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5-15改




 ――校庭の一角。

 そこに着いたボクは、さっそく先ほどの窓の場所を確認し、地面に〝へばり付いて〟スマホの捜索を開始した。

 もはやなりふりなど構ってはいられない! なぜならスマホとはご存じのとおり、〝高い〟のだ。いくら激安のが出ているとはいえ、現在のボクの全財産……〝十四円〟でどうにかなるとはとても思えない! ――そう! つまり、と何度も言うけれど、ボクはあれを失ってしまったら〝破産〟してしまうのだ。その瞬間、それを知ったボクの〝お母ちゃん〟が……ぶるる! 考えただけでも恐ろしい。とにかく早く見つけなくては!

 そう決意したボクは、シャカシャカ、とコードネーム〝G〟のように地面を這いずり回る。

 ……え? 〝体裁(ていさい)〟? ナニソレ? ボクにそんなものがあるとでも思ってるの? ――って! 悲しいこと言わせないでよ! これでも一応気にしてるんだから!!

 くぅぅ! ボクは、そんな情けない自分に涙した。

 ――次の瞬間だった。


 ――ドンッ! 「うおっ!?」


 探し中にも関わらず、しっかりと前を見ていなかったせいで、ボクは人にぶつかってしまったのだ。

 しかも足下……その人は文字どおり足下(あしもと)をすくわれ、すてーん、と地面にしりもちをついてしまった。

 ――あ! しまった!!

 後悔してももう遅い。ボクは慌てて方向転換し、とにかくその人に謝っ――


 ――ボトッ!


 ――その時だった。

 振り返ったボクの目の前。突然降ってきたのは、青い〝スマホ〟……

 ――〝ボクのスマホ〟!!?

 がばあっ!!

 思わず跳びついた。そしてすぐさま座り直して画面を開くと……間違いない! お姉ちゃんとウチで撮ったツーショットの待ち受け画面! これは〝ボクのスマホ〟だ!! しかもどこも壊れてはいないぞ!!

 「――ぃやったー!!!」

 ドーン! グオン――ツ○ペリ男爵(だんしゃく)彷彿(ほうふつ)させるかのような、座ったままの高い跳躍(ちょうやく)……地面に降り立ったボクは、同時に、グワシィ! 思いっきりスマホを抱きしめた。

 「お帰りボクのスマホ! よくぞ無事だったボクのスマホ! もう離さないぞボクのスマホ!」

 うわーん! ボクは泣いて喜んだ。――当たり前だ。

 失ってしまった〝不安〟。

 破産への〝恐怖〟。

 お母ちゃんからの〝絶望〟……。

 それら〝全て〟から一気に解放されたのだ。これで泣くな、という方が無理である。

 よかったよかった……そう思った、その時だった。





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