第13話 秋の写生大会だまんごー。
「ね〜ね〜、まんごちゃん、何描く?」
「う〜ん、せっかくだから、この建物を描こうかなぁ」
堀江沙耶香と高村まんごは、画板を片手に、駐車場を歩いていた。
今日は、まんごたちが通う『岩下真小学校』の秋の写生大会の日だ。
小学3年生のまんごたちは、小学校の近くにある『萬古焼の里』と呼ばれる萬古焼の振興施設に来ている。
大きな駐車場の向こうには、立派な和風建築が建っている。それが『萬古焼の里』の本館だ。
この本館の周辺で、自由に写生を行うのだ。
沙耶香とまんごは、外から本館を描こうと、いい場所を探して駐車場を歩いていた。
「あんまり遠くに行くなよぉ〜。ちなみに、建物の中で萬古焼が描きたいやつは先生に言うんだぞ〜」
まんごたちのクラス担任の岡本隆彦先生が大きな声を上げる。
頼り甲斐のある先生で、生徒たちからは『たかさん』と呼ばれ、慕われている。
生徒たちはすでに散り散りになっており、小さなグループに分かれていた。
まんごは沙耶香と2人だ。
まんごは、水色の長袖シャツにピンクのプリーツスカートを穿いていた。
夏も終わり、少し涼しくなって来た頃なのだ。
上は長袖にしても、まだ下はスカートである。
そして、小さなピンク色のポシェットを肩から下げている。
ポシェットを斜めがけにしても、まだ問題ない。
だって、お胸は平坦だから。
まんごの隣を歩く沙耶香もまた、淡い緑色のスカートを穿いていた。
2人とも、スカートが好きなのだ。
「このへんだったら、建物がよく見えるねっ」
沙耶香とまんごは、駐車場の縁石に腰掛け、画板を構える。
2人は三角座りをしているため、目の前からはパンツ丸見え状態である。
沙耶香とまんごは画板を構えているため、彼女たちからは画板の向こう側が見えないが、その遠くの方では数人の男子たちが騒いでいる。
写生をしているふりをして、写生の準備をしているのだ。 (意味不明?)
もちろん、沙耶香とまんごは絵を描くのに夢中で、それには気がつかない。
「ねぇ、ねぇ、そういえばさぁ。最近、不知火くん見ないね……。始業式の日から見てないよね」
「そうだよね……。あの後、学校に来れる方がすごいと思うけどねぇ……。」
まんごは、沙耶香の言葉に相槌を打つ。
始業式の日に起きた『不知火パンチラ事件』の後、その主犯である不知火玄武は学校に来ていない。
自らの手でパンチラを求めたものは、大きな火傷を負ったのだ。
一方、沙耶香とまんごは、『不知火パンチラ事件』を笑いながらも、クラスの男子にラッキーパンチラを提供していた……。
昔の偉い人は言っていた。
『パンチラは遠くから見るくらいがちょうどいいんだよ』
と……。
――――――――――――――
「ねぇねぇ、まんごちゃん、あれ見てよ! 可愛いワンコよ!」
沙耶香の指の先には、犬の散歩に訪れた近所のおばちゃんがいた。
小さいポメラニアンを連れている。
その犬の毛色は、薄く茶色の入った白色であり、短い尻尾をふりふりと動かしながら歩いている。
そのもふもふしたポメラニアンは、自分のもふもふを見せびらかすように、もふもふしながら歩いているのだ。
そして、突然、事件は起こった!
マンホールの上を通りすぎたポメラニアンは、満足げな表情を浮かべ、マンホールの上で立ち上がった。
「わん!」
犬の芸の一つ『ちんちん』である。
「まんごちゃん! ワンコがマンホールの上でちんちん事件よ!」
沙耶香はまんごの方を振り向く。
沙耶香の目は、キラキラと輝いていた。
「うん。そうだね。可愛いね……、あのワンコ……。」
まんごは、頷く。
どうして可愛いポメラニアンが突然そのような行動に出たのかは、わからない。
言えることは、これがこの世界の自然の摂理だということだけだ……。
「きゃあ、可愛いすぐる〜。私、ちょっと行ってくるねぇ〜」
沙耶香は、画板を横に置き、犬の方に駆けてゆく。
沙耶香は、飼い主のおばちゃんに親しげに挨拶をしつつ、そのポメラニアンと戯れ始めた。
「お手!」
沙耶香は右手を出す。
「わん!」
その犬は、沙耶香の右手に、右足を乗せる。
「おぉ、賢いねぇ、このワンコ。じゃあ、おかわり」
「わん!」
その犬は、沙耶香の右手に、左足を乗せた。
「おぉ、いいねぇ。じゃあ、次は、チンチン!」
「わん!」
その犬は、沙耶香の右手に、○○を乗せた。
「……。ちょっと! それじゃない!」
沙耶香は、少しにやけつつも、細い目で首を振る。
「きゅ〜〜ん」
そのポメラニアンは、沙耶香の右手に、○○を乗せながらも、あざとい鳴き声を出す。
「あっ、でも……、私が悪かったわ……。じゃあ、ちんちん!」
「わん!!!」
その犬は、前足をあげ、後ろ足で立ち上がった。
ひらがなとカタカナで意味が微妙に違うのであろうか……、2回目にはうまくいった。
「すっごい、このワンコ、頭いいねぇ。よ〜し、よし! いいこ、いいこ〜」
沙耶香はそのポメラニアンをワシャワシャと撫でる。
ワンコと沙耶香が楽しそうに戯れている姿を、まんごは遠くから真剣に見ていた。
そして、必死に画板の上の画用紙に、絵を描いていた。
――――――――――――――
「みんな、できたか?」
岡本隆彦先生が駐車場の真ん中で大きな声を上げている。
岡本先生は、クラスメートのところを次々に回りながら、まんごのところにもやって来た。
「高村、堀江、順調か? どれ、俺がチェックをしてやろう。タカさんチェックの時間だよ!」
「「お願いします!」」
まんごと沙耶香は完成した絵を岡本先生に見せる。
「なんか、高村のこの絵、マンホールがでかくないか? この上の犬は可愛く描けているなぁ。おっ、犬と遊んでいるのは、堀江だな。特徴がうまく描けてるじゃないか」
「えへへ……。」
まんごは、ほっぺたをポリポリと掻きながら笑う。
先ほど沙耶香がワンコと戯れている間に頑張って描いたのだ。
最初は、萬古焼の里の本館を描くつもりだったが、いつの間にか、犬と沙耶香がメインになってしまったのだ。
「ほぉ、どれどれ。堀江の絵もマンホールが大きいなぁ。もっと建物をしっかり描けよ。しかも、この犬、立ち上がっているじゃないか。ちんちんでもしているのか?」
「そうなんです。このポメラニアンが、マンホールの上でちんちんしてたんです。えへへ……。」
沙耶香も、ほっぺたをポリポリと掻きながら笑った。
沙耶香は最初から、萬古焼の里の本館の目の前にあるマンホールに注目していた。そして、ポメラニアンが通りかかったことをいいことに、マンホールとワンコをメインに絵を描いたのだ。
「ぎゃ〜〜」
「きゃあ〜〜」
まんごと沙耶香が岡本先生からチェックを受けていた時だった。
駐車場の向こう側から、クラスメートの叫び声が聞こえた。
「おい、大きな虫だぞ、みんな逃げろ!」
岡本先生が立ち上がり、声を上げる。
駐車場の向こうには、巨大なフンコロガシが歩いていた。
しかし、それは糞を転がしていないので、普通に歩いている。
駐車場の向こう側から、巨大なフンコロガシから逃げるように、クラスメートたちが走ってくる。
「みんな! まんごちゃん!」
沙耶香は慌てふためくクラスメートたちを見て、自分も落ち着きをなくす。
キョロキョロとしている。
「沙耶香ちゃん、みんなと逃げて! 先生も、ここにいて!」
まんごは、大声をあげて立ち上がる。
「え? どうしたの? まんごちゃん!」
「おい、高村! そっちは危ないって!」
まんごは、その場に画板を置き、巨大フンコロガシの方に向けて走り出した。
岡本先生と沙耶香はその場で置き去りにされた。
まんごは、肩から下げたポシェットの中から、マンゴスチン・ハートを取り出し、右手に握りしめた。
(主人よ、早く変身じゃ!)
「ダメよっ! ここじゃダメなのよ! クラスのみんなが見てるから、恥ずかしいの!」
まんごは一人、駐車場を抜けて道に出て行く。その道の先には田んぼが広がっていた。
巨大なフンコロガシも、方向転換し、まんごの後ろを追う。
「はぁ、はぁ……。」
まんごは、田んぼ道を走る。
まんごの方が走るのがやや早いようだ。田舎育ちのまんごは、舗装されていない田んぼ道を走るのも苦手ではない。
少しずつ距離を離されつつも、巨大なフンコロガシは、まんごの後ろを追いかけてきている。
「あっ……。」
必死になって走るまんごの前に、何か黒く動くものがいた。
田んぼ道の真ん中に亀が歩いていたのだ。
黒っぽい体色をした『クサガメ』である。
「こんなところに亀がいる! よしっ、この亀を守らないと! ここなら大丈夫かも! 反撃開始だからねっ!」
まんごは、亀の目の前で立ち止まり、後ろを振り向く。
巨大なフンコロガシは、まんごを追いかけて、後ろに迫っていた。
ドン!
次回に続く!
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私、高村まんご。小学3年生。
マンゴスチン・ハートに出会って魔法少女になっちゃったのっ。
魔法少女に変身できるようになったのはいいんだけど、変身の際に裸になる仕様はなんとかしてほしいものだねっ!
いやぁ、写生大会だね〜。
とりあえず、写生大会が何かわかってる人も、わかってない人も、グー○ルで『写生大会とは』と検索するといいよっ。
『とは』まで入れると、トップに出てくるはずだから。
ちなみに、遥さんは腹筋崩壊してたからね……。
守りたい! あの少年の笑顔!
本当、世界は広いわね。
こんな何の変哲もないところに、罠が仕込まれているなんてねっ……。
あれに比べたら、私なんて、可愛いもんよ。
さて、
ついに出たね!
ザ・マンホールですよ!
格言にもあるわよね。
『マンホールに勝る穴なし』って
どうしてこの名前をつけたのか気になるわね。
まぁ、どうでもいいんだけどね〜。
いやぁ〜、あの少年に全部持ってかれちゃったよね〜。
盛り上がりに欠けるよ……。
あ、そうそう、ちなみにね、あのポメラニアンが沙耶香ちゃんの手に乗せたのは、あごだからねっ!
英語で『chin』だからねぇ……。
頭のいいワンコだねっ!
あれ? 変なこと考えちゃった?
残念! あごでした!
さぁ、次回が楽しみねぇ〜
亀に会ったわね。
え? 亀? スッポンじゃなくて? って?
スッポンが出てくると思った?
残念! クサガメちゃんでした!
え? なに? 私の友達の沙耶香ちゃんがどうかした?
まぁ、気のせい、気のせい!
さぁ亀! どうなるのかなぁ〜?
気になるなぁ〜。
それじゃあ、バイバイ!
次回!
魔法少女 マンゴ☆スチン
『第14話 運命の亀甲縛りと赤い糸だまんごー』
だよっ!
絶対に読んでねっ!
マンゴスチン! カジュー! ヒャクパーセントー!




