第61話 小学生の手作り? いや、口作り? 魅惑の口噛み酒!だまんごー。
「これが、前回の優勝者の口噛み酒やねん!」
チェリモ・ヤ・ファストウィンドが得意げな顔で、酒の瓶を見せる。
彼女が持つ酒の瓶には、フルーツクイーントーナメントの前回の優勝者の名前が書いてあった。
高村まんご、高村桃矢、そして、高村甜瓜の3人が刮目するその瓶には、『スモモ・タカムラ』と書いてある。
「えっ……、おばぁ……。あっ……。」
高村まんごは、口に出し掛けた言葉を即座に飲み込んだ。
「えっ? 知り合いなん?」
チェリモが、高村まんごの方に顔を向ける。
「えっ、いやぁ……。知らない人かな。あははは……。」
チェリモの問いかけに、高村まんごは、頭をぽりぽりと掻いてごまかした。
この瓶に書かれていたのが自分の祖母であるかもしれないことは、チェリモには言わない方がいいかと思い、彼女は、桃矢と甜瓜と、こっそりと目で合図した。
「あ……、あっ! で、この次の『フルーツクイーントーナメント』は、いつ開催されるの?」
言葉を詰まらせた高村家の3人を助けるべく、宮村まんごが口を開く。
「確か……、前回の『トーナメント』は、で10年前の夏の終わりやったらしいからなぁ……。次の『トーナメント』まではあと半年くらいあるでぇ〜」
「そうなんだ。私も、全然知らなかったなぁ〜。でも、なんでチェリモちゃんは、その『トーナメント』に詳しいの?」
宮村まんごは、ぐいぐいと質問を続ける。
「いやいや、そんなに詳しくないで〜、前回の『トーナメント』の時は、うちは、まだ生まれてへんかったし。おかんから少し聞いただけや〜。うちが知ってることはそんなにないんや」
チェリモは、右手を顔の前で、左右に振る。
「あら、そう言えば、10年前の夏の終わりころは、ちょうどわたくしが生まれた頃でございますわねぇ〜。わたくしは9月6日生まれでございますので……。」
ドリア・ヌ・ロドリゲスが言う。
そう、ドリア・ヌ・ロドリゲスの誕生日は、10年前の秋、つまり、2011年の9月6日だったのだ。
「あっそうなんだ! ちなみに、私の誕生日は、6月9日だからね。ドリアちゃんよりもちょっと早いね。ということは、私は、『トーナメント』の時には生まれてることになるね〜」
ドリアと高村まんごは、お互いの誕生日がわかって嬉しかったのか、顔を合わせて、笑顔を浮かべた。
「俺も生まれてるけどなぁ〜。」
桃矢が、テーブルの端の方でポツリと呟いたが、それは何故かみんなにスルーされた……。
「……それでさぁ、その優勝者は、何をお願いしたの?」
宮村まんごは、『フルーツクイーントーナメント』に興味津々なのか、さらに質問を続ける。
「う〜ん。なんか、不老不死の力を手に入れたって、おかんが言うとったけど……。うちもあんまし詳しくは知らんでぇ〜。聞いただけなんや……。」
宮村まんごから質問攻めにあい、チェリモはちょっと困った顔を浮かべた。
「あっ、そっか。ごめんごめん。聞いただけだもんね。あっ……、そう。前回の『トーナメント』の時にはチェリモちゃんは、生まれてないって言ってたけど、チェリモちゃんの誕生日はいつなの?」
チェリモの困った顔を見て、宮村まんごは反省したのか、『トーナメント』の質問をやめた。そして、その代わりに、チェリモの誕生日を聞く。
「うちの誕生日か。そんなら、3月5日やで。うちも、もぅすぐで9歳になるねん!」
チェリモは、自信満々に胸を張って答える。もちろん、彼女は裸族なので……(以下略。
「あれっ? なんだぁ。じゃあ、チェリモちゃんも、私とドリアちゃんと同じ学年なんだね!」
チェリモの誕生日は、2012年3月5日なので、2011年6月9日が誕生日の高村まんごと、2011年9月6日が誕生日のドリアとは、日本の学年では同じ学年になるのだ。
「うん。あぁ〜、そうなるなぁ〜。やったなぁ」
高村まんごとドリアとチェリモは、3人で手を取り合ってはしゃぎあった。
「あっ、そや! せっかくやから、君らも、『口噛み酒』、作ってみーひんか? 準備もすぐやし。あっ、そやそや、ついでにご飯も食べていかへんか? うちは、いつもひとりぼっちで寂しいねん」
チェリモは、寂しそうな目をしつつも、ニコリと笑う。
「あ……、そうかぁ。じゃあ……。」
高村まんごは、頷いた。
こうして、まんごたちも、『口噛み酒』を作ることになったのだ……。
――――――――――――――
チェリモの手によって、炊きたて熱々のご飯が用意された。
そして……。
「あっ……このお米……あっついでございますわっ……。」
「んんぁっ……。あっついよぉ〜〜」
「ホフホフ……。あつい……。」
ドリアと高村まんごと、宮村まんごの3人が『口噛み酒』を作ることになり、3人は、熱々のお米を口に頬張っていた。
「ほんと、あっついね〜。でも、よく噛まないといけないんでしょ?」
「そやで〜、ちゃんとトロトロになるまで噛んでなぁ〜。飲み込んでもあかへんからなぁ〜。ちゃんとできんかったら、もう一回やり直しやからなぁ〜。そして、噛み終わったら、こん中に出してなぁ〜。もちろん、こぼしたらあかへんでぇ〜。」
3人がホフホフ言いながらお米を咀嚼しているのを、チェリモは、見守っていた。彼女は両手に、咀嚼したお米を入れるための瓶を構えている。
「はい。でっ……。ございますわっ……。」
「う……んっ」
「ホフホフ……。あつい……。」
3人は、チェリモに返事をしつつも、熱々のお米を咀嚼し続けた。
「もふ、私の……、いへるはなぁ〜?」
そう言い、宮村まんごが、チェリモから瓶を受け取る。そして、口からドロっとした白い液体を瓶吐き出す。
クチュ
クチュ
「あふ……、んっ……。」
トロ〜〜ン
宮村まんごは、お米の咀嚼液をこぼすことなくキレイに瓶に入れた。
「なんか、こうやって見ると、変な光景だね……。」
自分の分の『口噛み酒』が終わったことによって、冷静さを取り戻したのか、ドリアと高村まんごがお米を咀嚼している様をみて、宮村まんごが、ポツリと呟いた。
クチュ
クチュ
チュパッ
「あはっ……、れごらいまふはぁ……、んっ……。」
どろっ
「こらっ! ドリアちゃん! こぼしたらあかんでぇ〜! しかも、そんなに音を立てて! もうちょい静かにできへんかぁ〜?」
チェリモの言葉に、ニヤリと笑みを返しつつ、ドリアは、ドロッとした白い液体を指で拭う。
「おほほ……。でも、音を立てた方が楽しいでごらいまふからねぇ〜。」
そして、ドリアは、ネバネバになったお米の咀嚼液を親指と人差し指でこねくり回しながらも、笑顔で、お米の咀嚼を続ける。
「んはっ……。私も、終わっはよぉ〜。んふっ……。」
高村まんごも、口からお米の咀嚼液をゆっくりと瓶に注ぎ入れた。
彼女も、こぼすことなく、キレイに注いだのだ。
クチュ
ドロッ
「あはんっ……。トロトロになってひまいましたでごらいまふわ〜。」
キレイに事を終えた高村まんごと宮村まんごの横では、ドリアは、お米を咀嚼液を瓶にうまく入れられずに、苦戦していた。
瓶の縁を伝う白濁のお米を咀嚼液を、白く細い指先で拭い。少しずつ、瓶の口へと入れていた。
「もぅ……、ドリアちゃんったら……。ははは……。」
「ドリアちゃん、ホンマおもろいなぁ〜」
「ほんとだ。ははは。」
自分が口から出したお米を咀嚼液のとろみに苦戦しているドリアの様子をみて、周りの3人は、クスリと笑いあった。
「あぁ……。なんか楽しそうだなぁ……。じゃあ、僕も……。」
キッチンで『口噛み酒』を作っている女の子たちとは別に、リビングのソファーに腰掛けていた甜瓜だったが、彼は、キッチンからの楽しそうな笑い声に、思わず立ち上がろうとした。
「パパっ……。」
甜瓜の横に座っていた桃矢が、彼の肩を掴み、彼を静止する。そして、甜瓜を諭すように、大きく首を振った。
「わっ……、わかったよぉ……。」
甜瓜は、少し寂しそうに俯く。そして、彼は、再びソファーに腰掛け、興味深そうにキッチンの方へと耳を傾けるのであった……。
「これで準備は完了やなぁ〜。あとは、じっくりゆっくり待つだけやでぇ。ふふふ〜」
チェリモは、それぞれの『口噛み酒』の入った瓶に名前を書きつつ、戸棚に並べていった。それらは、現フルーツクイーンの『スモモ・タカムラ』の『口噛み酒』の瓶の横に、並べられた。
――――――――――――――
「今日は、ありがとう!」
チェリモのうちで、みんなが夕食を食べ終えると、辺りは薄暗くなり始めていた。
「こちらこそありがとうな。君らがいーひんかったら、あの大量のイナゴを退治できへんかったかもしれへんからなぁ〜。」
「じゃあ……。バイバイ、チェリモちゃん。また会えるといいねっ」
「バイバイ、でございますわ〜」
高村まんごとドリアは、チェリモとの別れを惜しむ。
「うん、大丈夫やっ! フルーツプリンセス同士には、『第5の力』が働いているから、お互いに引かれ合うねん。だから、きっとまた会えるでっ!」
チェリモは、ドリアと高村まんごと、ぎゅっと抱きしめ合う。
ちなみに、玄関先に出て来るためにチェリモは服を着たので、何も問題はない!
「「うん!」」
高村まんごとドリアはこくりとうなずいた。
「じゃあ、帰ろうか、桃矢。早く病院に戻らないと面倒なことになるかもしれないからな」
彼女たちの後ろで、甜瓜が言う。
「うん。そうだね」
桃矢と甜瓜は、性転換手術をした病院にまだ入院中であった。大きなイナゴが空を飛んでいるのに気がつき、こっそりと窓から抜け出して来たのだった。
「ほなね〜」
「「「バイバ〜イ!」」」
そして、まんごたちは、ダンジョンを通って来た道を帰る。
まんごたちは、世界樹のダンジョンを通ってタイ王国に入ってきたため、パスポートもビザも持っていない。そのため、来た道を帰らないと、色々とややこしいことになる。
暮れかかる夕日を背に、5人の魔法少女フルーツプリンセスたちはそれぞれ、各々の来た道を帰っていった……。
魔法少女マンゴ☆スチン A’s 完
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私、高村まんご。小学3年生。
マンゴスチン・ハートに出会って、魔法少女『フルプリマンゴスチン』に変身できるようになっちゃったの。
まぁ、今回は、今後に向けて話を展開させる回だったしね。うん。まぁ、健全な回だったよね。あぁ〜、健全すぎて困っちゃうなぁ〜。
え?
口噛み酒?
ご飯を噛んだだけだよ? 何か問題でも?
みんなで頑張って作ったんだよっ。うん。頑張った!
これで、映画化に一歩近づいたね。うん。頑張った!
まぁ、まんごちゃんは健全すぎて困る作品だからねぇ〜。あまり有名になると逆に困るっていうね……。ははは。
さて、ということで。無事にマンゴスチン・ハートも生まれ変わったことだし、ダンジョン編も一旦終了ね。
いい区切りってことで、この『魔法少女マンゴ☆スチン A’s』は完結だよっ。
幸田遥先生の次回作にご期待ください。
……って!
また同じことやってるー。
はいはい。
とゆーことで、またまた名前が変わるんだよぉ〜。
実は、トロピカルなあの作品が始まるまでにこの名前を間に合わせたかったんだよね。なんか、こっちがパクったみたいになるのが嫌だったからねぇ〜。
でも、マンゴスチンとドリアンは、あの作品よりもかなり前に出てたからね、こっちの方がトロピカルフルーツに関しては先だからね。チェリモちゃんも間に合わせたかったんだけどね。そしたら、あっ……って思ってもらえるから。
でも、あんましネタバレしたくないから、ほどほどにしとくね。
じゃあ、ずいぶんと遅くなっちゃったけど、当初の予定通り行くよっ!
次回作はっ!
『魔法少女マンゴ☆スチン Tropical FruitS』だよっ!
トロピカルフルーツなんだよぉ〜!
最後の「S」は大文字だからね! 注意してねっ!
もちろん、合言葉は『トロピカッ……。』、げふんげふん。
んな訳ないでしょ〜。怖いわぁ〜。ほんと怖いわぁ〜
合言葉はいつもと同じ!
マンゴスチン! カジュー! ヒャクパーセントー! だよっ!!
とりあえず、次回は、恒例の総集編だからね!
お約束だからねぇ〜。色々仕込んでおくからね〜。伏線チェック用に利用してねぇ〜。
じゃあね〜!
次回!
魔法少女 マンゴ☆スチン A’s
『魔法少女マンゴ☆スチン A’s 総集編 登場人物まとめ』
だよっ!
絶対に読んでねっ!
マンゴスチン! カジュー! ヒャクパーセントー!




