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第37話 これがフィリピン工法だ(屋根工事編)

 フィリピンで何件か工場の建設を行いましたが、どれも意匠的には単純なものばかりでした。両サイドにコンクリートの柱があり、それを鉄骨のトラスでできた梁でつなぐ、梁には鉄骨の根太を渡し、それに屋根材を掛けていきます。

 屋根材はときにはスレート板だったりしますが、たいていトタン板のようなものでした。

 

 で、この部材、三角屋根の片面を一枚物で張っていきますから、一枚が長い。10メートルくらいあったんじゃないでしょうか?


 日本ならとうぜん工場で加工し、ちょっと長めのトラックに乗せて、現場まで運搬することになると思います。


 ここまで予備知識として知っておいてもらいましょう。

 さて、現場でいよいよ屋根工事がはじまろうとしたとき、屋根屋が乗り込んできます。

 彼らはトラックで屋根材を運んできたか?

 そりゃ、もちろんトラックは使うでしょうが、運んできたものは予想とちょっと違う。


 材料は生材、というかロールになったもの。さらになにやら機械を積んできている。

 彼らはそれを現場にセットしだしました。

 いったいなにが始まるのかと、興味深く見ていると、ロール状の生材から材料が引っ張り出され、機械を通して真っ平らだった材料に型がついていくではありませんか?


 現場加工かよっ!


 そうです、現場の建物脇の細長いエリアは、簡易屋根材製造工場と化したのです。

 できあがったものは、適当な長さにカットして、その場で引っ張り上げていき、取り付けていきます。


 これはありだな。


 ちょっと感心してしまいました。

 まあ、工場で加工した方が精度はいいのでしょうが、こっちのほうが長さとかで融通が利くし、でかいトラックもいらない。

 フィリピンってけっこうこういう現場加工というか、現場あわせが得意な気がします。


 あるいは現場で合わせないと、合わない?


 ……まあ、それはあるかもねっ!


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