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第68話 パーティーでやらかした事務屋さん

 一年にいっぺんくらい、現場単位ではなく会社単位のパーティーがあったりします。

 それがクリスマスとかにからんでいたかどうかはよく覚えていないので、時期不明ですが、けっこう広めの会場を借りて、建築、土木合わせて日本人、ローカルスタッフとも一同に集まってのパーティーです。

 どちらかというと、日本人よりローカルスタッフに楽しんでもらおうという趣旨だったと記憶してます。

 内容としては、他愛のないクイズとかをやりながら飲んで食って騒ごうという感じです。


 催し物が進行していくと、幹事をしていた日本人スタッフ(土木部門の事務屋さん)がステージでいきなりウイスキーストレートの一気飲みをはじめました。

 それを見た、土木の日本人スタッフが笑ってます。

 しかし、それを見て、受けていたのは彼らだけで、他の人たちはぽかーん。


 近くにいた私の現場のスタッフが聞きました。


「あの人はいったいなにをやってるんですか?」


 ははは。君たちにはわからんか。しょうがねえなあ。


 ……っていうか、俺にもさっぱりわからんわっ!


 説明聞きたそうな顔で、こっち見んなっ!


 ちらっと入った情報によると、彼はなんか今回のパーティーの段取りでミスをしたらしい。それで土木の親玉が、「一気して、みんなにわびんかい!」とすごんだとか。


 土木って体育会っぽくて、や~ねえ。


 もっともそれをそのまま説明しても、彼らはわかってくれないだろうなぁ。


 それを見ていた支店長(建築の親玉)の奥さん。

「あんなことやらせちゃだめじゃない」

 それを聞いた支店長。悪党面で笑う。

「そうだな。土木はしょうがねえよ、まったく。野蛮でな。がははは」


 あんたがいってもなんの説得力もないんですがっ!


 部下に対する強面という点では大差ありません。

(いや、でも部下に一気の強要とかはしない分、ましかな?)


 とりあえず、ローカルスタッフにはこう説明しておきました。

「失敗に対するけじめだよ、けじめ。やくさは指詰めるけど、サラリーマンは酒を一気飲みするんだ」(超適当)


 彼は驚いた顔でこういった。

「日本人ってすげえ!」


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