第21話 こすっ!こすっ!クンカ!クンカ!魅惑の香りが出るシールだまんごー。
「このシールも可愛いよねぇ〜、沙耶香ちゃん!」
「でしょ? これも、これも可愛いわよねっ!」
まんごたちが通う『岩下真小学校』の3年生の女子の間ではシールが流行っていた。
シール帳を作り、友達同士でシール交換をしたりするのだ。
キラキラしたシール、立体のシール、香りが出るシールなど、様々なシールがある。
授業が終わった放課後、堀江沙耶香と高村まんごは、教室でシール遊びに夢中になっていた。
2人は、まんごの机の上いっぱいに、シールを広げていた。
「この立体シールね、この間、ドリアちゃんと一緒に買ったんだ」
先日、ドリアとショッピングモールに遊びに行った時にまんごが買ってきたのは立体シールだった。
緑色のツインテールをした女の子の立体シールを買ったのだ。
「あら、そのキャラクターすごく可愛いわねぇ。じゃあ、私の立体シールと交換ね。このたぬきちゃんとかどう?」
沙耶香は、そう言って、1枚の立体シールをまんごに見せる。
滋賀県の各家庭に一つは置いてあると伝えられるたぬきの置物が描かれたシールである。そのたぬきのキン○マだけがもっこりと立体になっていた。
「わぁ〜、すごく可愛いねぇ〜。でも、沙耶香ちゃん、よくこんな面白いシール見つけてくるねぇ〜」
「でしょ? 見つけたら、すぐに買うのがコツよ。可愛いやつはすぐに売り切れになっちゃうからね」
沙耶香は得意げだ。
「そうなんだ〜」
「あっ、そうそう、このシールはね、すごいんだよ。こすると香りが出るシールなんだっ」
沙耶香が最近買ってきたのは香りが出るシールだった。
指先や爪などでシールをこすると、シールから香りがするのだ。
「へぇ〜、すごいねぇ〜」
まんごは、興味津々で目を見開く。
「じゃあ、まんごちゃん! 試しにこのバナナのシールを試してみたら?」
沙耶香は、バナナの香り付きのバナナのシールをまんごに渡す。
こすっ こすっ
まんごは、バナナのシールに指を充てがい、それをこすった。
「あっ! すごい! ほんとだ! バナナの匂いがする!」
まんごは、こすったバナナのシールに鼻を近づける。
こすっ こすっ
こすっ こすっ
バナナのシールをこすればこするほど、香りが立つ。
まんごは、指を素早く動かし、バナナのシールをこする。
(はぅわ〜〜、バナナしゅきぃ〜〜ぃ)
バナナのシールからほのかに香るバナナの芳香にまんごはうっとりと目を細めた。
「ねっ? すごいでしょ! 果物のシールもあるけど、海産物のシールもあるのよ……。」
そう言って、沙耶香が次に取り出したのは、『マグロ』と『イカ』のシールだった。
「わぁ〜すごい! じゃあ、これもこすってみてもいい?」
「もちろんよっ!」
「よーし、まずは、マグロからね〜」
まんごは、マグロのシールに指を添わせ、指を左右に激しく動かす。
こすっ こすっ
こすっ こすっ
「う〜ん? あれ? これは、あんまりわからないねぇ〜」
まんごは、マグロのシールに鼻を近づけるも、匂いがよくわからずに、首を傾げる。
マグロをこすっても、あまり匂いはしなかったのだ。
「やっぱ、マグロだからかなぁ〜?」 (意味深!)
沙耶香も首を傾げた。
「今度は、これね、イカよっ!」
イカが描かれて、イカの形にかたどられたシールである。
こすっ
と、そのイカのシールにまんごの人差し指の先が触れた。
「うわ! くっさ〜、イカくっさ! 何よこれ、ちょっとこすっただけですごく臭いよっ!」
まんごは、嫌な予感がして、イカのシールをこすっていた指を鼻に近づける。
「あっ、やだぁ……。私の指までイカ臭くなってる……。もぅ……。ほら……。」
まんごは、人差し指を自分の鼻で匂った後に、その指を沙耶香の鼻元に近づけた。
「くっさい! 何よこれ?」
沙耶香は顔をしかめ、まんごの指から、顔を遠ざける。
「お〜い、高村、堀江! まだいたのか? 早く帰らないといけないぞ〜」
まんごたちが『イカの香り付きのイカシール』で遊んでいた時に、クラス担任の岡本隆彦先生が教室にやってきた。
放課後に教室に誰も残っていないことを確認するために、見回りに来たのだ。
「あっ、たかさん先生! 見て、見て!」
沙耶香は、手招きをして、まんごの机のところに岡本先生を呼ぶ。
「ねぇ、たかさん先生、可愛いシールたちでしょ〜?」
沙耶香とまんごは、机の上に広げたシールを次々に指差してゆく。
「ほぉ〜、可愛いなぁ〜」
岡本先生は、沙耶香とまんごの話に相槌を打つ。
岡本先生は優しいので、沙耶香とまんごの話にちゃんと乗ってくれるのだ。
「それでねぇ、これがね……。」
まんごが、岡本先生にシールを見せて、説明をしだした時だった……。
「隙ありっ!」
岡本先生がシールの方に視線を向けた隙をついて、沙耶香は、岡本先生のズボンに『イカの香り付きのイカシール』を貼り付けた。
「おい! ちょっと、堀江! どこ触ってるんだ?」
岡本先生は、腰を少し後ろに引きつつ、沙耶香の方を向く。
岡本先生は若い先生であり、まだ独身であった。
そして、童貞でもあった。
岡本先生は、ズボンの上からとは言え、沙耶香に童貞息子を触られてしまったのだ。
生徒だとはいえ、女の子に触られて、岡本先生はまんざらでもない気持ちであった。
作者注:岡本先生は『フルプリチェリー』になりそうな素質を持っていそうですが、絶対に魔法少女にはなりません! なりませんよ!
「えっ、たかさん先生? イカ臭いよっ!」
沙耶香が、わざとらしく驚き、鼻を摘んだ。
「堀江、そんな事言っても、俺は騙されないぞ。まさかなぁ? あれ、でも、何か? あれ? 本当に、イカ臭いぞ? あれ?」
岡本先生は、かなり強いイカの匂いを鼻に感じ、動揺を隠せないほどキョドキョドした。
ズボンの上から沙耶香の指の感触を感じたとは言え……、さすがに……とは思いながらも、微粒子レベルでの存在可能性を恐れていた。
「たかさん先生、ちょっと、ここ触ってみて?」
沙耶香は岡本先生の左手をぎゅっと掴み、それを股間の『イカシール』の上に沿わせるようになすりつけた。
「おい、ちょっと、堀江!」
沙耶香に手をぎゅっと握られたことと、その手を股間に持って行かれて、股間になすりつけられたことで、岡本先生はさらに混乱する。
「はははっ、たかさん先生! その手、匂ってみたら?」
「なんだよ、堀江! ほんと、先生をからかうんじゃ無いぞ……、って、臭っ! イカ臭っ! えっ……。まじで……。」
岡本先生の左手の指先の匂いを嗅ぎ、そのイカ臭さに驚く。
岡本先生は、股間に『イカの香りのするイカシール』が貼られていることに気がついてはいなかった。
そのため、左手に移ったイカの臭いは、岡本先生をさらに混乱させることになる。
「おっ……、ちょっとやばいぞ……。あっ! 俺はちょっと、急な会議を思い出したから! な、お前ら、気をつけて帰れよ! じゃあ明日な!」
岡本先生はあたふたしながら、大急ぎで教室を出て行った。
「くくくぅ〜。たかさん先生、可愛い〜〜!」
沙耶香は声をあげて笑った。
「もぅ〜、沙耶香ちゃんたらぁ〜。あんまりたかさん先生をからかったらダメなんだからねぇ〜」
まんごも、沙耶香に合わせて、クスクスと笑った。
「だって、たかさん先生は、からかうと楽しいんだもん! あのウブな感じがねぇ〜可愛いのよっ!」
「あはは、確かに、そうだね〜。たかさん先生はウブだよね〜」
まんごと沙耶香は、もう少しシール遊びを少し楽しんだあと、帰宅した。
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私、高村まんご。小学3年生。
マンゴスチン・ハートに出会って、魔法少女『フルプリマンゴスチン』に変身できるようになっちゃったの。
いやぁ、沙耶香ちゃんとのシール遊びは楽しいね〜。
でも、普通にシールで遊んだだけだからねっ!
魔法少女には変身しなかったけどね、この話も重要な伏線を含むからねぇ〜。
複雑なストーリーにするためには、必要なのよっ!
え? 今北産業?
仕方ないなぁ〜。
バナナのシールをこすって、クンカクンカ
マグロのシールをこすったけど、マグロはマグロ
イカのシールは触れただけで、めっちゃイカ臭い
わかった?
というわけよっ!
さて、
次回は、番外編だよ!
宮村まんごさんを主人公にして、まんごさんの一人芝居だよ。
まぁ、まんごさんが『粽』を食べてお茶を飲むだけよ。
文字通り、ティータイムよ!
『日常』と書いて『ティータイム』と読ませるような、洒落た作品みたいなことはしないわよ〜。
ただのティータイムよ!
え?
それの何が面白いのかって?
そんなものも、わからないの?
女子高生が『粽』を食べるのよっ!
そしてお茶を飲むのよ〜。
それだけでワクワクじゃないの〜。
あっ、ちなみに、普通に食べると思ってるの?
えっ? 普通のお茶だと思ってるの?
大丈夫! マンゴスチンシリーズの作品だよ!
まぁ、そういうことだから。
楽しみにねっ!
次回!
魔法少女 マンゴ☆スチン
『番外編 宮村まんごのティータイム』
だよっ!
絶対に読んでねっ!
マンゴスチン! カジュー! ヒャクパーセントー!




