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エピローグ

エピローグ


 時刻は午前八時四十五分。翌日俺は駅前に来ていた。これはデジャビュだろうか。いや、違う。確かに俺は昨日もここに来ていた。結局俺の冬休みは、まだ始まらなかったのだ。事の発端は、昨日の帰りがけに起こった。


「さっきの報酬の話なんだけど、」

 帰りがけの電車で、唐突に藤村が口を開いた。おいおい、一応ひと段落したというのに、またしても話をぶり返すつもりか。

「じゃーん!」

 嫌な顔をした俺を尻目に、藤村はカバンから得意げに何かを取り出した。

「あれ?それはワンデーパスポート。今日の、じゃないですね」

「そう。これ、二枚あるから、二人に挙げる」

「え?でもいいんですか?」

「うん。二人にはお世話になったし。岩崎さんは、ずっと一人後ついてきてもらったし、成瀬君も今日は楽しめなかったでしょ?だから、口直しってことで明日も行ってきなよ」


 ということで、またしても同じ場所に行くことになったのだ。今度は、俺と岩崎で。岩崎は最後まで料金を支払うと言ってひかなかったが、押し切られる形でチケットを受け取っていた。やれやれ。俺は昨日で十分楽しんだのだが。これは報酬らしいが、あまり嬉しくないね。

「お待たせしました」

 そうこうしているうちに、岩崎が到着する。

「よう」

「おはようございます」

 適当にあいさつを済ませると、お互い全身を眺めて、一言。

「似合ってるぞ。あんたはやっぱりきれいな色のほうが似合う」

「あ、ありがとうございます。成瀬さんも、服のセンスはそこそこありますね」

 ちなみにここまで台本通り。セリフは各自任せていたが、会ってすぐお互いの服を褒めあうという風に意識合わせをしていた。ちなみに俺は自分で買った私服を着てくるように言明されていた。

 この後もなぜが大まかな台本が存在する。それは昨日藤村と行動したものをなぞったような内容になっている。昨日後ろで俺と藤村を見ていた脚本家が、何か思うところがあったのだろう。これから岩崎と腕を組んだり、身を寄せ合ったりしなければいけないと思うと、先が思いやられる。やれやれだ。


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