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優馬のメイド

驚きはビルの中に入っても続いた。


というのも俺が建物の中に入った瞬間、そこには列をなしたメイドが待っていたのだ。


メイド達は、俺達がビルに入ってきたのを確認すると、みんな一礼をする。


『おかえりなさいませ、優馬様』


メイド達は声を揃えて言う。

俺はその圧にたじろいでしまう。


そんな俺を他所に、桜井さんは話し出す。


「優馬様、この者達は優馬様のお世話してくださるメイドです。何かございましたら、彼女達に申し付けください」


「あ、はい……分かりました」


俺と桜井さん、そして橘さんは左右に列になって並んでいるメイドさん達の間を進んでいく。


すると、列の最後。


通路の中央に立つメイド長らしき人物が俺に話しかけてきた。


「お帰りなさいませ、優馬様。私はメイド長の皐月美沙と申します。これから優馬様のお世話をさせていただきますので、どのようなことでも何なりとお申し付けください。どうぞ、よろしくお願いいたします」


皐月さんは丁寧な口調でそう言うと、深々とお辞儀をした。


皐月さんのメイド服は、黒を基調としたロングスカートのクラシックスタイルのメイド服だった。


しかし、シック過ぎることはなく、その服にはフリルが付いておりとても可愛らしいデザインをしていた。


そんな着る人によっては、少し地味に見えるかもしれないメイド服だったが、皐月さんの人柄が滲み出ているのかとても上品に見えた。


そして皐月さん自身も凄く美人だった。


短く切り揃えられた黒髪、そして少し冷たそうな印象を受けるつり目だがとても整った顔立ちをしている。


胸は控えめだが、スラッとした体型と美しい姿勢からはそこはかとなく色気が漂っていた。


一言で言えば凄く綺麗な人だった。


「あの……どうかなさいましたか?」


俺が皐月さんを見て、呆然としていたのが不思議だったのか首を傾げていた。


「あ、すみません! あ、えと俺は如月優馬と言います。これからお世話になります。よろしくお願いします」


俺は皐月さんに見惚れていたのがなんだか恥ずかしくなって、慌てて自己紹介をする。


「はい、こちらこそよろしくお願いいたします。それと私達メイドには敬語は不要ですよ。私達は優馬様に仕える者です。ですので、気軽な感じで話してください。その方が、私達も優馬様との距離が縮まり嬉しく思いますから」


「はい、分かりま……分かったよ皐月さん。これからよろしくね」


「はい、改めてこちらこそよろしくお願いいたします。あと……これは私の単純なお願いと申しますか……その……是非、私の事は美沙とお呼びください」


なんだか、皐月さん……いや美沙さんの表情を見ると、すっごく期待の眼差しを感じる。


これは呼ばないとダメそうだな……仕方ないか……


「えっと、分かったよ……美沙……」


初対面で、しかも年上の女性を名前で呼ぶのは少し抵抗があった。


そして、彼女はパァッと表情を明るくする。


「はい、優馬様の美紗です! きゃーーー!」


美沙さんが急に、満面の笑みながら叫び出した。


クールな印象のある美沙さんが、急に子供のようにはしゃぐ姿を見て俺はビックリしてしまった。


「ちょっ!  美沙!?  急にどうしたの!?」


「あ、失礼いたしました。優馬様に美紗と呼んでいただき嬉しくなったもので……ついはしゃいでしまいました」


お恥ずかしいところをお見せしましたと、美沙さんは頬を赤らめて誤魔化すように笑った。


その仕草はとても可愛らしかった。


橘さんはコホンと、咳をして変な空気になりかけ雰囲気を切り替える。


「では、メイド長との挨拶も済んだことですし、最上階の部屋に行きましょう。優馬様、こちらです」


橘さんに案内されてエレベーターに向かう。


エレベーターに向かう途中にも高級そうな調度品などが所々に飾ってあった。


美術館に展示してあるような絵画や、壺。天井には当然のごとくシャンデリア。


そして、床は大理石で出来ていた。


改めて、自分がとんでもないところにいると感じた。


「さ、優馬様。どうぞ、お乗りください」


どうやら、いつの間にかにエレベーター前まで来ていたようだ。


橘さんはエレベーターの扉を開けると、俺に乗るように促した。


俺は恐る恐るエレベーターに乗り込む。


その後に桜井さん、橘さん、最後に美沙が乗って扉が閉まる。


そして俺はエレベーターに乗り、まず階数ボタンの多さに驚いてしまった。


美沙が120と書かれたボタンを押し、エレベーターが動き出す。


「優馬様、最上階の120階は優馬様の住居スペースです。ですので、この階には妹様の雪奈様と私、そして男性護衛官しか降りることができません。認証されていない指紋が、階数のボタンを押してもエレベーターは動きません。基本的に、身分の高い者ほど上層階に降りれるようになっております」


「つまり、偉い人ほど優馬様との距離が近くなるってことです! それと、このビルの屋上にヘリポートがございますので、緊急時はこのヘリで脱出することもできます」


美沙が説明をしてくれた後に、桜井さんが補足してくれる。


「そ、そうなんですか……なんだか贅沢過ぎて、俺には勿体ないって感じちゃうな……」


「そんなことありません! 優馬様にはこれで足りないくらいです! 優馬様は謙虚過ぎます! もっと自信を持ってください!」


「桜井の言う通りです。優馬様は日本の……いえ、世界の宝です! ですので、もっと自分を認めてあげてください」


二人とも俺のことを褒めてくれるのは嬉しいけど、流石に大袈裟だと思うんだよな……


それに、そんな風に言われるとなんだかむず痒くなってしまう。


美沙もウンウンと納得したように、頷いてるし……


しばらくエレベーターが上昇を続けていると、チンという音と共に目的の階にたどり着いたことを知らせてくれた。


ドアが開くと、そこにはまるでホテルのような廊下が広がっていた。


絨毯が敷かれており、壁紙は白を基調としたシンプルなデザインだった。


そして、その先には一つの大きな両開きの木製の扉があった。


その扉の前に立つと、その大きさがよく分かる。


高さは2メートルはあるだろうか?

その扉は、とても重厚感がありながらシンプルで洗練されたデザインのものだった。


美沙がその扉をゆっくりと開く。


俺は生唾を飲んで、扉が開くのを見つめる。


部屋の中の光量が強いのか、白い光が扉の隙間から猛烈に漏れ出してきて思わず目を瞑ってしまった。


目を開いて、最初に飛び込んできた光景は……


「お兄様!!!!! 会いたかったです!!!! だーい好き!!!!!ちゅっ!」


勢いよく俺に抱きついてきた雪奈だった。


俺は突然の出来事に反応できずに、そのまま押し倒されてしまうのだった。

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