表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/94

第39話 地鎮祭の日取りは風水で決めろ!

 すごい男、Sさんの現場がひと通り終わりに近づいたころ、次の現場の打診がありました。

 こんどの現場は施主が日本人ではなく、中国系フィリピン人。とうぜん日本語はしゃべれません。

 そこでこんどの所長ことプロジェクトマネージャーは営業部長。フィリピン人の奥さんをもらい、こっちに住み着いた現地採用の日本人。英語はもちろん、タガログ語まで駆使するフィリピンに染まった男です。

 ちなみに「特命武装検事 黒木豹介」が大好きらしい。


 短期間のうちに、よくもまあ、これだけ癖のある男の下にばかりつけたもんだ。


 私を早く一人前にしようという、支店長の愛を感じてしまい、泣けてきます。


 で、この営業部長、日本から転勤してきた我々と違い、現地採用なので、車もドライバーも自分持ち。自分専用の車のない私のために、朝、迎えに来てくれるという親切設定。


 で、あさって行われる地鎮祭の段取りをしていました(といっても、じっさいに動くのはローカルスタッフたちですが)。

 ええ、こっちでも地鎮祭はやるんです。神主は出てきませんが、セレモニーという点では大差ありません。

 で、めどがついたところで、ローカルスタッフたちにまかせて帰ったんですが、帰った後、総務課長から寮に電話が……。


「地鎮祭の日取り変更になったから」

「は?」

「あしたの早朝」

「な、なんで?」

 いきなりそんな段取り替え急すぎんだろ?


「風水の都合だって」


 風水? 風水ってあの風水ですかっ!

 そんなもので、勝手に日取りを変えるとは、さすがは中国系。


「でも段取りだいじょうぶかな?」

「ローカルに確認したけど、だいじょうぶだって。ただ、営業部長に連絡がまだついてない」

 営業部長、すなわちその現場のプロジェクトマネージャー。

「でも、伝言頼んどいたからだいじょうぶだよ」


 ほんとか? ほんとにだいじょうぶか?


 私の勘はめったに当たらないが、悪い方向の場合たまに当たるときもある。


 やっぱり、ぜんぜんだいじょうぶじゃなかった。

 次の日、営業部長はいつもの時間にやってきました。今から行っても、遅刻というか、地鎮祭終わってる。


 飲みに行ってて、伝言聞いてなかったって。


 ちなみに地鎮祭のほうは、支店長がいっていて、問題なく終わったそうな。

 ……ははは。


 知ったことかあ! 俺のせいじゃないもんねっ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ