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再召喚された勇者は一般人として生きていく?  作者: かたなかじ
再召喚された勇者は一般人として生きていく?

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第二百二十三話

前回のあらすじを三行で


ゴーレム電池切れ

アイテムの山

まだ作業は半分以下……


 体感でおそらく早朝というには少し早いであろう時間になると、蒼太は一人起きだして作業を継続していく。

「これは……いらない。これは……危険、これも危険か。はぁ」

 危険物の比率が大きいことに蒼太は思わずため息をついてしまう。

「まあ、俺のほうで確保できただけ良いと思わないとだな。誰かの手に渡ったらと思うと肝が冷える」

 それだけ危険なものも混ざっており、悪意を持って使えばどうなるか想像するのも嫌なほどであった。


「ソータさん早いですね。起きた時間もそうですけど、作業もこんなに終わってるなんて……」

「おぉ、起きたか。黙々とやってたらいつの間にかこれだけやってたよ……改めてみると結構進んだんだな」

 後ろから覗き込むように様子を見に来たディーナに我にかえった蒼太は黙々と目の前のものを順々に判別していただけで気づいていなかったが、半分以上残っていたはずのアイテム類は既に三分の二程度片付いていた。

「しかも、いらないものってこっちのやつですよね? ほとんどが亜空庫行きですか」

 蒼太の左側には未判別アイテムの山があり、右側にはいらない物がいくつか置かれていた。

「使えそうな物もあるんだが、誰かが手にしたらまずいような物が大部分を占めてるな」

「あー、やっぱりそうですか。ここで作っていたなら誰も止める人がいないですからねえ……あはは」

 グレヴィンが好き放題作った結果のアイテムたちとなると、そういった物も多いのだろうな。と予想したディーナの笑みは乾いたものになる。


「まあ、全部一気に亜空庫に入れてもいいんだけどな。一応余裕がある時に分けておけばいざという時に使えるし、後回しにしたら絶対にやらずに放置する自信がある」

「ふふっ、そうかもしれませんね。前に亜空庫の中を整理した時も、嫌々でしたよね」

 蒼太は千年前の旅で亜空庫を使えるようになってから、そこにアイテムをポンポン入れていたため、エルフ国に再来訪した時に仲間一同に整理するよう注意されていた。その時にディーナが作業を手伝ったため、そのことを思い出して思わず笑いがこぼれる。


「あー、そんなこともあったなあ。忘れてくれると助かるよ」

 蒼太は思い出して気まずそうに頭を一度搔くと、照れを隠すように作業に戻っていく。

「私にとっては大事な思い出ですよ……それより、そろそろみんなも起きてくると思うので朝ごはん食べましょう。もう用意はできてます」

 ディーナの最初の呟きは蒼太には届かなかったが、朝ごはんと聞いて蒼太は自分が空腹だということに気づいた。

「悪いな、何か亜空庫から出せばよかったんだが、作業に集中してて忘れてたよ」

「いえいえ、料理楽しいから大丈夫です。材料もこっちのバッグに入ってましたから」

 蒼太は自分の落ち度に再度頭を搔き、その様子を微笑ましく見守るディーナと一緒にテントへと戻っていく。


 ちょうど二人が着いたあたりでテントからレイラがもそもそと起き出してきた。

「ふわあ、おふぁよーございます」

 蒼太とディーナに挨拶をしながら、レイラは喉の奥が見えるくらいに大きなあくびをした。

「ふふっ、おはようございます。女の子なのですから、あくびをする時は口に手をあててするといいですよ?」

「おはよう。ディーナの言う通りだな、いい年頃なんだから少しは慎みを覚えるといいぞ」

 ディーナは可愛い妹に言うように、蒼太はからかうようにレイラへと挨拶を返した。


「むぅ、ごめんなさい」

 レイラは少しすねたような表情で謝ったが、その様子がおかしくて蒼太とディーナは思わず笑ってしまう。

「はははっ、まあそういうことを気にするようになったら自然にそうするんだろうな。それよりメシだ。テントの中に水の魔道具を設置してあるから、顔を洗ってくるといい。ほらこのタオルを使え」

 蒼太からタオルを受け取ると、寝ぼけ眼を擦りながらテントの中へと戻っていく。

「ふふふっ、なんか妹ができたみたいで楽しいです」

 ディーナは笑顔で食事の用意に戻っていく。

 エドは先に起きており、ディーナが用意した朝食を先に食べていた。


「ヒヒーン!」

 しかし、蒼太を確認すると食事を止めて蒼太に朝の挨拶をした。

「おはよう。いいよ、食事を続けてくれ。俺はアトラたちを起こしにいってくるよ」

 蒼太はそういってテントの中に入っていく。既にアトラと古龍も目を覚ましており二人で何やら話をしている様子だった。

「何を話してるか知らんが、そろそろ朝食だ。顔あら……えるのか? 別に顔洗う用の桶を出すからそこで顔を洗ってくれ」

 蒼太は桶を二つ取り出すと、水魔法で水を出していく。


『うむ、助かる。普段は気にしないが、たまにはこういうのも悪くないからのう』

『ソータ殿ありがとう』

 二人は礼を言うとそれぞれの桶に向かい顔を洗っていく。その場で水を飛ばすためにお互いぶるぶると身体を動かしたため、すぐ側にいた蒼太に全てかかってしまった。

「おい!」

『あっ、ついつい……すまんのう』

『ソータ殿、申しわけない』

 思わず声をあげてしまった蒼太に対して、二人は頭を下げて反省の意を見せる。


「ふぅ、まあいいけどさ。そもそもテントの中に出した俺が悪かったよ……ただ、次は少し周囲を気にしてくれよ?」

 蒼太は取り出したタオルで顔を拭きながら注意し、二人もおとなしく頷いた。

 テントの外に出ると既に全員分の料理が並べられており、レイラも自分の席についていまかいまかと待ちわびていた。

「あ、ソータさん! 早く食べよーよ!」

「わかった、みんな席についてくれ……いいかな。それじゃあ、いただきます」

『『「「いただきます!」」』』

 ディーナ、レイラだけでなく、古龍とアトラも声をそろえて挨拶をしそれぞれの朝食に手をつけていった。

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