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第82話 南野はケチでぐずでのろまなカメです

 現場がスタートしてすこしたつと、約束通り日本から私のアシスト要員がやってきました。

 OT君といって、まだ若い。といってもK君ほどじゃない。

 ただ、K君ほど図太くもない。まじめな感じのする男です。


 ただまあ、こっちではどちらかと言えば、マイペースで図太く、遊び大好きなすちゃらか社員のほうが長持ちするかもしれません。

 そういう意味ではすこし心配です。


 まあ、こっちでのはじめての部下ですから、大事にすべき。

 とはいえ、今思い返してみると、けっこうほったらかしで、細かいこと教えなかったし、あまり飲みにも連れてかなかったかも。


 ごめんな、OT君。けっこう自分のことで精一杯だったんだよ。


 そんな中、Sさんからお達しが。

「現場始まったんだから、現場のメンバーを飲みに連れて行ってやれよ」

「え、……ああ、はい」

 ちょっと生返事です。

 めんどくさいからほっといた。


 しばらくしてから、またSさんから。

「現場の飲み会やった?」

「いえ、まだですけど」

「やれよ」

 いそがしいから忘れてた。


「やった?」

「まだですけど」

「なにやってんだよ、おめえは?」


 あんた、こいつらから賄賂でももらってんのかよっ!


 たぶん、マニラの現場でやってるって誰かが聞いて、不満爆発してSさんにちくったんだろうな。


 南野はケチだ。飲ましてもくんない。差別だ。とか……(ぐすん)。


 それにしてのSさん、あんた気前いいじゃないの。クーラー代けちった男とは思えないぞ!


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