スネイクとドリアの気まぐれお料理教室〜竹輪にきゅうりをブチ込んだ簡単な料理でございますわ〜
「今回は、特別編でございますわよぉ〜。」
ドリア・ヌ・ロドリゲスは、撮影用の特設キッチンにいる。テレビでよく見るあのキッチンだ。
「わたくしが、スネイクと一緒に、『シェフの気まぐれお料理教室』を開催するでございますわ〜」
「はい。今日はしっかりと料理を作っていきますぞ〜」
ドリアの横にいるのは、スネイク・ド・ファルシアである。ロドリゲス家の執事であり、ロドリゲス家の家事全般とドリアの世話を任されている。
「え? 何故こんな料理教室を開いているかでございますか? 思いついたからに決まっていますわ。というかダンジョンの中はあまり代わり映えがしなくて面白くないのでございます。ですので、たまに、こうやってわたくしが一肌脱ぐのでございますわ〜」
「そうでございますぞ〜。しかしながら、ドリア様は、本編でも一肌以上脱がれておいででございますがねぇ〜。ほっほっほ〜。」
「おほほ〜。さて、冗談はこれくらいにして。本日の料理は、『きゅうり竹輪』でございます。ちくわにきゅうりを差し込んだだけの簡単な料理でございますわ!」
ドリアは、まな板の上にきゅうりと竹輪を並べた。
『きゅうり竹輪』に必要な材料は、『きゅうり』と『竹輪』だけである。
「そして、今回は、味付けのために『マヨネーズ』を使うのでございますわ!」
ドンッ!
ドリアは、机の上にマヨネーズを力強く置いた。
「さて、早速、きゅうりを竹輪に挿し込むのでございますわ〜。……おっと、スネイク、何をしようとしてらっしゃるんですの?」
ドリアは、隣にいるスネイクに声をかける。
「はい、きゅうりを竹輪にぶっ挿すところでございますぞ!」
スネイクは太いきゅうりを一本、右手で握りしめ、左手に握った竹輪に、それを挿し込もうとしていた。
もちろん、左手の竹輪よりも、右手のきゅうりの方が太い。
みりみり
ちくわが張り裂けんばかりに悲鳴をあげている。
「ス、スネイク! そ、そんなぶっといきゅうりをそのまま差し込んだら、竹輪がぶっ壊れてしまいますわ〜」
ドリアは、首を振り、スネイクを止める。
「いいえっ! ドリア様っ! まだ大丈夫でございますぞ〜!」
ドリアの制止を振り切り、スネイクは竹輪の穴にきゅうりをグリグリと挿し込む。しかし、竹輪は、きゅうりからの力を受け流し、一向に、きゅうりが竹輪の穴に挿さることはない。
みりみり
竹輪はきゅうりを咥え込み、ゆっくりと穴を広げ……て、行かない!
みりみり
みりみり
それでもスネイクは、力任せに竹輪にきゅうりを挿す。
みりみり
みりみり
しかし、スネイクがどれほど力を加えても、きゅうりは竹輪に挿さらない!
竹輪が裂けるのが先か、竹輪に挿さるのが先か……。
「うまくぶっ挿さりませんでございますぞ〜」
スネイクは、声をあげながら、めりめりと竹輪に力を込める。
「スネイク……。」
ドリアは、スネイクの背中をポンッと叩き、首を横に振った。
「はい……、でございますぞ……。」
我に返ったスネイクは、腕から力を抜き、少し竹輪に入りかけたきゅうりを、そこから抜いた。
「でも、そういうボケも、大切でございますわね〜。さすがスネイク。よくわかっているでございますわ〜」
「ドリア様、ありがたきお言葉でございますぞ〜!」
「とりあえず、真面目に料理を作るでございますわっ!」
スネイクは、きゅうりと竹輪をまな板の上に戻し、包丁を握った。
もともとスネイクは、料理が得意である。瞬く間に、竹輪ときゅうりは適当な大きさに切られた。
「さすがスネイクでございますわ〜! これなら、ちゃんときゅうりが竹輪に挿さるでございますわ〜」
ドリアは、まな板の上に整えられたきゅうりと竹輪に目を輝かせる。
「でも、スネイク。後からマヨネーズをかけるのもめんどくさいのでございますわ〜」
「では、ドリアお嬢様、先にきゅうりにマヨネーズをかけて、それを竹輪に挿してはいかがでございましょうか?」
「いい案でございますわね〜。では、マヨネーズを……。」
ドリアは、マヨネーズを持った手を止めて、少し考えた。
「あれ? スネイク、むしろ、竹輪の方にマヨネーズをかけた方がよろしいのでは?」
「なるほど、ドリア様。それも良い考えだと思いますぞっ!」
「では、こちらの方に……。」
ブチュ〜
ブチュ〜
ドリアは、切った竹輪の一つ一つに、シュークリームのシューにクリームを注ぐかのように、マヨネーズをたっぷりと注いでゆく。
あっと言う間に、全ての竹輪に、マヨネーズがキリキリいっぱいに入れられた。
「さて、竹輪とマヨネーズの準備はできたでございますわー。あとは、これにきゅうりを挿せば、『きゅうり竹輪』の完成でございますわ〜」
ドリアは、マヨネーズが入った竹輪に、切ったきゅうりをゆっくりと挿し込んでゆく。
薄緑色の尖ったきゅうりの先が、白く柔らかなマヨネーズに突き刺さる。
ニュプリ
鋭利な先端で攻撃的なきゅうりを、マヨネーズは優しく包む。鋭利な荒々しさを押さえ込むように、ゆったりとした包容力で、それを包むのだ。
ブチュ
トロリとした白いマヨネーズは、自らの形を自由自在に変形させ、尖ったきゅうりを受け入れてゆく。
「いやぁん〜、白いマヨが溢れてくるでございますわぁ〜」
きゅうりが竹輪の穴の中を突き進むに連れて、穴の中に入りきらなくなったマヨネーズは、いき場所を失い、穴から溢れ出す。
そう、マヨネーズがキリキリいっぱいまで竹輪に入っているため、きゅうりを挿すと、その分だけマヨネーズが溢れ出してくるのだ。
ドリアは、そのことまで考えずに、キリキリまでマヨネーズを入れてしまったのだ。
うっかりミスだ!
トロ〜ん
「おおっと、ドリア様! マヨがっ! マヨが溢れておりまするぞ〜!」
スネイクは、ドリアの手元に視線を向け、驚いた声をあげる。
「だっ……、大丈夫でございます……わよっ……きっと……。」
ニュプリ
ニュプリ
それでも、ドリアは手を止めず、きゅうりにぐいと力を加える。
ニュプリ
ニュプリ
トロ〜ん
きゅうりが竹輪に挿さってゆくにつれて、トロリとした白いマヨネーズが、ドロドロと竹輪から溢れ出す。
竹輪から溢れたマヨネーズは、竹輪の横からトロリと垂れる。きゅうりについていた透明な水と混じり合った白いマヨネーズは、竹輪の横をツーっと流れてゆく。
きゅうりが竹輪の奥まで貫通するころには、竹輪を持つドリアの手には、白いマヨネーズが、べったりとついていた。
「あぁん〜、こぼれてしまいました……わっ……。」
ちゅっ
くちゅ
ドリアは、ベトリとした指を口に含み、ちゅっと音を立てて指をしゃぶった。
「さて、完成しましたですわ〜」
ドリアは、完成した『きゅうり竹輪』を親指と人差し指で摘まむように持ち、それを皿に盛り付ける。
ニュプリ
ニュプリ
と、心地よい音を立てながらも、ドリアは次々に竹輪にきゅうりを挿し込み、『きゅうり竹輪』を完成させてゆく。
スネイクもドリアの横で、一緒になってきゅうりを竹輪に挿し込んでゆく。そして、瞬く間に、お皿の上は、『きゅうり竹輪』でいっぱいになった。
しかし、どの竹輪もが、白いマヨネーズを溢れさせており、お皿は水っぽいマヨネーズでひたひたになっていた。
「完成でございますわ〜!」
「おおっ、ドリア様、さすがでございます! 美味しそうでございますぞ〜」
スネイクは、大きな拍手をドリアに送った。
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ドリアとスネイクはテーブルに座り、試食を開始する
「いただきますでございますわぁ〜」
ドリアが、きゅうり竹輪に歯を立てると、その中から、きゅうりと共に、白いマヨネーズが垂れる。
マヨネーズは、きゅうりの水分と相まって、すでに粘性を失い、乳液のような白濁した液に姿を変えていた。
ポトリッ
きゅうりの先端から、白くトロトロになったマヨネーズがタラリと垂れる。
「あぁん……、ヤデ……ございますわァ……。」
ドリアは、トロリと垂れた白いマヨネーズを、咄嗟に左手の手のひらで受け止めた。
ポトリッ
ポトリッ
ドリアの幼げな小さい手のひらの上に、ドロリとしたマヨネーズが、白い斑点を作る。
「あっ……、でもっ、美味しいでございますわ……。」
ドリアは、口の中に含んだきゅうり竹輪を舌の上で味わった。そう、ドリアのピンク色の舌の上に、白いマヨネーズまみれのきゅうり竹輪が……。
マヨネーズの酸味が、口の中に広がり、きゅうりのシャキッとした歯ごたえと竹輪の弾力が、心地よいハーモニーを奏でた。
「ドリア様、お味はどうでございますか?」
ドリアの横から、スネイクが興味深そうに訊く。
「美味しいでございますわっ!」
ドリアは、満足気な笑顔で答えた。
お料理教室 完
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私、高村まんご。小学3年生。
今回は、特別も特別。スネイクさんとドリアちゃんのお料理教室だよ。
もはや、やりたい放題だね……。
そして、どこからともなく漂う事故臭……。うん。事故だねっ!
でも今回は、ちゃんと料理をしたし〜。
この回を参考にすれば、みんなも美味しい『きゅうり竹輪』が作れるねっ!
マヨネーズは、きゅうりの方にかけた方がいいよっ!
それか、後からかけるか。
順番は大切だよ……。
順番を間違えると、竹輪からマヨが溢れちゃうから……ね。
さて、次回からは、森の中に入ってゆくよ!
森の中には何があるのかなぁ〜? うっわ〜、楽しみだなぁ〜!
まぁ、どうせ変なモンスターが出てくるんでしょ?
そうだよ! 変なモンスターだよ!
お楽しみにっ!
次回!
魔法少女 マンゴ☆スチン A’s
『第45話 朝早く旅立つこと、それが朝立ち!だまんごー』
だよっ!
絶対に読んでねっ!
マンゴスチン! カジュー! ヒャクパーセントー!




