第42話 服が汚れたなら、脱げばいいじゃない?だまんごー。
「きゅう〜」
「きゅう〜」
「もろきゅう〜〜」
色の濃い草むらの中から可愛らしい声を出していたのは、このダンジョンに生息するモンスター『もろきゅう』だ。
一言で説明するならば、『もろみ』がついた『きゅうり』である。
それ以上でもそれ以下でもない!
「もろもろ〜」
もろきゅうは、まんごたちの姿を見つめ、おびえながらも数匹が体を寄せ合う。
もう少し詳しく説明するならば、『もろきゅう』は、茶色い『もろみ』の粒々を全身にポツポツとまとったキュウリだ。
もちろん、ファンタジーの世界よろしく、それっぽい手とそれっぽい足が生えていて、二足歩行で歩いている。
体長は40センチ程であり、まんごたちにとっては、犬のように小さなモンスターである。
「モンスターねっ! とりあえず変身よっ! ドリアちゃん!」
「はい、でございますわ!」
宮村まんごの声に、ドリア・ヌ・ロドリゲスが応じる。
2人は、各々の果物型変身装置を構え、『フルプリマンゴー』と『フルプリドリアン』に変身した。
「よしっ、早速、倒していこうか!」
「きゅう〜〜」
もろきゅうは威嚇のためか、まんごたちに向けて『もろみ』を飛ばしてくる。
パシ
パシ
宮村まんごは、飛んできたもろみを、弾く。
「えっ、なんか飛ばして来たんだけどぉ〜」
魔法少女に変身できない高村まんごは、モンスターからの攻撃に怯えている。
「大丈夫よ、そんなに怯えなくても。あいつらの攻撃力はゴミみたいなもんだから、ダメージはほとんど喰らわないよ」
宮村まんごは、この周辺には何度も来ており、もろきゅうと戦うのは初めてではない。もちろん、このモンスターの攻略法も知っている。
「ええぇ〜。まんごさん、そういう問題じゃないよぉ〜! 私のコート白いんですよぉ〜」
もろきゅうが飛ばしてくるもろみに怯えながら、高村まんごが泣きそうな声で叫ぶ。
魔法少女に変身できない高村まんごは、普通の服を着ている。
しかも、真っ白のダウンコートだ。
高村まんごの真っ白な服に、『もろみ』は危険だ!
「よし、ドリアちゃん。まんごちゃんを庇いつつも、あいつらを倒すよっ!」
「ええ〜っ? 無理でございますわぁ〜。わたくし、このように可愛らしいモンスターを攻撃するなんて、無理でございますわ〜」
怯えるまんごとは対照的に、ドリアはもろきゅうに向けて目を輝かせていた。
体をプルプル震わせて、もろみを飛ばしてくる『もろきゅう』を、可愛いと思うのが、ドリアである。
「えっ? ちょっと、ドリアちゃん……。」
高村まんごは、口元を少し、ひきつらせる。
「えっ……? ドリアちゃん。ああいうのが好きなの?」
宮村まんごも目を点にした。
「もぅ、2人とも……。じゃあ、私がなんとかするから、2人は大人しく離れててねっ……。」
宮村まんごは、小さくため息をつきながら、魔法の杖を構える。フルプリマンゴーの魔法の杖はレイピア型であり、魔法を使わなくても、近接武器としてそれなりに戦える。
「このモンスターくらいなら、魔法を使わなくても大丈夫だから!」
宮村まんごは、もろきゅうの群れの中に単身で走ってゆく。
「ていっ!」
宮村まんごの攻撃は、もろきゅうに当たる。宮村まんごにとっては、簡単に倒せるモンスタなのである。
「きゅう〜〜」
攻撃を受けたもろきゅうは最後の反撃とばかりに、身体中のもろみを飛ばして来る。
「おっと、危ないっと……。」
宮村まんごは、それを華麗に避けた。
もろきゅうを倒す上で気をつけなければいけないのは、このモンスターが最後に飛ばして来るもろみである。ダメージ自体はそれほど大きくはないが、それに当たれば、服が汚れるのだ。しかも、茶色に……。
宮村まんごは、それを知っていたので、攻撃をした後に避ける準備をしていたのだ。
「いやあぁ〜」
しかし、後ろにいた高村まんごの真っ白のダウンコートが流れ『もろみ』にやられた。
高村まんごは、宮村まんごを盾にすべく、彼女の後ろにいたのだ。
突然、宮村まんごが横に動いたため、もろきゅうの最後の攻撃を全身に受けることになったのだった。
「あっ……。ごめん……、まんごちゃん……。だから離れててって言ったのに……。」
宮村まんごは、頭をぽりぽりと掻いた。
「きゅう〜……。」
最後の『もろみ』を撃ち尽くしたもろきゅうは、『魔石』へと姿を変える。
このダンジョンの中では、モンスターは倒されると魔石に変わるのだ。
「……あっ、まぁ、とりあえずこいつらを、さっさとやっつけちゃうよ!」
宮村まんごは、もろきゅうの群れの方に視線を戻し、魔法の杖を構える。
「行くよっ!」
ブスッ!
「きゅう〜……。」
ザシッ!
「きゅう〜……。」
ザクッ!
「きゅう〜……。」
サカッ!
モトッ!
「きゅう〜……。」
宮村まんごは、飛んで来るもろみをうまく避けながらも、次々にもろきゅうを倒していった。
「こんなもんかなぁ〜? まぁ、最初のモンスターだし、こんなものよね〜」
宮村まんごは、あたりを見回し、もろきゅうがいないことを確認すると、もろきゅうを倒した後に残った魔石を拾い集めた。
「それは何でございますか?」
「これはモンスターの魔石だよ。これを売れば、お金になるからね。道中の食事代と宿代くらいは自分たちで稼いでいかないとね……。」
このダンジョン内の冒険者は、主にその魔石を売ってお金を稼ぐのだ。もちろん、モンスターによってはアイテムを落としたりする。そのアイテムも、ものによっては高値で取り引きされたりする。
――――――――――――――
「うわぁ〜ん、私のコートが『もろみ』まみれになっちゃったよ……。」
高村まんごは、コートについたもろみを手で払って落としていた。しかし、かなりの量のもろみに被弾したため、コートの所々に茶色いシミができている。
「ごめんね。すごく汚れちゃったね。もういっそのこと脱いじゃえば? 女の子だけのパーティーだし、気にすることないし〜」
宮村まんごは、歩きながらも、後ろに目を向けて、高村まんごに言う。
3人はコアラに続いて、街に向かって歩き始めていた。日が暮れる前には街に着きたいのだ。
「あっ、そうですよね。じゃあ、そうします」
まんごは、汚れた白のダウンコートコートを脱いだ。
「それか、何か代わりのものでも着る?」
「いや、普通にこのままの方でも大丈夫です。なぜだかわからないけど、それほど寒くないですし」
ダンジョンの中は、不思議な力によって、暖かいのだ。
「あっ……、って、中のセーターにまでもろみが付いてるし……。ひゃあ〜。」
コートの前を開いていたので、ダウンコートの下に着ていたベージュのセーターまでも『もろみ』にやられたようだった。
ベージュのセーターにも茶色いシミができていた。
「もう、それも脱ぐしかございませんですわねぇ〜」
ドリアが、横から声を出す。なぜか嬉しそうだった……。
「だよね〜」
まんごは、ベージュのセーターも脱いだ。
薄いピンクのキャミソールだけになって、真夏のような格好になってしまっていた。
しかし、高村まんごは、不思議と寒さを感じていなかった。
ダンジョンの不思議な力のせいだ。
「まんごちゃん、それ、荷物になるし、私の『アイテムボックス』に入れといてあげようか?」
「アイテムボックス?」
「あれ? まんごちゃん、知らないの? 私たち魔法少女は、アイテムを魔法で収納できる『アイテムボックス』を持っているのよ。色々入るから便利よ」
「へぇ〜、わたくしも知りませんでしたわ〜」
「あら、ドリアちゃんも知らないの。勿体無いねぇ〜。便利なのに。えっと……、使い方は簡単だよ。『インポート』で入れて、『エクスポート』で出すのよ。簡単でしょ?」
「はい、わかりましたですわ。では、試しに、まんごちゃんのコートとセーターでやってみるでございますわ〜」
「じゃあ、ドリアちゃん、これ、お願いね」
高村まんごは、ドリアに、コートとセーターを渡す。
「はい、ですわ。インポート!」
ドリアの手から、まんごのコートとセーターが消えた。
「わぁ、すごい。ありがとうドリアちゃん。私、すっごく身軽になっちゃった〜」
高村まんごは、薄茶色のスカートに、薄いピンクのキャミソールという軽装になってしまった。
「まぁ、とりあえず、モンスターを倒して魔石を集めながら、キンショウタウンを目指して歩かないとね。私は野宿は嫌だからね。ちゃんと宿屋に泊まれるように、それなりにお金を稼がないとね」
「はい……、でございますわ……。」
ドリアは、渋々ながら頷いた。できることなら、もろきゅうとは戦いたくなかったのである。
――――――――――――――
まんごたち一行は『キンショウタウン』に到着した。
道中までに何度か『もろきゅう』に遭遇し、魔法少女に変身した宮村まんごとドリアがそれらを退治した。
もろきゅうと戦うことをぐずっていたドリアであったが、何匹も現れるもろきゅうに、慣れてきたのか、渋々ながらも戦いに参加したのだ。
まんごたちは、その過程で、ドロップアイテムの『もろみ』を一つ手に入れていた。
パックに100グラムのもろみが入っている。『もろきゅう』のドロップアイテムだ。
「さぁ、着いたよ!」
「わぁ〜」
「すごいでございますわ〜」
宮村まんごは、この街に来たのは初めてではないが、高村まんごとドリアは初めてだ。
この街の中には、ファンタジーの世界にあるあるの、エルフやオーガなどの見慣れない種族の生物が歩いていた。しかし、まんごたちは、特に気にせずに歩いた。
あたりはすでに薄暗くなっており、行き交う人もまばらであったため、まんごたちは、宿に向かって急いでいたのだ。
「ここだよっ! 今日はここに泊まろうよ!」
宮村まんごは、日本の民宿のような小さな宿を指差した。
「ちょっとボロそうに見えるけどね。この宿屋には『温泉』があるのよ〜。いつも楽しみにしてるんだ〜」
宮村まんごは、嬉しそうに話した。
ドドン
次回をお楽しみにっ!
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私、高村まんご。小学3年生。
マンゴスチン・ハートに出会って、魔法少女『フルプリマンゴスチン』に変身できるようになっちゃったの。でも、今は、マンゴスチン・ハートがお亡くなりに……。
ってことで、ダンジョンにやって来たんだよぉ〜。
早速出てきたよね、モンスター!
ダンジョンだもんね。モンスターが出ないと始まらないよ〜。
『もろきゅう』ね!
マンゴスチンシリーズならではの食べ物をモチーフにしたモンスターだねっ。
キャワワ〜。
でも、『もろみ』を飛ばしてくるとか、どんだけ悪質なのよ……。
えっ? 『もろみ』がエロい?
いやいや、ただの『もろみ』だよ?
脳みそ、どんだけ汚染されてるのよっ!
ただの『もろみ』だからね!
いつも食べてるやつでしょ?
もろきゅうは、エロくないよ。うん。
きゅうりにもろみが付いている……ってねぇ〜。
いや、さすがに……ねぇ。
そして、アイテムボックス!
あるあるだね。うん、でも、そんなに細かな設定は、ねぇ〜いいじゃん?
固いこと言わないでねっ?
硬くするのは、アレだけで十分だよ。
ん? アレって?
もちろん、古くなったマンゴスチンのことだからねー。はいー。
さて! 次回は、お待ちかねっ。
40話も待たせやがって!
ついに、『温泉』だよっ! 要チェックだよっ!
風の噂によると、温泉回にするだけで、アクセスが増えるらしいんだよ。
温泉好きの方々は、どんな嗅覚を持っているのか……?
いや、温泉好きの方というと本当に温泉が好きな方に失礼よね。
正確にいうと、エロい方だよね……。
エロい方々の嗅覚はどないなっとんじゃい!!!
ってことよね。
まぁ、今更、温泉?
いいの? 温泉程度で?
……って気もするけどね〜。
でも、そんな冷めること言わないでっ!
人生楽しんだもん勝ちだよっ!
ウッヒョ〜〜
温泉キターーーーーー ♪───O(≧∇≦)O────♪
オンセン!! オンセン!!
つかってもいいし、つからなくてもいい!
メインは温泉! 同時に脇役!
メインは、まんごさんの お ぱ い ! いえぇえええ〜〜〜い!
……ってくらいテンションを上げた方が人生楽しいよっ!
よし、ということで、みんなも全裸待機だね。
次回も、よろしこ!
次回!
魔法少女 マンゴ☆スチン A’s
『第43話 温泉は……お好きですか?だまんごー』
だよっ!
絶対に読んでねっ!
マンゴスチン! カジュー! ヒャクパーセントー!




