第52話 最強対最強!コアラ、とびっきりのかかと落とし!だまんごー。
「まんごちゃん、ドリアちゃん! 朝だよ! 起きて〜!」
宮村まんごは、毛布にくるまった高村まんごとドリアを揺らす。
二人は、一枚の毛布に仲良くくるまって寝ているのだ。一セットしかない服は洗濯中だったので、もちろん、彼女たちは全裸だ。
「はぁい……。」
「はい……、でございますわぁ〜。ふわぁ〜。」
「もぉ〜。この子たちはぁ〜」
生返事をする高村まんごとドリアに宮村まんごは小さくため息をつく。
全裸の2人とは違い、宮村まんごは、すでに、きちんとおしゃれな格好をしていた。今日の彼女の髪型はポニーテールだ。黒いショートヘアーを後ろで一本にまとめあげていたのだ。そして、その髪型に合わせて、カジュアルな感じの服装だ。
宮村まんごは、『アイテムボックス』の中に服をしまっているので、毎日違う服を着れるのだ。
「ふわぁ〜、おはようございま〜す」
「おはようございますですわ〜」
宮村まんごが何度も呼びかけると、高村まんごとドリアは、やっとのことで目を覚ます。
「ほら、起きて! もうすぐ朝ごはんができるから」
宮村まんごの視線の先では、コアラが朝ごはんの準備をしてくれていた。
彼女は、飯盒炊爨でご飯を炊いてくれている。コアラはご飯を食べないのだが、こうやって、まんごたちの世話を焼いてくれるのだ。
「あっ、ほんとだね。コアラさん! おはようございます!」
高村まんごはコアラに声をかけながら、立ち上がった。
ハラリ
彼女が立ち上がると、寝る時に使っていた毛布がはらりと地面に落ちる。このパーティーは女の子だけのパーティなので、外で裸になっても、何も問題ない!
「さぁさぁ、ドリアちゃんも、起きるよっ!」
高村まんごは、横にいるドリアに声をかける。彼女は、まだ座ったままで、毛布の端を未練がましく掴んでいた。どうやら、まだ眠いようだ。
「さてとぉ〜、乾いているかなぁ〜?」
小さい木の枝に掛けられていた衣服は、一晩ですっかり乾いていた。朝の冷たい空気でひんやりとはしていたが、ちゃんと乾いてはいる。
「わぁ〜、ひんやりとして気持ちいいや〜」
高村まんごは、薄水色のおパンツに足を通し、そのひんやりとした感触に、思わず声を出した。
そして、薄茶色のスカートを穿き、薄いピンクのキャミソールを着る。そして、ベージュのセーターを着た。
このベージュのセーターは、ダンジョンに入ってすぐにもろきゅうによって汚されたため、これを着るのは実に2日ぶりだ。そう、2日ぶりの、まともな服装なのだ。
「ふわぁ〜。おはようございますですわ〜」
高村まんごが服を着終わる頃には、ドリア・ヌ・ロドリゲスも毛布から起き上がり、一糸まとわぬ姿で、高村まんごに近づいて来た。彼女の服も、同じ場所に干してあったのだ。
「うん。おはよう、ドリアちゃん。私はもう準備が終わったよっ! ドリアちゃんも、早く着替えてっ!」
「はい、でございますわ」
ドリアが愛用していた「青いヒモ」は、泉の女神さまっに取られてしまっていたので、彼女のおパンツはない。黒いカーディガンとグレーのプリーツスカートを着るだけだ。
今日もまたドリアのノーおぱんつ生活は続く。
――――――――――――――
プシューーーッ
ビシャーーーッ
「「おはようございますラ〜」」
昨晩にまんごたちにドラゴン退治をお願いに来た『クジラ・タイツ』に加えて、『クジラ・ソックス』の2匹のクジラ族が、まんごたちを迎えに来た。
お約束通り、挨拶がてらに潮を吹かせながらの登場だ。
今回は、別に悲しんでいるわけでも喜んでいるわけでもない。クジラ族は、自由自在に潮を吹けるのだ。
「あっ、おはよう! 私たちは、準備万端だよ!」
まんごたちはすでに朝食等を終えて、準備万端で湖のほとりでクジラ族を待っていたのだ。
「さぁ、クジラさんたちを助けるために、行きましょうか!」
「うんっ!」
「はいっ! でございますわっ!
「「お願いしますラ」」
まんごたちは、クジラ・タイツとクジラ・ソックスの背中に乗り、湖を進む。
ドリアと宮村まんごは、すでに魔法少女フルーツプリンセスに変身しており、アルティメットブラックレックスドラゴンと対決する準備は万端だ。
魔法少女に変身した2人は空も飛べるのだが、コアラと高村まんごが空を飛べないこともあり、こうやってクジラ族の背中に乗って、アルティメットブラックレックスドラゴンのいる湖の対岸まで移動しているのだ。
「乗り心地はどうでございますラ?」
「サイコーだよー」
クジラ・タイツの背中に乗っている宮村まんごは、答える。
クジラ・タイツの背中には、宮村まんごと高村まんごが、クジラ・ソックスの背中にはドリアとコアラが乗っていた。
「あっ、この背中の穴から潮を吹くのでございますわね〜。どれどれ……。」
ドリアは、クジラ・ソックスの背中に、潮を吹くための穴を見つけ、それに向かって興味深そうに手を伸ばす。
「「ドリアちゃん!」」
高村まんごと宮村まんごは同時に声をあげ、ドリアを制止した。
彼女がその穴に触れるとどうなるのかは、この2人にはわかっていたのだ。万が一に備えて、2人はドリアを止めたのだ。事故は起きてからでは遅い。古くからのことわざに『吹く潮穴に還らず』とあるように……。
「わかりましたでございますわ〜。触りませんですわ……。」
ドリアは、つまらなさそうに、手を引っ込めた。
――――――――――――――
「ギャアアオオ!!」
まんごたちが、湖の反対側の岸に着くと、巨大なモンスターがそこにいた。
最強のドラゴン、アルティメットブラックレックスドラゴンである。
アルティメットブラックレックスドラゴンは、まんごたちの存在に気がつくと、2本の太い足で立ち上がる。
「ギャアアオオ!!」
そして、まんごたちを軽く一飲みできそうな大きな口を開き、雄叫びをあげた。
「ひゃ〜、大きいね……。」
「そうでございます……わ、ね……。」
高村まんごとドリアは、口をポカンと開けながら、目の前に立ちはだかるドラゴンの姿を見上げる。
立ち上がったアルティメットブラックレックスドラゴンの高さは、優に5メートルを超えていた。そのドラゴンの全長は10メートル以上あり、普通の人間の子供のまんごたちに比べて、大きさに、圧倒的な違いがあった。
「あ……。これは、無理だわ……。戦わなくてもわかるわ……。私たちでは勝てないわね……。」
宮村まんごは、口をポカンと開けて声をだす。怖気付いた訳ではない、戦う前から圧倒的な力量を感じとったのである。
「どうしよう……。これは、無理だよ……。」
宮村まんごは、そう言いながら、横にいたコアラに視線を向ける。
そもそも、コアラが大丈夫だと言ったので、ここまで来ているのだ。全てはコアラの責任だ。責任を押し付けるような視線を、宮村まんごはコアラに向けていた。
「ダイジョウブダ コアラ ニ オマカセ」
コアラは、宮村まんごの視線にコクリと頷き、胸をペティんと叩いた。
ザシュ
ザシュ
コアラは、わざとらしく足音をたて、まんごたちの前に出る。
「ギャオオオ〜〜〜!!」
アルティメットブラックレックスドラゴンは、コアラに対して雄叫びをあげる。先ほどの威嚇のための叫び声よりもさらに大きな声だ。どうやら、コアラを敵とみなしたようだ。
「コッ、コアラさんっ! 危ないよっ!」
コアラは振り向くことなく、アルティメットブラックレックスドラゴンに近づいてゆく。そんなコアラに、高村まんごは悲鳴にも似た声をあげた。
「ダイジョウブダ オマエタチハ サガッテイロ」
そう言い放ち、コアラは全身に力を入れる。
―――コアラ! ヤジュウ パワー! インジェクション! (どこからともなく聞こえる効果音)
ザシュ
ザシュ
―――燃え上がれよ! 滋養強壮! アシカの睾○! (どこからともなく流れてくる音楽)
ザシュ
ザシュ
コアラの歩く足音に合わせて、どこからともなく音楽が流れ始める。
これが、精霊であるコアラの特殊能力だ。この音楽によって身体能力を極限まで高めることが可能なのだ。
―――ひるんで逃げれば そのまま高齢! それを防ぐぜ、高齢人参!
「アアアアァア!!」
コアラは、少し前かがみになり、体に傾斜をつける。曲げた両足に、バネのように力を溜め、それを一気に解放した。
ドゴーン
爆発音に似た衝撃音と衝撃派を出しながら、コアラは空高く飛び上がった。
立ち上がったアルティメットブラックレックスドラゴンよりもはるかに高く、優に20メートル程の高さまで飛び上がったのだ。
―――怖じけるな! 憎いあいつにゃ! ニンニクだぁ!
「コアラ キーック!!」
コアラは、空中で一回転をして、両足でドロップキックの構えを取る。そして、アルティメットブラックレックスドラゴンに向けて、飛びかかったのだ。
空気との摩擦もあり、コアラのライオン型の足は、真っ赤に燃えたぎった炎を纏う。
ドゴンッ!!
アルティメットブラックレックスドラゴンの脳天に、コアラのドロップキックが炸裂した。
―――マカ! マカ! マカ! ジンク〜クロライド!
「ウギャオ〜〜!!」
アルティメットブラックレックスドラゴンは、脳天に即死級のダメージを負い、最期の雄叫びをあげた。
ドカーーン
―――奇跡を起こせ! 立ち上がれ! シルデナフィル! でっ、汁出るでっ!!
ポヨン
コアラは、ライオンの足の裏のプニプニした肉球を使い、地面に華麗に着地する。
シャキーン!
そして、なぜか爆発するアルティメットブラックレックスドラゴンを背景に、コアラは、ファイティングポーズを決めた。
―――最初の一撃で 一発必中! ジュッ! セイ〜〜ャッ!
「え……。うそ……。い、一撃……!?」
「す……、すごいでございますわ……。」
「うわぁ〜、アンビリーバボー!」
まんごたち3人は、目を点にして、コアラを見つめる。
自分たちよりもはるかに強そうなドラゴンを、キック一撃で仕留めたコアラに、恐怖にも似た畏敬の視線を送った。
プシューーーッ
ビシャーーーッ
プシューーーッ
ビシャーーーッ
湖の中では、クジラ・タイツとクジラ・ソックスが、アルティメットブラックレックスドラゴンが爆発するのを見て、嬉しさのあまり盛大に潮を吹いていた。
「すごいよ……。すごいよ! コアラさんっ!」
「すごいでございますわ〜!」
「おおっ! やるね〜コアラさん!」
「イッツア ピースオブケーキ」
ペティン
3人の言葉に、コアラは、胸を手で力強く叩いて答えた。しかし、コアラのアシカの様な平べったい手では、力のない乾いた音しか立たなかった。
「あっ、色々とドロップアイテムが落ちてるよっ!」
アルティメットブラックレックスドラゴンが爆発して消え去った跡には、魔石と何かのアイテムが落ちていた。
3人は、急いでコアラの元に向かう。
「あっ、すごい、これ、ドラゴンの皮かなぁ〜?」
「そうでございますね」
「そうだね〜。きっと、街の鍛冶屋とかで加工してもらって、強い装備を作ってもらうんだよ」
まんごたちは、魔石に加えて、アルティメットブラックレックスドラゴンのドロップアイテム、『ブラックレックスの龍皮』を手に入れたのであった。
「まんごちゃん、いつものあれやっていいよっ!」
宮村まんごが、高村まんごにサムズアップをする。彼女も特に何もしていないが、強敵に勝利して気分がいいのだ。
「はいっ!」
チャラララーー。
高村まんごは、『ブラックレックスの龍皮』を頭の上に大きく掲げた。
ドン!
次回に続く
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私、高村まんご。小学3年生。
マンゴスチン・ハートに出会って、魔法少女『フルプリマンゴスチン』に変身できるようになっちゃったの。そして、誰かさんに食べられてしまったマンゴスチン・ハートをなんとかするために、ダンジョンの中を冒険中なんだ。
そして、今回は、クジラ族の皆さんを助けるために、アルティメットブラックレックスドラゴンと戦ったんだぁ〜。
いやぁ〜〜、ドロップキックだったねー。
これがタイトル詐欺ってやつね。
かかと落としはどこに行ったんだろうね。うん。
大丈夫だよっ! 心配しなくていいよ、たぶん金輪際出てこないからっ!
えっ? 歌詞?
うん? 恥ずかしいって? 誰が?
う〜ん、わかってないなぁ〜。ジンククロライドの方が、アイスクリームよりも恥ずかしくないんだよっ!
まぁ、ただの化学物質の名前だしね。
えっ?
ブラックレックスの龍皮?
いいでしょ? きっとすごい装備になったりするんだよー。
何たってブラックレックスだからねー。
鍛冶屋で装備を作ってもらったり、加工したりできるなんて、ファンタジーっぽいじゃん。まぁ、問題は、それがいつ出てくるか? だけどねー。
まぁ、気長に待っててよ。
慌てない。慌てない、ひと……。
おっと、危ない危ない。
まぁ、待っててよ! ね!
さぁて、次回は、皆様お待ちかねの、ストッキングだよ!
クジラ・タイツさんが出てきたあたりから、嗅覚の鋭い読者さんたちはワクワクしてたことだと思うね〜。
ついに、出ます!
出てきます! ストッキングが出てきます!
でも、あんまり期待しないでね。ここはなろうだから、普通に市販されているようなストッキングしか出てこないよ。
え? 網みたいなやつ?
あぁ〜、網タイツね?
それは、またの機会かなぁ〜?
次回は、ストッキング(黒色)だから!
うん! それも、わかってるって、ベージュも、ね!
それも、いずれ、またの機会にねっ!
次回!
魔法少女 マンゴ☆スチン A’s
『第53話 クジラX潮吹きXストッキング(黒色)!だまんごー』
だよっ!
絶対に読んでねっ!
マンゴスチン! カジュー! ヒャクパーセントー!




