情報量削減、文字数減少

日暮里から渋谷に行くつもりで山手線内回りの電車に乗った。通路で吊革を掴んでいると、目の前に座るカップルが食べ残しを冷蔵庫に入れたか入れなかったかで言い争うともなく言い争っているのが聞こえた。男の方が特に何も言われなかったから入れなかったと弁明していて、女の方があなたはいつも察してくれないと責め立てていた。それは関係を危機に陥れるような深刻な喧嘩というよりは、お互いに恋する者同士の日常のよくあるコミュニケーションといった印象だった。私とカップルは渋谷まで同じ電車に乗り続けたが、その間ずっとふざけ合う愛撫のような会話をやめなかった。渋谷に着くと二人は立ち上がり、もたつく私の横を通り抜けて乗車口の前まで進み出た。降りる時にたくさんいる他の乗客の間にチラついたのは、互いを見ることもなく絡み合う二つの掌だった。

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電車で吊革を掴んでいると、座っているカップルの会話が聞こえた。内容は言い合いだったが、口調は愛を語り合っているようだった。二人は私の目的地までずっと乗っていて、ずっと同じ調子で話していた。降りる時に見ると、二人は手を繋いでいた。