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【書籍化決定】愛など初めからありませんが。(第一章完結、第二章準備中)  作者: ましろ


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25.反撃開始

さてと。落ち込むだけ落ち込みましたし、そろそろ浮上しないと、フェミィ様達に顔向けできませんよね?


どれだけ考えても私は悪くないとしか思えません。どんな理由であれ、家族を捨てて家を出たのはダイアナ様ですし、私を妻に迎えたのは旦那様です。

いい加減鬱陶しいので、私の業務外のことも頑張りましょうか。


「メイド長、使用人達をホールに集めなさい」

「畏まりました」


ザワザワと使用人達が戸惑いながらも集まってきました。


「指示があってから全員が揃うまでにずいぶん時間がかかりましたね。各担当の長は理由を述べなさい」


「料理長です。食材や調理器具を放置して向かうわけにはいきませんでしたので、それらを片付けてからこちらに向かったため遅れました。申し訳ありません」

「そう。適切な処置をしてから来たことは立派だと思います。ただ、そういう場合は、遅れる旨を連絡する人が必要でしたね?」

「あ、申し訳ありません!次からは気を付けます!」

「いえ。突然の呼び出しにも関わらず、食材や器具を第一に考えたことは素晴らしいと思うわ。いつも美味しい食事をありがとう」

「とんでもないです、ありがとうございます!」


それからも、各担当者からの報告が続きました。


そして──


「メイド長。そこのメイド三名はなぜ遅れたのかしら。この時間は洗濯などは終わっていますし、今は旦那様やお嬢様達も留守です。仕事が減っているはずだから、すぐに来られない理由はないはずよ」

「申し訳ございません」

「私が欲しいのは謝罪ではなく、遅れたことの理由です。ああ、あなた達は先日仕事が忙しいからと私を突き飛ばしていった者達ね?

聞きましょうか。あなた達は何がそこまで大変だったの?」

「……っ、」

「まあ、睨み付けて怖いこと。確か私のことを偽物のくせに偉そうにしていると言っていたわね。それからタダ飯食いで?後は何だったかしら。もう一度教えてくれる?」

「なっ!アンタなんかが偉そうにっ!」


あら。どうやらここまで言っても改心しないみたいです。


「メイド長?」

「ミッシェル様、誠に申し訳ございません。この三名は本日付けで解雇いたします」

「えっ?!そんなっ!」

「当然でしょう。ミッシェル様はこの伯爵家の女主人です。それを偽物だのと罵った挙句に突き飛ばした?何て愚かな真似をっ!そんな人間を雇っておけるわけがないでしょう!」

「だって、そんな…っ。も、申し訳ありません!二度といたしませんのでっ!」

「許してほしいためだけの謝罪はいりません。私は今日、あなた達にチャンスをあげました。それを踏み躙ったのは自分達でしょう?

安心して。紹介状は書いてあげますよ。猪突猛進で、家の主を弾き飛ばして不満を撒き散らしながら働きますと書いておきましょう」


泣きながら謝っていますが知りません。一回くらいなら見逃しますが、このままではフェミィ様達へ悪影響を及ぼしそうですもの。


「皆さん、旦那様が不在で落ち着かないかもしれませんが、こういうときこそ普段通り真面目に業務にあたってくださることを望みます」

「「はい!」」

「そろそろ旦那様達もお戻りになることでしょう。あと、知っている人も多いと思いますが、ダイアナ様が客人としていらっしゃる予定です。

いつ到着されても問題なくお迎えできるように準備をお願いしますね。

では、仕事の手を止めて悪かったわ。各自持ち場に戻ってちょうだい」


こんな感じでいいかしら。


「ミッシェル様、本当に申し訳ございませんでした。私の管理ミスです」

「いえ。私が頑なに自分の仕事の範疇外だからと放置していたからいけなかったんです。でも、彼女達はさすがに目に余りましたからね」


落ち込んでいてヤケになっていたとも言えますけど。


「本当に!旦那様がいなくなった途端、ああも愚かになるとは思いませんでした。

ミッシェル様、できればこのまま奥様とよばせていただきたいですね」

「……どうでしょう。旦那様が戻られないと何とも返事のしようがありません」

「あの方は本当に……。ダイアナ様が絡むと途端に駄目になるから困ったものです。お仕事だけは人一倍頑張るのですけど」


ふーん、そんな感じなのですか。


「仲睦まじかったのですね」

「どうでしょう。旦那様は崇めている感じでしたからねぇ。ダイアナ様がそこにいるだけでいい、みたいな方ですわ」


……やっぱりそんな面倒なモノを置いていかないでほしかったですね。


「旦那様がいない隙に女主人として振る舞うだなんて、何だか悪女になった気分です」

「フハッ!」

「……ノーラン。笑ったわね?」

「だって、ぼっちゃま曰く妖精さんなミッシェル様が悪女って……痛い痛いっ!スネを蹴らないでくださいよ!」

「ふん!」

「まあ、元気が出たみたいで安心しました」

「一週間もあれば何とかなるものですよ」

「旦那様にお聞かせしたい言葉ですねぇ」


いつになれば帰ってくるのやら。


「メイド長、とりあえず私に臨時で仕事をください。タダ飯食いと言われるのは腹が立ちますわ」

「では奥様とおよびしますね」

「……臨時ですよ」

「うふふっ、ではまずは衣装から変えましょう!」

「なぜそうなるのですか」

「そのお姿では奥様に見えませんから」


キッパリと言われたら何も言えなくなりました。


旦那様、早く帰ってきてください。いえ、旦那様はどうでもいいです。早くフェミィ様とコニー様に会いたいです。






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