第92話 新任プロジェクトマネージャー登場
私の代わりにこの現場を納める人物は、すぐにやってきました。
TE君という坊主頭のちょっとやんちゃそうな男です。
一応、スタッフに紹介したあと、現場の状況や、こっちのやり方がどんなだかを説明したりしました。
虚勢を張っていたのかもしれませんが、ろくに英語もしゃべれないくせに、おどおどしたところはありません。
なんか説明しても「ああ、そうですか?」ってな感じです。
まあ、けっこう大物なのかも。
私のときなんて、最初は「俺なにしたらいいの?」状態でしたから。
その点、彼はなんか知らんけど「とりあえず俺は偉い」オーラをだしてます。
とりあえず、なんとかなるのかも。
っていうか、K君がいるから、ローカルスタッフに指示だすのに困らないし。
で、彼、K君をさそって飲みに行きました。
まあ、これからいっしょにやっていくから親睦を深めようとしたのか、使えそうなやつだから取り込んでおこうと思ったかは知りません。
こっちは「いってらっしゃ」状態です。
で、次の日、K君に様子を聞いてみました。
「じつは俺、途中で車で帰ってきちゃったんですよ」
「え? 会社の車で?」
「ええ」
「あいつは?」
「おいてきました。だって俺はまだ飲んでくから、先帰ってろって」
大物でした。
初日から、酔っ払ってひとりでタクシー帰り。
「まずいだろ、それは?」
「やっぱりみんなそう言いますよね。でも、俺のせい? あの人、勝手なんだけど」
TE君、K君だけは味方につけておいた方がいいよ。
でも、案外そりが合わなそう。
このふたり反発しあうんじゃねえの?
どうなるんだろう、わくわく(もう、完全人ごとです)。




