表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

157/195

34:古竜墜ちる


空に起きている異変をクロムバイトも感じ取っていた。


「あれは…っ!」


上空で雷光を従える様に背負うレイルを見て気付く、エルグランドは倒せていた訳ではない、クロムバイトの一撃を受けた時に仮初めの体をほどいて展開していた雷雲の中で力を蓄えていたのだと。


地上からでもびりびりと体が震えるのが分かる、全盛を誇る今の肉体ですら()()を受けてはならないと警告を発していた。


「ちいっ!!?」



腕を掲げて魔術を構築する、するとクロムバイトの頭上には全てを呑み込むのではという規模の“黒水の月(ブラックムーン)”が展開された。


その直後に“黒水の月”に向けて第一から第四の全てが掛け合わされた大規模な“絶凍地獄(コキュートス)”が放たれる、黒い月は放たれた氷獄の嵐を呑み込むと収縮していき消え去った。


「…その魔術、規模や威力を関係なく無力化できるみたいだけど一度しか防げない上に貴方でも容易に発動できない、違う?」


「貴様ぁっ!!!」


「レイルの話と一度目にすればこれくらいの推測はつく」


セラの言う通り“黒水の月”の発動は容易ではない、重力魔術は強力な反面制御を誤れば術者に及ぶ危険が大きい魔術でもある。


自身を対象から外し自らに及ぶ攻撃のみを吸収するなど如何にクロムバイトと言えども再発動には相応の精神力や構築時間が必要になる。


セラがそう言うと同時に“氷獄王(サタン)”が解除される、クロムバイトは翼を拡げて飛び立とうとする、自らに掛かる重力の方向を真横にして飛ぼうとするが地面から出てきた鎖がクロムバイトの全身に絡みつき鎖を魂達が掴んで抑えつける。


「亡霊共めがぁっ!!?」


全身の力を漲らせて自らを戒める鎖を力任せに引き千切る、その間も上空からの重圧(プレッシャー)は増していきクロムバイトに焦りをもたらした。


真横に向いた重力による落下の速度と飛翔の速度を掛け合わせて飛ぶ、巨体を音速に近い速さでクロムバイトはその場を離れようとする。


レイルは静かに剣をクロムバイトに向けると鋒から雷が放たれる、空を走る雷はクロムバイトの背中に突き立った剣へと落ちて全身に走った。


(っ!?まさか剣を残したのは偶然ではなくこの為か!!?)


クロムバイトの全身に走る雷とこれまでの蓄積されたダメージが動きを止める、その状態でもクロムバイトは地面を踏みしめてレイルを睨むと身を焦がされながらも魔力を集約させて漆黒のブレスを放った。


降り注ぐ雷を呑み込んでブレスがレイルに向かう、レイルは迫るブレスを意に介さず構えると雷光の尾を引いて急降下する。


雷光を纏って天を飛ぶその姿はまるで古き時代に語られし空を穿つ流星や天を裂く雷に例えられた竜を想起させた。


「竜剣術…」


ブレスとレイルの永劫争剣(ダインスレイヴ)が衝突する、ダインスレイヴは雷光の中に紅い輝きを灯しながらブレスを斬り裂き蹴散らす、ブレスを斬り裂いたレイルはより速度を高めて一直線にクロムバイトへと向かった。


「おお…」


クロムバイトの隻眼にレイルの姿が映る、雷光を鱗の様に身に纏い、自身を斬り裂く(きば)を向けた(レイル)の姿が…。


「『天裂穿牙(てんれつせんが)』!!!」


ダインスレイヴがクロムバイトに振り下ろされる、鱗を裂き肉を斬り骨を断ったその一閃はクロムバイトの心臓にまで達した瞬間、戦場を強烈な閃光が包み込んだ…。

ようやく折り返し

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作書き始めました、良ければご覧ください。 侯爵次男は家出する~才能がないので全部捨てて冒険者になります~ https://book1.adouzi.eu.org/n3774ih/
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ