#9,〝カフェ〟と〝変態〟。 9-1
ところで、実は何点か、私はこのアルバイトに参加してくれるメンバーが集結した時から、ずっと〝心配〟に思っていたことがある。
――それは、どんなこと?
……色々説明が必要なことはあるかもしれないけれど、しかし答えは〝簡単〟だ。
だって……
「――愛梨さん愛梨さん愛梨さん! 聞いてよ!」
「……はいはいは~い? 今度は何ですか~?」
うん! あのね!? ――興奮気味に伝票を私に向かって突き出した泰介さんは、勢いそのままに話した。
「今ね、お客さんに〝アイスコーヒー〟を注文されたんだけど、大変なんだ! だってこのお店……メニューには確かに、〝アイスコーヒー〟って書いてあるのに、店内のどこを探しても見つからないんだよ! そんな〝アイス〟なんて!! ――ねぇ!? こういう時って、どうすればいいのかな!?」
「……あ~、それはですね~?」
氷を入れて〝冷たくしたコーヒー〟を出せばいいんですよ~。
「……」
「……」
………………。
――な!
「なるほど~!! その〝アイス〟か~! ――さすがは愛梨さん! 天才だね! 分かったよ! すぐに用意するね!」
「は~い。……あ、コーヒーメ……こほん。コーヒーが出てくる機械の隣に、シロッ……こほんこほん。〝砂糖水〟が入った、銀色のものすごく小さいポットがありますので、ミルク……はわかりますよね? それと一緒に、忘れずに持って行ってくださいね~」
「おっけ~! 〝機械の砂糖水が入ったポットなミルク〟だね! 忘れずに持っていくよ!」
「…………いや、ちょっと待っ……はぁ~…………」――ガクゥ……。
………………ね? 〝簡単〟でしょう?




