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 「ぐ……ガアァッッッ!!!?????」

 長山が漏らしたうめき声……だけど、〝映像の長山〟はそれとは正反対に……そう、長山自身が何度も言ったこと。〝チョーシに乗って〟続きを、ベラベラ、と話した。

 『いやぁ「や」~! マジ「やめろ……」運だったよ! 外歩いて「やめてくれ……」窓から〝変態〟のスマホが降って「頼む……」るんだぜ!? しかも画面開かれたままだったからパスも必要なかったしよ~! 最初はぶつけられた腹いせに「頼むから……」とかのデータを消してやろうかと思ったんだけどよ? あいつアプリとか取ってなくてさ? それで――』


 「やめろおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉおおぉぉぉっっッッッ!!!!!!!!!!」


 『のフォルダー見たらさ? ナント! マジオドロキ!! 小出の〝露出〟動画が撮ってあったわけさ! そんでオレは思いついたわけよ! あいつのスマホにオレのアド入れてさ? んで、あいつのスマホからオレのに動画を送ると! そうすっと傍から見れば、あいつからオレ宛てに勝手に動画が送られてきたようにしか見えねぇし? オレはその動画をお友だちに見せただけ、って言えば、何の罪にもなんねぇだろ? さらに、オレはその動画を使って小出のことを〝脅せば〟……ほら! あいつはもう、オレの〝オモチャ〟だ! ……〝変態〟はこの動画が広まればまず〝退学〟は免れねぇだろうし? サイアク小出が〝変態〟のことを庇うようなことがあったら、そん時はテキトーな理由をつけて〝慰謝料〟でも――』

 「「「「「「「「「「……………………………………」」」」」」」」」」

 「……ふむ。皆も事情は十二分に理解できたようだな。もういいだろう……鏡! 映像はそのままでいい! 〝音だけ〟一旦止めてくれ!」

 「りょーかーい!」

 バツン! 映像の光だけを残し、鏡さんによって音が切られる。……その後に残ったのは、今日何度目かの、静寂に包まれた体育館だった。

 「――さて」

 と、甲呀はその静寂の中……薄暗い道をさらに進み、ステージ側、長山の正面に回り込んだ。

 それから、ゆっくりと……長山に〝聞いた〟。

 「これでお前の持つ〝証拠〟とやらは、お前自身によって見事〝覆された〟わけだが……まだ、何か言いたいことはあるか?」

 「………………~~~ッッッ!!!!!」

 ……長山は、開けた口を、ガクガク、と震わせながら……しかし、それ以上は何もできず、ただ拳を握り締めていた。――つまり、

 「……言いたいことはもうないようだな? では、この〝勝負〟……と、あえて言っておこう。この〝勝負〟、俺たちのか――」


 「――っっざけんじゃねぇええええええええええッッッ!!!!!!!!!!」


 〝勝ち〟――それを甲呀が宣言しようとした、その瞬間だった。

 長山が、最後の最後に、吠えた。

 「お、おい、テメー!! さっきから〝わけ分かんねぇ映像〟を見せてチョーシこいてんじゃねーぞ!? こんなの……〝合成〟だ!! そう! 〝合成〟……ッッ!!! ははっ! あんまりにもリアルに作ってあるもんだから、オレもつい叫んじまったよ!! ――いいか!? オレはあんなことを言った憶えは全くねぇし! そんな事実も存在しねぇ!! こんなもの、全部!! お前らがオレのセリフを切り取ってでっち上げた、〝ニセモノ〟だ!!」

 「「「「「「「「「「…………………………………」」」」」」」」」」

 「……ふぅ」

 やれやれだな……甲呀はそう呟いてから、カチャリ、と眼鏡を直した。

 「これだけの〝証拠〟を突きつけられても、まだ〝合成〟だの何だのとほざくか……見苦しさを通り越して、もはや〝哀れ〟だな、長山?」

 「う……うるせぇえッッッ!!! オレを納得させたかったら今すぐ〝証明〟しろ!! これが〝合成〟じゃねぇってな!!! ……まあ!? そんなことできるわけがね――!!」


 「――ふむ。いいだろう。お望みどおり、〝証明〟してやろうではないか」


 「……は!!!?????」

 ……え? 〝証明〟するって、甲呀はいったい、何を……???

 長山やボク……いや、それを聞いた全員がそう思ったことだろう。

 しかし甲呀は、そんな全員の疑問を一身に受け止めながらも、堂々と行動を起こした。

 それは――!!

 「鏡! もう一度〝音声〟を入れてくれ!」

 お……〝音声〟!? ――ということは、まさか……!!

 ばっ! すぐにボクは、未だ映り続けている映像に視線を戻す。

 と、そこには、ちょうど長山と長身が、ロン毛と別れるシーンが映し出されていた。

 『――じゃあな長山! あと、〝画鋲〟のこと、ホントワリィ! 今度は気ぃつけっからカンベンな!』

 『おう! マジ気ぃつけろよ? 自分の身のためにもな! ははっ!』

 そう答えると、長山は長身と話しながら廊下をさらに進んで行った。

 ――しかし、映像は〝まだ終わらない〟。

 ロン毛は長山が充分に離れたのを確認した後、これを映しているのであろうカメラの方を振り返り、そして……

 えっ!!!?????


 ――ベリリィ! 『ふぅ。まだ春とはいえ、ロン毛は暑いな……』


 「こ……甲呀!!!??????????」「太郎くん!!!!!??????????」

 「なぁぁあにいいいぃぃぃいいいいいっっっッッッッッ!!!!!??????????」





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