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リドル・ハザード フラグを折ったら、もっと大変な事になりました(悪役が)。  作者: sirosugi
緑の縁 2024 5月

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76 彼女の目は夢を見ていた。

 ホラー要素、ホラー要素をいれたい・・・

 今回は、少しでも歪に見えるように、あえて誤字もスルーしています。

 彼女の目は夢を見ていた。

 彼女の耳は理想の言葉を捕らえていた。

 彼女の肌は火のように熱い体温を感じとっていた。

 目の前でほほえみ、自分の髪に触れる彼のことを、彼女は愛していた。


 彼を見ているだけで、世界に色が着いた。

 彼と同じ世界にいると思うだけで、世界を温かいと思えるようになった。

 彼と同じものが見たくて、背伸びをして頑張った。

 はじめは遠くから見ているだけだった。彼は彼女のことなど知らず、彼女も彼が何者かも知らなかった。

 一目見たときには、恋に落ちたと思う。少なくとも彼女は彼に抱いた感情以上の熱さを知らない。


 最初は彼を見るだけでよかった。

 彼も彼女のことを気さくなクラスメイトと思っていた。


 彼女は自分の熱量が彼を困らせることを理解していた。他の愚か者たちの行動を教訓にし、己の熱を隠して、少しづつ、彼との距離を近づけた。

 クラスメイトとして、同じものを好きな話し相手として、やがては同じ時間を共有する友人として。

 気づけば、男友達に混じって、彼の近くにいる1人になれた。

「彼氏とか、恋愛はいいかな。」

 そう言って誤魔化し、なんなら、彼の表面的な魅力にひかれたネズミを誘導したりもした。

「彼は、そう言うの興味ないよ。それでもいい?」

 そうやって親切に忠告したやると、相手はムキになる。自分ならきっと、気持ちを伝えたいだけ、そう言いながら、へらへらと彼にすり寄り、あっさりとフラれていく。

 そのあとは、冷たいだのなんだの、好き勝手に彼の事を言う。

「だから言ったじゃん。彼はそう言うの興味ないの。」

 苦笑するフリをして、相手を慰める。それ以上に悪く言うようなら、手を回して彼を守った。

 

 中学2年生になったころからか、男女の友情なんて言葉は微妙になり、距離を置いた。

 それが自然だったから。彼を遠くから見守った。

 目立たないように地味な恰好をして、女子の集団に埋もれるように過ごして、時々すれ違う時に挨拶をするぐらいの関係、自然と疎遠になるけど、彼に一番近いのは自分だと、彼女は疑っていなかった。

 

 バスケ部のマネージャーとして、ユニフォームの洗濯をしたときは、彼のだけ別にして手洗いして、畳んであげたし、散らかし気味なロッカーの整理整頓は彼女の役目。

 試合の日には、そっと差し入れをした。彼の好物であるレモン系のドリンクとピーナッツサンド。

 興味があるという漫画や雑誌はそれとなく、近くに置いておいたし、不要な私物は処分してあげた。

 日本では彼女のような女性のことを内助の功と呼ぶらしい。

 勉強が大変と知れば、授業のノートをコピーしたものをそっと渡してあげたし、ファンの対応が煩わしいと愚痴をこぼしていたので、女子に働きかけて沈静化させた。

 ともかく、彼のために彼女は何でもした。彼のために尽くすことが喜びだった。


 それでも彼の心を独り占めしたいという独占欲がないわけでもない。

 自分の献身に気づいて、彼からお礼の言葉を言われながら微笑まれたい。 

 彼の腕に抱き着いて、その体温を感じたい。


 いつしかそう思ったときに、彼女はとあるおまじないの話を聞いた。

 

 条件は厳しかったが、近くて遠い場所で彼を見守っていた彼女には実行ができることだった。


 最初は本気にしていなかった。廃棄予定の彼の靴下を使って実行した。

「いつもありがとう。助かるよ。」

 そしたら、彼が自分に礼を言ってくれた。

 声を交わすことはおろか、視線が合うのも随分と久しぶりだった。

「重そうだな。手伝うよ。」

 次の日は備品を運ぶ彼女を、彼が手伝ってくれた。通りすがっただけと言っていたけど、2日連続で彼と言葉を交わした。

 そして、その次の日は、自販機で飲み物を買うタイミングで居合わせた。

「そのジュース、まだ、好きなんだな?」 

 ちょっと子どもっぽい銘柄のジュースが好きなことを彼は覚えてくれた。

 

 彼女が歓喜した。今年一番の幸せだと思った。

 しかし、4日目は、すれ違うことはなかった。


 もしかしてと思った。


 そんなわけはないと思った。


 それでもその可能性を否定できず、もう一度だけ試してみた。多めの毛糸と彼の私物を用意して、おまじないをした。


 今度はもっと長く、彼とすれ違った。

 自然と会話が増えた。

 彼の好きな物も嫌いなものも知っている。表情を見て、不快にならないタイミングで切り上げる。なんどもイメージトレーニングをしていたことを、慎重に繰り返した。

 跳ね上がる心臓と、上がる体温を隠して、彼にとって都合のいい存在になるべく、彼女は努力した。


 機会があれば、チャンスがあれば。

 自分ほど彼に寄り添える人はいないと思っていた。


「お前といると楽だわ。」

 そう言ってもらえる限り、私はいる。


 機会があれば、縁があれば。


 気づけば彼女にとっておまじないは、欠かせない物になった。


 それでも彼女は慎重に距離を縮めた。

 何年も遠くから待っていたのだ、これからもこれまでも彼女は彼との距離を縮めていく。


 いつの日か、彼にとって彼女の存在が当たり前になり、


 彼の側に近づくメスがいなくなれば、彼の心はきっと彼女のものとなる。


 そのためなら、彼女はなんでもした。

 なんでもする。

 なんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでも


 だって、彼女にとって、それが運命だから。 



 

 


 

 狂人の思想は難しい・・・。

 短めになってしまいましたが、ここで、この展開を差し込みたかったんのです。

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― 新着の感想 ―
おまじない中毒症状になってますがな  しかしコレ本来の自然なカレと言えるのかね
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