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第50話 巨大台風がやってきた!

 前途多難と思える新しい現場ですが、新たな問題が……。

 などというとまたIさんがなにかやらかしたのか? と思われそうですが(なにげに失礼な部下ですな)、そうではなく、自然が相手です。


 そうです。台風です。

 フィリピンには地震は来ないが、台風は日本以上に驚異です。


 でかい台風がやってきました。その日、職員はちょうど会議かなにかでマカティ事務所に集まっていました。

 そこから車で現場に行こうにも、風が強すぎて危険かもしれないという感じです。


「とにかく現場を見てきましょう」

 Iさんはなにげに現場が心配らしいです。

「いや、Iさん。もうすこし風が治まってからにしてください」

 たしなめたのが、Sさん。じつはSさん、一現場所長から建築課長に出世してました。

(ライバルのM籐さんはすでに帰国していたので、無双状態です)


「いや、現場が心配です」


 いや、Sさん年下だけど一応上司だし、言うこと聞いた方がいいんじゃ……。


「行こう、南野君」

「は、はい」

 Sさんを無視して、立ち上がるIさん。


「いや、だから、危険ですから」

「だいじょうぶです」(根拠なし)


 すたすたと立ち去ろうとするIさん。しかたないので私はついて行きます。


「南野ぉ!」


 飛ぶSさんの怒声。

 ……っていうか、なんで俺が怒られる?


「行くぞ、南野君」

 もはやなにも言わないSさん。


 風にあおられつつ、車で現場に向かうと、途中の道路に……。


 椰子の木が倒れてました。


 めげずに現場に向かいます。

 まあ、日本だと足場倒壊防止のため、足場のメッシュシート(外にものを落とさないように張る)を外したりすることがありますが、ここフィリピンの足場に……。


 そんなものが張ってあるわけがねえ!


 足場風通しよすぎて倒れないです、……きっと。


 現場に到着しましたが、なにごともなく無事でした。

 心配した(してないけど)足場も問題なし。

 

 木で組んだ、風つうつうの足場最強!

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