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第79話 南野、ついにセブにやってくる

 ついにセブ空港に降り立ちました。

 南端のダイビングリゾートに行くときは、ドゥマゲティ空港を使っていたので、セブに降りたのははじめてです。

 会社でやとったドライバーが迎えに来ていました。すごくまじめそうな男です。

「じゃあ、事務所に行って」

「わかりました」

 事務所にはすぐに着きました。

 中に入ってみると、意外と広い事務所で、マカティの事務所とそれほど変わりありません。ただし、そこにいるのはふたりだけでした。

 ローカルの事務屋さん。わりと若い男女、ひとりずつです。


 え、こんだけ?


 一瞬、そう思いましたが、建築はこれから始まる私の現場だけですし、土木もほとんどやっていないのでしょう。


 現場事務所建設のほうはリトたちローカルスタッフがやっているので、お任せです。

 とりあえず、数日間はここで準備をすることになります。


 ……つってもなあ。


 正直、たいした仕事はありません。

 まあ、日本人上司もいないことですし、ぷらぷらしていよう。


 まあ、はっきりいって、この頃のことはよく覚えていませんが、こんな感じだったと思います。

 でもひょっとしたら私の記憶違いで、希望とやりがいに燃え、「熱血企業小説」の主人公のように、新たな仕事にひたすら勢力をつぎ込んで突っ走っていたかもしれません(え、ないだろ? ……うん、ないな。100パーセント)


 そんな中、Sさんから電話がかかってきました。

「明日、エンジニア候補がそっちいくから、面接しといてくれ」

「は?」

 

 面接? 俺がすんの、それ?


「それはリトに任せた方が……」

「おまえがやれ。おまえ、プロジェクトマネージャーだろ?」


 こ、この男は、こんなときだけ、プロジェクトマネージャー扱いしやがって。


 まあ、こっちの学歴もなにもわからないが、適当に会話して判断するしかないだろう。


 ……いきなりハードル高えな。


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