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第5話 異世界の街に行く

 払いたくないが、義士(ぎし)がした300万の銀行の借金利息を俺が払った。

 これで、支払い期限が伸びた。

 まあ、最終的な返済日は1年後だから、それまでに300万円稼ぐのは堅いと思う。

 必ず立て替えた分は義士(ぎし)に払わせてやる。


 警察の動きはない。

 絵世(えせ)を逆に俺が刑事告訴しているから、警察も慎重に捜査を進めているのだと思う。

 そのうち、何か言って来るだろう。


 帰って来てから一週間後。

 再び異世界に行くと何十人もの人間がいた。

 俺に注目が集まる。


「お前ら、武器を降ろせ!」


 ロバートが一喝する。

 武器を構えていた人間が武器を降ろした。

 分かるよ。

 空間の裂け目から何か出て来たら、普通は警戒するよな。


「クラモト、早かったな」

「異世界の街に行けると思うとワクワクしちゃって、早朝に押し掛けたよ」


「街への案内だが、護衛任務だと一日金貨5枚だ」


 50万円の日当か。

 護衛の給料は地球でも高いと聞いていたから、驚きはない。


「魔導金属で払いたいが良いか」

「もちろん」


「それにしても建物が出来たんだな」

「ここは魔力が濃いんだ。魔道具の魔力を充填するのに立地が良い」

「へぇ、そうなんだ」


 なるほどね。

 魔力が高いと色々と利点がありそうだ。


「魔道具について聞きたいな」

「まず魔道具は色々と種類がある。魔力の運用で3つに分かれる。使い捨てのタイプと、魔力を充填して使うのと、身に着けた者から魔力を自動的に補給するタイプがある」

「翻訳の指輪は?」

「身に着けた者から魔力を補給するタイプだな。ちなみに魔導金属を使うのは使い捨てだ。魔水から作るポーションも使い捨てだな」

「補充するのは?」

「モンスターから採った魔石を使った魔道具だな」

「モンスター? 見た事ないけど、狂暴なのか?」

「大体な」


 冷や汗が流れた。

 前に来た時は危なかったんじゃないか。

 くわばらくわばら。

 一日金貨5枚は惜しくないな。


「詳しい話は後でしてやろう。急がないと街に着く前に日が暮れる」

「じゃ出発しよう」


 森を舐めてた。

 一時間ほど歩いて足ががくがくになる。


「ちょっと休ませてくれ」

「ならいいのがある」


 そう言うとロバートは腰に付けたペットボトルを外した。

 ペットボトルには何やら文様が書いてある。

 ペットボトルの中身を飲めと言うんだろうな。


 飲むと味は普通の水だった。

 足の痛い所が瞬く間に治る。


「どうだ、良いだろう。この容器の魔力で中の水がポーションになるようにしたんだ」

「リーダー、また自慢しちゃって」


「無限にポーションが作れるのか」

「まあな。容器の魔力がなくならない限りはな。ただ、出来たポーションは容器から出すとすぐに普通の水に戻っちまう」

「その欠点を差し引いても便利だな」

「そうだろ。宝物だ。神器と言っても差し支えない」


 空のペットボトルが無限ポーション製造機になるのか。

 これ地球に輸入したらやばいだろうな。

 馬鹿でも分かる。

 だが、地球で金持ちの権力者にでもなったら、輸入して売り出そう。

 そうしよう。


 モンスターが全然出て来ない。

 それどころか野生動物もだ。

 ネズミの一匹すらいない。


「こんなに動物が出て来ないものなのか」

「ああ、クラモトのせいだな。魔力が高いのが居ると動物やモンスターは逃げ出す。逃げ出さないのはドラゴンぐらいだろう」

「俺ってモンスター除けなんだな。見たかったな、モンスター」

「死骸なら買取所で嫌というほど見られるぞ」

「死んだのは遠慮したい」

「俺は生きているのより死んだモンスターの方が良いな。襲い掛かられる方が嫌だ」


 テレビで巨大ザメの死骸を見た事があるが、たしかに生きてるあれと遭遇したくはない。

 ロバートの意見も分かる。


 森の縦断はじつに骨が折れた。

 ポーションを飲みながらだったから良いが、これがなかったらどうなっていたか。

 たぶん森の中でへばって迷惑を掛けただろう。

 俺がいるとモンスターが出て来ないらしいが、森の中で一泊は勘弁してほしい。


 途中、道に出た。

 道はまだ新しい。


「道を作っている最中なのか」

「ああ、魔穴まで道を作る予定だ」

「魔道具の充填だったかな。儲かるのか」

「そうだな。一年間が一日で済む。人間が込めると一ヶ月ぐらいだがな」

「一ヶ月の日当と考えると。一日、置いておくだけで30万円か。なるほどそりゃ儲かる」


「価値が分からないようだから説明しておく。銅貨3枚でパン1個だ。銅貨100枚で銀貨1枚。後は分かるだろう」

「なんとなく、つかめたよ。この前、渡した魔水はいくらぐらいだ?」

「中身が金貨100枚で、容器が金貨10枚ってところだな」

「一円玉は?」

「魔導金属は金貨100枚ってところだな。だが、あれは物騒だから、普通の店では売れない」

「そうか、武器の材料なんだな」


「ああ、城が落とせる威力だ」

「じゃあ、気軽に色んな人に渡すのは、辞めといた方が良いな」

「そうだな。そうしてくれるとありがたい」


「俺が持って来た水を人に飲ませたらどうなる?」

「薄めなければ、魔力中毒で大抵死ぬ」

「うおっ、食べ物は人にあげられないな」

「光って眩しい食べ物を食う奴がいたら、そいつが間抜けなだけだ」

「そうだった。光ってるんだった。安心じゃないけど安心したよ」


 計画がだいぶ狂ったな。

 商品が物騒で売れないとは困ったものだ。

 商品はミネラルウォーターの一択かな。

 道行が整備された道になった事で案外と早く森から出られた。

 遠くに城壁が見える。

 あそこが街だな。

 亀裂から歩く事、10時間ぐらいだ。


 時刻は16時を回ったところ。

 宿をとって休むのには丁度いい。


 ポーションで疲れが取れたが、気分的には疲れた。

 ベッドに横になったらすぐに眠れる自信がある。


 門が見えるが、俺はすんなり入れるんだろうか?

 ここまで来て投獄とかならないよな。

 おばあちゃんの家の神棚を思い出して、祈った。

 笑い声が聞こえた気がする。

 嫌な感じはしないから大丈夫だと思いたい。


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