分からないが、これで良かったのか。


「教えてほしい。チップというのはあるか?」

「ございます」

「テーブルの上に銀貨があるだろ。チップだ」

「ひっ」


 怯える従業員。


「どうした」

「いえ光っているもので」

「高濃度の魔力が染み込んでいるだけだと思う。人体に害はないはずだ」


 ロバートも一円玉を素手で触ってたし。


「では頂きます」


 従業員はそそくさと出て行った。

 しばらくしてコース料理らしき物が運ばれてくる。

 ワインと前菜、スープ、メインとパン、最後にデザートとお茶が。

 味は悪くない。

 もっとも貧乏舌の俺には本当に美味い物が分からないが。


 分からなかったので、給仕にもチップを渡す。

 銀貨を見た給仕はビクッとして硬直した。

 これからは異世界の金は換金する以外は地球に持ち込まないでおこう。

 銀行業務をしてくれる所があるといいのだが。


 異世界でベロベロに酔っ払うほど肝が太くないので、寝酒は飲まずに寝た。

 こうして異世界の街での一日が終わった。


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