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第62話 現場にパソコンがやってきた

 誤解のないようあらかじめいっておきますが、この話は最近の話ではありません。

 けっこう年数がたっています。

 今と違い、当時はまだパソコンがビジネスに必要不可欠というまでには至っていませんでした。現に私はその頃、個人的にパソコンを持ってません。

 で、話は戻ります。


「パソコン買ってください」


 プロジェクト・インチャージからこう言われたら、プロジェクト・マネージャーとしては検討せざるを得ません。

「やっぱほしい?」

「ほしいです。他の連中はみんな持っていて、ないのはうちだけです」


 そうなのです。他のプロジェクトチームはすでにパソコンを持っていて、このメンバーだけ、なしでIさんの現場をこなしてきたのです。


「使えるやつ、いるの?」

「覚えさせます」

「う~ん」

 なんか比較的安いやつを見繕ってきて、いくらで買えますとかアピールするトト。


 しょうがねえなあ。買ってやらないと、ケチ、あるいは使えないプロジェクト・マネージャーと思われかねません。


 Sさんに電話します。

「あ、南野ですけど、パソコン買っていいですか?」

「ああ?」

「ほら、うちの連中にもパソコン覚えさせたいし。他の奴らと不公平感が出てもまずいじゃないですか?」

「しょうがねえなあ」


 あんた、自分の部下にはぽんとパソコン買ってやったじゃねえかよっ!

 事務所のエアコンもなっ!


 まったく理不尽な話です。偉くなったとたんに、金勘定ばかり優先しやがって!


 こうしてようやく買ったパソコンです。プロジェクト・コントロールの人間がなんか使い方を勉強してました。

 で、Sさんが現場に来たとき、それを見てました。

 彼はばっちり使いこなせてるところを見せつけてるつもりでしょう。どや顔でタイピングしてます。

 しかしSさんの反応は冷たい。


「おい、南野。あいつ、表の計算値、電卓で計算して手動で入れてるぞ」

「は?」

「ふつう、そういうことはパソコンがやってくれるはずだけどな」


 頼むよ、おい。

 せっかくSさんが来たんだから、かっこよく使いこなしてるところを見せてやれよな(泣)。


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