第71話.よふかしのふたり(後編)
詩織さんが調光リモコンを使用すると、店内が薄暗くなった。
飲食店なので元々が暖色寄りの照明だったことも重なり、ボヤ〜と、薄暗いオレンジ色の灯りに包まれる2人。
「……えへへ///これなら大丈夫そうやね///」
……なんだろうな、さっきよりも視認性は確かに落ちたが、その分”いかがわしさ”が増したように感じるのだが///
「……なんか、逆にエッチじゃないですか、これ?///」
「そ、そうかな?///……でも、ほら、実際エッチな事をするわけやし……///」
そう自分で言って恥ずかしくなったのか、おそらくは頬を先程よりも赤く染めつつ、彼女はハニカミながらプイと視線を逸らした。
「……じゃ、じゃあ、見せてあげるね、和哉に……///」
「……は、はい///」
今から、詩織さんの”桃マン”を生で拝めるのか……///
その期待感に胸を膨らませながら、ごくりっと、俺は生唾を飲み込む。
「ちょっw///和哉、目が怖いよw///」
俺の前のめりな気持ちが表情に出てしまったようで、それを見て詩織さんが茶化すようにクスクスと笑った。
「あ、すみません、つい……///」
「ううん、ええんよ///それだけ”見たい”って思ってくれてるってことなんやろ///」
「……はい、見たいです///」
「正直でよろしい///……じゃあ、いくよ……///」
彼女のその表情からは依然として恥じらいが見て取れたが、それでも覚悟を決めた様子の彼女は、思いっきりよくガバッと、そのTシャツを捲り上げた。
ぷるるんっ、と揺れ弾みながら露わになった、詩織さんの”生桃マン”。
それは薄暗い室内の中であっても、鮮明に俺の目に飛び込んできた。
うほほっ!♡
こ、これが、詩織さんの……♡
御椀型の、なんとも見事な”桃マン”じゃな♡
「……ど、どうかな、和哉?///ウチのおっぱい、他の娘と比べて変じゃないかな?///」
「へ、変なんて、そんな、凄くキレイですよ!///まとまりがあるっていうか、品があるっていうか、だけど色気があってエロいっていうか……」
「……ウチ、乳輪少し大きめなんやけど、どう?///」
「まぁ、確かに少し大きめではあると思いますけど、アイツのド下品なクソデカ乳輪に比べたら、全然可愛いもんですよ、ええ」
「へ〜、和哉って、比べる事ができる程度には、他の娘のおっぱいをよう見とるんやね……」
Tシャツをたくし上げたまま、ジト目でコチラを見つめてくる詩織さん。
うっ!マズいっ!
こりゃ墓穴を掘っちまったかっ!?
「あ〜、いや〜、それはですね、性力の達人の攻略に際しての成り行きといいますか、流れといいますか、ほとんど不可抗力みたいな感じなんですけどね〜、あはは……」
ジトーっと、冷めた目で見つめてくる彼女に対して、まんま浮気を誤魔化すダメ男みたいな様相で、言い訳じみた言葉をしどろもどろに並べ立てる。
ジトー。
「……って、なんてねw」
「……ほえ?」
ニパッと、明るい笑顔を取り戻した詩織さん。
「ゴメン、ゴメン、恥ずかしかったからそれを誤魔化すためにさ、ちょっとからかってみただけなんよwなんも気にしとらんから安心してw」
「も、もう、焦らせないでくださいよ!変な汗かいちゃったじゃないですか!」
「あはは、だからゴメンてw」
「まったくもぅ〜」
……しかし、そんな茶目っ気を仕掛けられたら、つい応戦したくなってしまうのが俺という男の性だ。
やられっぱなしというのもなんだし、コチラからも仕掛けてみるか……
いや、流石にマズいか……
いいや、この雰囲気なら行けそうじゃないか……
ええい、ままよ!
「それじゃあ、次はコッチのターンですね……」
「ん?」
「隙ありっ!」
むにゅっ!
俺は、差し出した両の手で、詩織さんの”生桃マン”を鷲掴みにした。
むほほっ♡やわらけ〜!!!♡
JK軍団よりも詩織さんの方が歳を重ねている分、”桃マン”の張りが若干弱まってはいるが、逆にそれがプラスに作用し、柔らかさという点に関してはコチラが上の様に感じられた。
「んにゃっ!♡」
!?
不意をつかれたからか、”桃マン”を鷲掴みにされた詩織さんが、これまでとは少しニュアンスの異なる声を発した。
「す、すみません!急に強めに触っちゃって!痛かったですか!?」
や、やっちまったー!
せっかく悪くない雰囲気だったのに、余計な事をしちまったか!?
自分のその軽率な行動に対し内心であたふたしていたら、視線を下に向け俯きがちな詩織さんが口を開いた。
「……え、ええんよ///ウチは、その、大丈夫やから///そんな心配せんでええよ///」
「そ、そうですか……つい、調子に乗って、すみませんでした」
彼女からのフォローの言葉を受け、ホッと胸を撫で下ろす。
いかん、いかん。
詩織さんが優しい人で助かったが、次からは気をつけねば……
「……ねぇ、和哉……その……続きは?///」
「……え?」
そのボソッと呟かれた彼女の言葉に対し、俺は思わずすっとぼけたような態度で聞き返してしまう。
「……だから、その……続きは?///」
「つ、続き、とは?」
「……いや、その……えっとね……///今の声は、その、痛かったからじゃなくて、ちょっと驚いちゃっただけで……///むしろ、その……強めに触られるんは、気持ちよかったっていうか……///」
「は、はい……///」
「だからね……今みたいな感じで、和哉の好きなように触って欲しいなって///……ダメ、かな?///」
ダメなんてことは、当然ない。
再び彼女へ向け伸ばしたその掌に、自然と力が入る。
むにゅう。
「ふにゃっ!♡」
そうして、閉店後のファミリーレストランの薄暗い店内で、俺たち2人きりの熱い夜がふけていった……




