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 「――みんな、お待たせ」

 ――保健室前の廊下。

 扉を開けて、目の前に見えたその姿に声をかけると、みんなもすぐにそれに反応し、ボクの近くに集まってきた。

 「――泰介……で? 〝結果〟は?」

 「――ちゃ、ちゃんと〝解け〟ましたか、泰介さん!」

 「――つーか〝不合格〟だったら〝死ね〟」

 「たいちゃ~ん! 〝お疲れ〟さま~❤」

 ……〝お疲れ〟、とまず以って言ってくれたのはお姉ちゃんだけか……まぁ、部活発足の全てはボク一人の肩にかかってるんだから、仕方がないと言えばそうなんだけれど……。

 「えーと……とりあえず落ち着いて聞いてよ、みんな」――そう先に言ってから、ボクはゆりちゃん先生に言われたとおりに話した。

 「一応、ボク自身としては〝結構自信はある〟んだけど……テストの〝結果〟については、ただ今ゆりちゃん先生が絶賛採点中だから、あと五分だけ待ってね、だってさ。――あ、あと、結果が出たらみんなのことを呼ぶから、それまではできれば全員ここに残っていてもらいたいんだって」

 相分かった。――くい、と甲呀は眼鏡を直してから続けた。

 「元より俺たちがここにいる理由は、お前のテストの結果を聞くためだしな……無論、それを断る理由などあるはずもない――皆もそうだろう?」

 「――もちろん、私もです!」「……まぁ、な」「お姉ちゃんはたいちゃんがいるだけで幸せだよ~❤」

 「――だ、そうだ」

 うん、分かったよ! ボクは、そんなみんなの意思を確認して、すぐに答えた。

 「みんな! いっしょに見とどけ…いや、〝聞きとどけよう〟! 今日という日を()って、ボクたちの〝部活〟が誕生する、その瞬間を!!」

 「「「…………」」」

 「きゃー❤ たいちゃんカッくぅいー!!」

 ………………あれ? みんな……ここは「おー!」とか、「うおー!」とか、そういうことを叫ぶ場面なんじゃ……???

 …………。

 ……まぁ、べつにいいけどさ? べ つ に !


 ――そして、ちょうど五分の時がすぎた、その時だった。


 「――はーいみんな~! お待たせ~! じゃあ、さっそく〝結果発表〟をするよ~!」

 ――保健室から出てきたのは、当然ながらゆりちゃん先生だ。その手には先ほどまでボクが受けていたテストが優しく握られていた。

 それを聞いて、見て、お姉ちゃん以外のみんなはなぜか、はぁー、だとか、ふ~、だとか、そんなどうしようもない〝ため息〟をつきながら各々呟いた。

 「不安ではない……と言えば〝ウソ〟になるな……まぁ、しかし俺は忍者だ。〝ウソ〟はついてこそナンボ、というものだろう……〝信じている〟ぞ、泰介」

 「……これ……もし不合格だったら、私の責任ですよね? そうなったら、私……た、泰介さん! 信じてま〝…〟す、からね! 絶対、信じ〝…〟ます! から!!」

 「〝死〟へのカウントダウンが始まるか、あるいは〝九死に一生を得る〟のか……まぁ、あたしはどっちでもいいんだけどな? 早いとこはっきりさせよーぜ?」

 「たいちゃん~! お姉ちゃんはたいちゃんのこと、〝バッチリ信じてる〟からね~❤」

 「……ねぇ、みんな? 何かこの二日間……ボクの扱い方がいつも以上にヒドくない?」

 ……まぁ、慣れてるからいいんだけどね? もう一度言うけど、べ つ に !!

 はぁー……ボクまでため息をついてしまった。

 それを見てゆりちゃん先生は、あはは……と気まずそうに苦笑いしながら話した。

 「えーと……発表しても……いい…のかな???」

 「――あ、ごめんね、ゆりちゃん先生? うん! ボクたちの心の準備は整ってるよ! だから、ビシリ! と言っちゃってよ! 〝合格〟のその二文字を!!」

 ビシリ!! ボクが後ろを振り返り、みんなの方を指差すと、ゆりちゃん先生は「分かった!」と大きな声で答え、ボクと同じように、ビシリ! とみんなのことを指差しながら、その言葉を言い放った。


 「――緒方くん、〝不合格〟!!!」






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