第70話 いざ、不知火道場へ!だまんごー。
「あ〜、ここか〜。ここが不知火の家なんだ……。」
高村桃矢が、大きな家を見て、声を上げる。
高村まんごと、その兄と父親、つまり、桃矢と甜瓜の3人は、不知火家の前までやってきたのだ。
和風の大きな家だ。その横には、道場と思われる大きな建物も建っている。庭を含む敷地も広大で、不知火家が裕福であろうことが伺える。
ここも、まんごと桃矢が通う岩下真小学校の学区内ではあったが、彼らはここに道場があることは知らなかった。父親の甜瓜に連れられてここに来るのが初めてのことだった。
「不知火さんには、俺たちが訪ねることは連絡してあるから、玄関に行けば、何とかなるだろう……。」
甜瓜を先頭にまんごたちは、玄関の前の大きな門の前に辿り着いた。そして、彼は門の横にあるチャイムのボタンを見つけた。
「ボタンがある。押してみよう、ポチッとな……。」
と、甜瓜は、チャイムのボタンを押す。
「は〜い!」と、門の中から声がして、出てきたのは、不知火真衣であった。玄武と柘榴の母親だ。
「どうも、高村さん。すみませんね〜。大事な話があるようで。本来なら私たちが出向くべきなんでしょうが、わざわざお越しいただいて……。ほんとすみません。さぁ、中に入ってください!」
彼女は、甜瓜の顔を見るなり、頭を下げる。そして、高村家の面々を歓迎し、家の中に入るように促した。
「どうも……。こちらこそ昨日の今日で……。」
甜瓜は、門の中から出てきた真衣に挨拶を返しながらも、彼女の服装に少し驚いていた。
彼女は白色の割烹着を着ていたが、割烹着の下には服が見えなかった。襟もなければ、セーターが見えるわけでもない。ただ首元には素肌が見えるだけだった。とても1月の寒中にする格好には見えなかったのだ。
(なんか、首元がすごく寒そうだな……。下に何も着てないようにも見えるし……。)
甜瓜は考える。そして、挨拶の際に、視線が彼女の足元に行った時。彼は、更に驚いた。
(あれ……? 下にも何も履いていないのか……?)
少なくとも、割烹着の下に見える範囲では、真衣は、素足であり、サンダル的なものを履いているだけだった。
「あっ……、こんにちは……。」
まんごは、先日病院で会ったばかりだったので、その母親の顔は、記憶に新しかった。まんごは、真衣にペコリとおじぎを返す。
(それにしても、寒そうな格好だなぁ〜)
と、まんごも思いながら、真衣に促されるまま、門を通って中に入って行った。
そして、まんごたちは、不知火家の応接間に案内された。
その間ずっと、甜瓜は、真衣の服装が気になって仕方がなかった。もしかしたら、その白い割烹着しか着ていないのではないかと、気になっていたのだ。
しかし、彼女は一度たりとも、まんごたちに背中を向けることはなかった……。
――――――――――――――
「主人は、もう少しで来ますので……。土曜日は稽古があるものですから……、本当にすみません」
真衣は、そう言いながら、運んできたお茶とお茶菓子をまんごたちの前に置いてゆく。もちろん、彼女がまんごたちに背中を向けることは一切なかった。
「あ、いえいえ……。こちらこそ、それも知らずに、昨日の今日で押しかけて、すみません」
甜瓜は、彼女の言葉に、おじぎをしつつ答える。
「このお茶は、『おまん小豆茶』っていう、おいしいお茶なんですよ〜。いやぁ、『あずき』って、小さい豆って書いて、『小豆』じゃないですか。でも、うちの子は、『こまめ』って読んじゃったんですよ〜。ははは」
真衣は、口に手を当てて上品に笑う。
そんな彼女の仕草を見て、甜瓜も、「ははは」と声を上げて笑う。まんごも一緒に笑ったが、桃矢は、「ははっ……。」と少し引き攣った笑いを浮かべた。
もしかしたら、彼も『小豆』のことを『こまめ』だと思っていたのかもしれない。
「すみませんね〜。じゃあ、すぐに主人を呼んできますので……」と言い残し、真衣は一礼したのちに、部屋を後にした。もちろん、まんごたちに、正面を向いたままで……。
それから程なくして、
「高村さん、どうもすみません。お待たせして〜!」
と、ガタイのいい筋肉隆々の大男が、部屋の扉を開け、頭を下げながら部屋に入ってきた。
不知火朱雀であった。彼の後ろを付いて、不知火柘榴も、部屋に入ってきた。そして、朱雀の横に、座った。
高村家の3人と不知火家の2人がテーブルに向かい合うように座っている。
「お待たせしてすみません。早速ですが……。大事な話があるとのことですが……ねぇ?」
朱雀は、甜瓜の方に視線を向けた。
「そうですね……。まぁ、色々と積もる話がありますので……、うちのまんごに説明してもらった方が、早いし、詳しいと思いますので……。じゃあ、まんご。不知火さんのお父さんに、これまでの経緯を話してあげて……。」
と、甜瓜は、まんごに視線を向けた。
「うんっ……。」
まんごは頷くと、ゆっくりと話し始めた。
夏休み明けのスカートめくりのこと。リコーダーを盗まれた上に、舐められたこと。そして、マンゴスチン・ハートを奪われて、食べられてしまったこと。そして、玄武のお見舞いに行った際に、柘榴にボコボコにされたこと。
被害者として、できるだけ詳細に、起こったことを話した。
朱雀は真剣な眼差しをしながら、まんごの話を聞いていた。時折、小さくため息を出しつつ、また、頭を抱えつつも、深く頷きながら彼女の話を聞いていたのだ。
「……そうか……、そんなことがあったのか……。」
まんごが一連の話をし終わると、朱雀は、大きなため息まじりの深呼吸をした。
「まんごちゃん。玄武はまだ眠っているが、あの子が起きたら絶対に謝らせます。それまでは、私のお詫びでご容赦いただきたい……。私の不肖な玄武と柘榴がひどい事をしてしまい。本当に、申し訳ない。大事な果物型変身装置が、戻ってきて、本当によかった。大きな怪我がなくて、本当によかった。本当に、本当に申し訳ございませんでした……。」
朱雀は、座布団を降り、テーブルから距離を取った。そして、まんごの方に体を向け、深々と頭を下げた。彼の頭は地面についていた。いわゆる、土下座である。
「あっ……、はい……。」
まんごは、少し頷き、返事をした。
彼女は、大きな体をした大人の人から土下座で謝られて、むしろ困惑していたのだ。それでも、ちゃんと謝ってもらえて、ホッとしてもいた。
「そして、この子からも……。おい、柘榴。一緒に謝るぞ!」
朱雀は、隣に座っていた柘榴の方に顔を向け、彼女に強い口調で言った。
「なんで? なんでなの? 今、眠っているのは玄武だよ。どうしてお父さんが謝るの?」
柘榴は、大袈裟に首を振る。
「お前は、今のまんごちゃんの話を聞いていなかったのか? 玄武が、何をやったのかわからなかったのか? あの子が眠っているのは、あの子が悪いことをしたからだよ。むしろ、まんごちゃんは、あの子を助けてくれたんだよ……。悪いことをしたのは、玄武だ。だから、親として、父さんが謝るんだよ。そして、柘榴も悪いことをしただろ? 一緒に謝るんだ!」
「いやだ! いやだ! 私は、何もわ……。」
ビシッ!
「聞き分けなさい!」
柘榴の言葉を遮るように、彼女の頬に、朱雀の平手打ちが飛んだ。
「ぶった……。私は、な〜んにも悪くないのにっ! 悪いのは、こ……。」
ビシッ!
「こらっ! それ以上言うんじゃないっ! これ以上罪を重ねるんじゃない!」
朱雀の平手打ちが、柘榴の言葉を遮った。
「二度もぶった! これまで親父にぶたれたことなんてなかったのにっ!」
柘榴は、ぶたれた頬を手で押さえながら、涙目で父親に言い返す。
「柘榴! 落ち着け。まだ……、お前は幼いから、何が悪かったのか理解できないかもしれない。何で謝らないといけないかも、理解できないかもしれない。でも、そのうち、わかるようになる。そして、わかるようになった時に、あの時謝っておけば……と後悔しても遅いんだ。今なら、まだ遅くないかもしれない。まんごちゃんが、わざわざうちに来てくれているんだ。今謝らないと、お前は、これを一生後悔することになるぞ……。」
「いっしょう……。」と、小さい声を出しながら、柘榴は視線をゆっくりとまんごの方に移した。まんごは、それをジッと見つめ返す。
「まだ……、取り返しはつくかもしれない。まだ若いから……。これから、悪い事は悪い事と認めて、きちんと謝れる人間になりなさい。人は誰だって間違う。でも、間違った後どうするか? それで人生が変わる。判断ミスで、物事を手遅れにするんじゃない……。」
朱雀は、両手を柘榴の肩に置き、ゆっくりと彼女を諭す。
「……う……うん。わかった……。まんごちゃん。ごめんなさい……。」
柘榴は、目から大粒の涙を流しながら、まんごの方に向き、謝罪の言葉を述べた。
「高村さん、本当に申し訳ございませんでした。ほら、お前も……。」
そして、朱雀は、柘榴と一緒に、甜瓜の方に向き、彼にも頭を下げた。
甜瓜は、彼らの謝罪を、真剣な顔で聞き入れた。
「はい。じゃあ、お父さんにも、柘榴ちゃんにもちゃんと謝ってもらいましたし……。なぁ、まんご……。」
「うん。これで、大丈夫です……。」
甜瓜の言葉に、まんごも大きく頷いた。
それを見て、朱雀は、ホッと胸を撫で下ろした。先ほどまで険しかった顔にも、少し笑みが浮かんだ。彼の横にいた柘榴は、まだ涙を浮かべていた。
「そうだ、まんごちゃん! よかったら、うちの門下生にならないか? 小学生の間は、月謝も全部無料にするから……。」
朱雀は、まんごに笑顔を向ける。
「あっ……でも……。」
まんごは、朱雀の言葉に、首を振った。なぜなら、彼女はすでに、的場道場に行って修行をすることを決めていたからだ。
「いや、まんごは、もう、的場さんのところの道場に通うと決めているので……。」
すかさず、甜瓜がフォローを入れる。
「そうですか。でも、それはいいことですね。うちの道場も、的場さんのところとは仲良くさせてもらっていますし。あそこの道場で鍛えれば、まんごちゃんも、強くなるでしょう!」
朱雀は、うんうんと頷きながら話した。
「じゃ……、じゃあ、俺が……。俺も、力が欲しいんで……。自分の守りたいものを、ちゃんと自分で守れるだけの、力が欲しいんです!」
朱雀の言葉が終わると同時に、桃矢が大きな声を出した。
「そうか、じゃあ、桃矢くん……、だったね? うん、それなら歓迎するよ。もちろん月謝は、無料でいいからね」
桃矢の言葉に、朱雀は笑顔で返す。彼の横では、柘榴が、驚きのあまり目を丸くしていた。クラスの男子が自分と同じ道場に来ることになったからだろう……。
「そうか。じゃあ、桃矢も道場通いかぁ……。でも、僕も力が欲しいんだよなぁ……。じゃあ、不知火さん! 僕も桃矢と一緒にここで修行させてもらっていいでしょうかね? あっ、もちろん僕の分の月謝はちゃんと払いますので」
甜瓜も、桃矢と一緒に魔法少女になれるようになったが、彼と同じく、まだまだ見習い魔法少女だった。そして、甜瓜もまた、自分の守りたいものを守れる力を欲していたのだ。
「いや! 待ってください。高村さんのお父さんも一緒に来られるのは嬉しいのですが……。いやぁ〜。今、高村さんから、お金をいただくわけにはまいりませんので……。」
朱雀は、大きな体をこれでもかと小さくして話す。
「そうですか……、でも、流石に2人分を無料にしてもらうわけにもいきませんし……。」
甜瓜も、頭をポリポリと掻く。
「……それじゃあ、勝負をしましょう! まぁ、勝負と言っても、親睦のための交流試合みたいなものです。それで、私たちが勝ったら、お父さんの分だけは払ってもらう。私たちが負けたら、2人とも無料ということでどうでしょう?」
朱雀は、提案した。
「まぁ、それならば……、いいですが。私たちは、まだ初心者ですから、全く相手になりませんよ……。」
「いやいや……。勝負は、『料理』でするんですよ! そして、料理勝負のテーマは、『漢らしい料理』で!」
朱雀は、右手を拳にして、熱く語った。
「それなら。なぁ……。」
甜瓜は、まんごと桃矢にアイコンタクトをしつつ、朱雀の言葉に頷いた。
「じゃあ、来週! 我が家の道場で! 料理バトル! レディ……。」
ドンッ!!
次回へ続く!
===============================
おっす! 俺、高村桃矢。小学5年生。
『ピーチ・エース』に出会った後に、色々とあって、ついに魔法少女『フルプリピーチ』に変身できるようになったんだ。
まぁ、あいかわらずいつものことだけど、今回も、魔法少女は出てこないんだけどな。そういうもんだって!
今回は、久しぶりに俺に次回予告のナレーションが回ってきたってわけ。うん。
じゃあ〜、ちゃんと川柳を詠まないとな!
土下座したなぁ〜。
まぁ、謝ってもらったし。うん。まんごがそれでいいって言うなら……俺は何も言えねぇ〜ってわけだけど。
読者はこれで納得するのかってな……。ごめんな。ブクマは外さないでくれよなっ!
大丈夫だって、そのうち読者サービスとかあるからさっ!
まぁ、そういうことで。あれな。うん。定番ネタだよな。だって、柘榴だし。いずれ出てくるって思ってたネタだろ?
うん。そう。そういうこと。あまり深くツッコんだらダメだぜ!
あっ、そうそう!
なんでやねん? なんでこの女、裸に割烹着きてるねん? ……って思ったみんな!
そうなんだよ〜。な〜んか、すっごく真面目な話だったから、面白くないよね〜ってことで、母親には裸エプ……いや、違った。裸割烹着になってもらってたらしいから。
うん。
そういうことだからな。
こうでもしないとシリアス回はやってらんないからなぁ〜。
安心してください! 割烹着しか着てませんから!
てな!
あ〜、よかったよかった。
さてと……。川柳の時間か。
でもまぁ、俺はまだ小学5年生だし、そんな風流な川柳は考えられないんだよなぁ、
……そうだなぁ。
すっぱだか 割烹着一着 冬の空
裸体より 映える熟女の割烹着
割烹着 熟女の裸体 薄化粧
冬寒し 人妻熟女 割烹着
人妻と 熟女と裸エプロンと
じゃあ、これくらいにしておこうか。
……と、言うことで、次回は『漢らしい料理』バトルになるんだ。
ジェンダーレスとか言ってる世の中に、あえて漢らしさを問うというね。うん。流石だな! 流石、マンゴスチンシリーズってとこか……。
男らしさと、女らしさ。俺は、ある程度は大事だと思うんだけどなぁ〜。だってねぇ〜。男は男で、女は女〜! マンゴスチンはマンゴスチン! まんごはまんご!
そういうことだなっ!
まぁ、難しい話はやめとこうか。
どうせ料理対決だし。うん。いつものように、変な料理が出てくるんだろ?
それじゃあ、次回も、楽しんでくれよな!
それじゃあな、バイバイ!
次回!
魔法少女 マンゴ☆スチン Tropical FruitS
『第71話 第一回 チキチキ魔法少女マンゴ☆スチン この一品に命をかけろ「漢らしい料理」バトル!だまんごー』
だぜっ!
絶対に読んでくれよなっ!
ピーチ! カジュー! ヒャクパーセントー!




